前回のW202に続き、旧CクラスW203のベーシックグレードC180(新車時390万円)です。
2代続けて乗ると違いがよく分かりますね。今回の個体は走行4万6000キロです。
●概要
2000年のデビューです。エンジンは直4、1,8、2,0、V6、2,6、3,2があり、直4はスーパーチャージャーが付きます(1,8は02年から)。
04年にマイナーがあり、よりスポーティーなデザインとなりました。
4WDやワゴンの設定もありました。
スタイル★★★★
デビューから8年を経てこのフレッシュさはなかなかのものです。
ベンツらしさと均整の取れたプロポーションを両立しています。
内装★★★
ステアリングはマルチファンクション付きですが、材質は革ではなく樹脂製です。
ウインカーはタッチすると自動で3回「チカチカチカ」とするタイプですが、これは使いにくいですね。
止めようとして反対に出してしまったり・・・。
とにかく意思と関係のないところで勝手に動くのはやめてもらいたいです。
介在しすぎるESPみたいで邪魔です。
それとこの個体は4万6000キロほどですが、ウインカーの作動がスムーズさを欠いていました。
プラスチックが擦れ合う感触は、グリスアップしただけでは治らずユニット交換が必要とのこと。
W202の方は9万キロを超えてスムーズでしたから、こうした細かなパーツの耐久性も見切られているのでしょう。日常触れる部分のタッチが、心理的な高級感に随分影響するものですが。
↓カップホルダーは左ハンドル仕様のままで開くとチョッと邪魔です。
↓張りを失わない布シートはベンツの伝統ですね。
↓後席はシートが小ぶりになった感じです。バックレストは寝かされ、座面もえぐられています。結果見た目のスペースはありますが、先代の居心地の良さはなくなってしまいました。
↓トランクのフィニッシュの良さは高級車の条件です。しかしスペースは深さが無くなり、ハイデッキの割りに物足りない感じです。
エンジン★★★
4気筒NAエンジンは129馬力です。
特別静かでもスムーズでもありませんが、回せばそれなりに勇ましい音で自動車らしく加速します。
V6とは違い、高級車というよりは実用車のエンジンです。
ステアリングはボールナットからラック&ピニオンにFサスもWウィッシュボーンからストラットへ変更されました。
乗り心地は随分ソフトになりました。そのかわりというかボディの剛性感も普通になってしまいました。
この初期型のフロアは振動を伝えます。
こんなベンツは始めてです。
直進性は普通にいいです。
バランスポイントは実に高いのですが、もはやベンツらしさというか特別な感じはなくなってしまいました。
これなら他のクルマでいいじゃないのか?
しかし探すとわずかな懐の深さは残っています。
長く乗っていると癒される感じは残っています。
しかしそれはもはや誰もがすぐに分かるものではないかもしれません。
昔のベンツのようにクルマを全然知らない人が乗っても「何かすごい!」というのは伝わりません。
ベンツを知っている人が深く耳を澄ませば聞こえてくるぐらいの微かなものです。
この時代、過渡期? のベンツを称してもはや「ベンツで無くなった」と言う評論はよく聞かれたものです。
過剰な品質からなる独特のドライブフィールは確かに無くなりました。
それでもどうでしょう、最近のSやCを見ると、ようやく失われた10年を取り戻しつつあることが分かります。
コストダウンの時代から、新しい技術による成果がようやく実ってきたのでしょう。
W204の洗練は何度か乗りましたが、W201、202の想い出を過去のものにしてくれます。