エクストレイルは今回で3代目です。
試乗車が入ったというので早速乗ってみまし た。走行距離18km!バリバリの新車です。
スタイル★★☆
キープコンセプトだった先代から一転、なんだかよくあるパターンのSUVに成り下が っちゃいましたね。
これではエクストレイルか何かわからないというか、これまであ った道具感はすっかり失われてしまいました。
フロントは昨今の日産の常で相変わらずごちゃごちゃとした昆虫系ですね。
特にチタ ニウムカーキという色を選べばますます昆虫感が増します。
なんだか日産というより ダットサンの言う感じですね。
まるで新興国のような雰囲気です。
まあもちろん日産の作ですからフォルムのバランスは悪くないし、細部にも最新のモ ードも取り入れられています。
大きなアーチを描いた力強いフェンダーなどはその一 例でしょう。
しかし何といってもその顔やCピラーの処理などが雑で凡庸でちょっと ASEANの香り漂う感じになっちゃっています。
まあルノーのコレオスも微妙な感じもあ りますけどね・・。
内装★★
内装は相変わらず下手ですね。
伝統のセルクロスという素材を使った防水シートの機 能はいいのですが、クロスシートのバージョンまで黒一色にするというのはいかがな ものかと?
この暗い内装を見ているだけでSUVの高揚感が削がれますね。
またダッシュボードの形状もまるで普通のセダンのそれのようです。
洒落でもいいか らアシストグリップを付けるぐらい出来なかったのでしょうか?SUVのムードはありま せん。
いいのはポジションですね。
同日試乗したホンダのヴェゼルより遥かにゆったりと自 然なポジションが取れます。
また後席も広く高いので見晴らしがいいです。
ヴェゼル の後席はスペースこそ十分ですが低いですね。
また5センチ伸びた全長のおかげか今回から3列シートも選べるようになりました。
ま あ完全なエマージェンシーですが。
エンジン★★★☆
ここは伝統的にいいですね。ディーゼルはまだです。
今回試乗したのは2リッター 直4 DOHC16バルブ(147ps/6000rpm、21.1kgm/4400rpm)。先代より10psほどパワーアップし ています。
CVTですが、音もスリップもさほど気になりません。遮音がかなり良くなっています。
おかげで意外にも自然で高級感のある走りになっています。
ハイブリッドのヴェゼルの後だったか余計に感じたのかもしれませんが、自然でパワフ ルで昔ながらの自動車の楽しさを持っています。
できればダウンサイジングターボといきたいところですがこれはこれで悪くないと思い ます。
足回り★★★★☆
ここも伝統的にエクストレイルのポイントですね。
先代から良かった乗り心地は一段と スムーズになりこのクラスのSUVとしてはほぼ世界最上レベルです。
これもヴェゼルと比 較してしまって何なのですがモノが違うという感じです。
このあたりはダットサンでは なく正に日産クオリティーです。 ハンドリングもいいですね。
ステアリングも自然です。まったく自動車しています。
背 の高さを感じさせない自然なロール感とセンターの出た直進性はエクストレイルの美点 です。
総評★★★
道具としては文句無しですね。
しかし皮肉にもその道具感を失ってしまったスタイリングはもはやエクス トレイルを求める意味を失った感じです。
また内装も新車を買う楽しみを削ぎます。機能が完ぺきなだけに実に惜しいです。
いまや このあたりは日本車に共通する弱点ですね。何故か買う気にならない・・。
フランス車やイタ リア車のようにあと一歩背中を押してくれるサムシングがないと、今の時代なかなか売れ ないのではないでしょうか?
先代までのエクストレイルはそのスタイリングで他に無い明快なメッセージを表現してい ました。
若者がアウトドアやスポーツの友として使うという明快なCMも良かったと思いま す。
今回はまたメッセージを失い凡庸な日本車のワンオブゼムに成り下がってしまったのでは ないでしょうか?
【スペック】 全長×全幅×全高=4640×1820×1715mm/ホイールベース=2705mm/車重=1440kg/駆動 方式=4WD/2リッター 直4DOHC16バルブ(147ps/6000rpm、21.1kgm/4400rpm)/価格=224 万9100円
(※この記事は2013年12月に書いたものです。有料版の記事の一部を加筆訂正し約1年遅れで配信しています。)