現行のCクラス(W204)のデビューは2007年のジュネーブ。
私もCには08年に淡路島までドライブしたのを最後に乗っていなかったので久々に乗ってみようかと。
昨年には2000箇所にも及ぶ大規模なマイナーが施され、各メディアとも絶賛の嵐と言うのも“ホンマかいな”と気になっていた事もあります。
スタイル★★★☆
直線基調のウェッジシェイプを基本とするスタイルはその後のEクラスのフォローもあり、今でもさほど古さを感じさせません。
いい感じにクラシックになってゆきそうな気配もあります。
マイナーで前後のライトはLED化されました。フロントのポジションランプはCの字を描くなど適度な洒落っ気も。
Cd値はセダンの場合で当初の0.27から0.25に改良されるなど機能面でもバージョンアップが図られています。
内装★★★☆
外観以上にマイナーで進化を遂げたのが内装です。
光り物の増えたダッシュボードで、かなり高級感が出ました。
また、08年のときに気になって、「プラスチックのように硬い」と書いた記憶のあるステアリングの革は、柔らかく質感の高いナッパレザーに改良されていました。
ただ、いいのはそこまででドアの内張りなどはまだまだ安っぽい印象は拭えません。
シートのカラーも暗いものが多く、オプションで明るいものを選ぼうとすると受注生産で3ヶ月以上待たされると言います。
まあこれが国産なら素晴らしいとなるのでしょうが、Cとは言ってもベンツと名乗るからにはどうしても期待値が高くなってしまいます。
マイナーでダッシュボードだけ化粧直ししましたと言う印象が拭えません。
エンジン・ミッション★★★
変速機は「7Gトロニックプラス」にバージョンアップしました。
スムーズで効率も良さそうですが、最新のDSGなどに比べるとキックダウン時には一瞬の失速感があります。
1.8リッター直4直噴ターボエンジンもパワフルですが、メルセデスらしくフラットトルクで回す喜びはありません。
そして音も回転のスムーズさもメルセデスを名乗るには今一歩なのです。
はっきり言ってボルボV60やプジョー・シトロエンなどに使われる1.6Lターボ&DCTの方が、遥かに静かでスムーズです。
このエンジンの印象だけでクルマが少し古く感じます。
足回り★★★☆
まず今回の試乗車は整備状態が悪くステアリングが少し左に取られていました。
おそらく左フロントのタイヤの空気圧の不足だと思います。
ヤナセ系のMJBでの試乗でしたが、プレミアムブランドを扱うディーラーとしてはちょっとお粗末ですね。
まあ、それを差し引いてもステアリングのフリクションは気になりました。
まあこれはメルセデスの悪しき伝統なのですが、低速での大舵角、交差点を曲がる時などのセルフアライニングトルクの弱さ、つまりステアリングを戻してやらないと手を離しただけではストレート状態に戻らないのです。これは面倒ですね。
一方、乗り心地は基本的にはいいです。
アバンギャルドで17インチの40(リア)というファットなタイヤが災いして流石にEクラスのようにハーシュネス皆無とはいきませんが、メルセデスらしい懐の深さと安心感に包まれます。
ここは16インチのエレガンスで味わいたかった部分です。
また高速でのハンドリングもアルミボンネットの採用で約10kg軽くなったフロントもあってなかなかスポーティーです。
総評★★★
「メルセデス史上最高」のコピーで登場したマイナー後のCですが、結論はやはり5年の歳月を感じます。
新しい3シリーズとは比べるべくもありませんが、A4やボルボC60などと比べても少し落ちます。
前回のパサートと比べ100万円以上も高いのも気になります。
今、Cを買うならAMG63もしくはクーペ、いっそE250の方がオススメです。
どうやらW204とは相性が悪いようです。
08年の時も響きませんでしたが、今回も駄目でした。
もしかすると190やW202の幻像が残っていて期待値が高すぎるのかもしれませんが。
スペック:全長×全幅×全高=4640×1780×1430mm/ホイールベース=2760mm/車重=1520kg/駆動方式=FR/1.8リッター直4DOHC16バルブターボ(184ps/5250rpm、27.5kgm/1800-4600rpm)/価格=492万円
(※この記事は2012年4月に書いたものです。有料版の記事の一部を加筆訂正し約1年遅れで配信しています。)