バレンタインはチョコをいくつもらいましたか?
「試乗オヤジ」は3倍返し確定の義理チョコを10個ももらってしまい、3.14が今から憂鬱です。
そういえば肝心の妻からはもらってないなあ?
●概要
2006年にデビューしたばかりなのに、もう印象の薄くなってしまったメルセデスベンツ・Rクラスです。まあ出た時からさほど注目もなかったですが・・・。
当初は2×3列の豪華なグランドツアラーでしたが、マーケットからの支持が得られなかったためか、2008モデルからは早くも2列目のキャプテンシートが普通の3名掛けに変更されています。
エンジンはV6、3.5リッター、272psとV8、5.5リッター、382psの2種。ドライブトレインは4マチックと呼ばれるフルタイム4WD&7Gトロニックの7ATのみです。
サイズは巨大で4945×1920×1660mmとなっています。
スタイル★★
一目でベンツと分かるのは、単にフロントグリルに大きなスリーポインテッドスターを配しているからだけではありません。
フェンダーやボンネットのボリューム、特徴的なAピラーやドアのプレスなど、もうどこからどう見てもベンツそのものなのはさすがです。
まあ、安定感もありますし、コレが好きな人はいいのでしょうが、ボクは面白みに欠けると思います。
新しいCやSの直線を強調したスタイルからするともはや1世代前のデザインコンセプトに基づくものであることが分かります。
ようはもはや古い!わけです。
2×3列の豪華なグランドツアラーという新しいコンセプトが、そのスタイルから感じられないことがベンツをもってもしても市場に根付かなかった原因でしょう。
内装★★★
これまたデザイン的な面白みにはかけますが、色使いもシックでもちろん安っぽいところは一切ありません。
シートの取り付け剛性など、流石に国産とはクラスの違いを感じさせる出来です。
コラムのバイワイア・シフトも7シリーズ以降の流行ですね。
二人掛けのソファーに置かれたクッションのように、「どてっ」とした大きなセンターコンソールは、しかし高速走行での安心感を高めます。
こうしたコンストラクションはアウトバーン・スペシャリストたるメルセデスの矜持です。
リアシート用のエアコンスイッチ、コストの制約もゆるい高級ブランドゆえ3列目にも吹き出し口があります。
内張りの品質もさすがです。
2列目:レザー&バックスキンのコンビはとても高級感のある肌触りです。
剛性感も高く、とてもしっかりとした座り心地ですが、慣れない空間構成のせいか「初めて乗ったビジネスクラス」みたいで何故か落ち着きません。
慣れの問題かもしれませんが?
ルーフも適度に低く、ここは妙に落ち着きます。
子供の頃にダンボールの中に入って遊んでいた癖が抜けないのか、それとも単に貧乏性なのか?
エンジン★★★
V6エンジンを縦置きに搭載しています。
「ツーン」と一直線に緻密な回転積み上げるように加速する様は昔ながらのメルセデス流です。
そのとき重みを感じさせるフィールもまた少し前のベンツ流です。
大きく重いボディですが、不満はありません。
効率のいいATもあって息の長い加速を楽しめます。
19インチの大きなタイヤはトレッド自体も硬いのかチョッと「ドタドタ」したフィールを伝えます。
それでも大きく重いボディをとっちらかせることなく、締め上げています。
4マチックゆえ直進性の高さ、雨の日の安心感はさすがベンツと唸らせてくれるぐらいのものは持っています。
ステアリングを切り込んだときのロールもよくチェックされ「グラッ」っとくることがないのもこのボディにしては見事です。
ハンドリングも予想以上に高い領域まで粘り、安定していますし、長いホイールベースの割りにバランスの良さも感じさせますが、さすがにこの重さですから狭い下りなどで攻めていくと、フロントが「ダー」っと流れていったらどうしようとか、物理学的な不安が頭をよぎるのは仕方ないでしょうか?
そこが大きくても怖くないよくできたセダン(Sや7、A8など)との最大の違いです。
この大きなボディでEより100万円も安いRは一見のお買い得車に思えます。
ところが、C、E、Sといったいわゆるベンツ渾身のメインストリーマーから外れたラインにあるRの乗り味はそれらにわずか届きません。
市街地や駐車場ではボディの大きさが意識されます。
一人で乗る機会の多い人には薦められません。
大きく重いボディを持て余していると、なぜ自分は高級マイクロバスを選んだのか? といつか自答する時がくるでしょう。
駐車場で狭そうに佇むRを振り返り、一人で乗ることの多いボクは3日でそう思いました。
日本の道はキミを持て余す。