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208 プレミアム プジョー 試乗 

プジョー208プレミアム
質の高いライドフィールに驚愕
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「207」のデビューは2006年5月でしたからプジョーにしては早めの6年目でのフルチェンジですね。

20シリーズはプジョーの主力車種ですから当然いち早くマーケットの要求に応える必要があったのでしょう。

力の入ったモデルチェンジになっています。

 

エンジンは新開発の1.2Lと1.6L、1.6Lターボの3種。今回試乗したのはエンジンが売れ筋の1.6L(NA)グレードはプレミアムとシエロがありますが、216万円の廉価版プレミアムに乗ってみました(いつも思うのですがプレミアムの方が高そうなネーミングですよね?)。

 

 

スタイル★★★★

最初に208を写真で見た時は「随分国産車っぽくなっちゃったなー、ヴィッツみたい」なんて思っちゃいました。

ところが実物を目の当たりにすると、やはりその存在感といい、質感といい、国産車とは比べ物にならない塊感を持っていました。

その違いはクルマに詳しいとか関係なく誰でも感じるのでは無いでしょうか。

 

サイズもモデルチェンジの度に肥大化するクルマが多い中、少し縮小されたのは喜ばしい事です。

「207」と比較すると、全長で85mm、全幅で10mmほど小さくなっています。
全長のシェイプほとんどはフロントオーバーハング(-75mm)によるものです。

 

従来特徴的だった尖った鼻は押しつぶされ、ちょっと「鼻べちゃ」というか「おちょぼ口」風になっています。
私は迂闊にもこの事をもって初めは「平凡になっちゃったなあー」なんて思ってしまったわけです。

 

でも実物はこれまでのややきつかった表情も随分と柔和になり、小型車らしい優しい雰囲気さえ得ています。
また無駄な装飾がなくなった分、小型車に大切なボクシーで効率的な感じも生まれています。

サイドの緩やかなウェッジを描くキャラクターラインのバランスも完璧なら、ウィンドウグラフィックも完璧です。

 

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内装★★★★☆

この内装をみると国産のほとんど全ての小型車は発展途上国のクルマのように感じます。

 

素材は吟味され安っぽいところはまったくありませんし、隅々まで細心の注意を持ってデザインされています。

艶のある黒のパネルはいいアクセントになっていますしメーターのロゴまで洒落ています。

さらに意欲的な試みは、小径ステアリングと、その上部から視認できるメーターの組み合わせです。

これはメーターをステアリングの中からではなく上からのぞくタイプです。

 

舵角によって死角になることもなく視線の移動量も少なくてすみます。

またこの事でドライビングポジションも自然に背筋の伸びた適切なものになります。

 

シート高は少し高めで視界もいいので、小型車特有の閉塞感もありません。

シートは十分なサイズとクッションストロークを持ち、シトロエンのC3ほどではありませんが、表皮のソフトな感じも戻ってきました。

リアシートも十分なスペースがあります。

少し座面が全席より高くなっており視界も良好です。

 

また楽しいのは、例えば「シエロ」では標準となるパノラミックサンルーフですが、これは開けると開口部の両サイドに青いLEDが点ります。

こうしたナイトドライブを盛り上げるライティング等は小型車の枠を超えたものでなんとも洒落ています。

こんな小型車はやはり日本はもちろんドイツにもありません。シャンソンやボサノバが流れてきそうな感じです。

 

 

エンジン★★★☆

今回試乗したのは、120psの1.6リッター直4と4ATの組み合わせです。

これが実に低速トルクが豊かで“ブロロロ”と如何にも自動車らしい音で楽しそうに、そして力強く加速します。音質も嫌な種のものでは無いので回しても全く不快感は全くありません。

 

とにかく走るのが楽しくなるタイプです。

ブレーキが良く利くのも安心感があります。

 

心配されたミッションのAL4も随分スムーズになっています。

ただ、やはりココは燃費を考えると5速か6速は欲しい所です。

 

また試乗車は停車寸前に2速から1速へ落ちる時に僅かなショックが出ていました。

セールス氏いわく、「これは学習機能で改善されると思われます」とのこと。
JC08モード燃費は両グレードとも13.4km/リッター、アイドルストップが無いなどスペック的には見劣りしますが、前型比100kgほどの軽量化を果たしていますので、実質燃費もかなりいいはずです。

 

 

足回り★★★★★

プジョーのハイライトはいつもこの分野です。

とにかく乗り心地とハンドリングのバランスが素晴らしい。

 

207辺りまでは高速での操縦性を担保するためにかなり固められてきた印象もありますが、どうやら今回の208で新しいステージに突入した様子です。

とにかく小型車とは思えない質の高い乗り心地です。

余分な微振動は一切なくアタリもC3程ではないですが十分にソフトです。

大入力も平然といなすのはフランス車の良き伝統です。

 

ステアリングフィールもほぼ完璧です。

電動でかなり軽めになっていますが、路面の情報を実によく伝え嫌なフリクションもありません。

ただ唯一気になったのは小径のハンドルもあって少しレシオが早い感じです。

ゆったりとした乗り心地と多少リズムがずれます。足を固めたGTならちょうど合うかもしれません。

まあ慣れれば問題のない範囲です。

 

またこの小径ステアリングは今までより腕を下向きにして回すため、腕の位置を維持する力を減らせるので楽です。

軽いステアリングに小回りの効くボディ、意外に広い車内、高いアイポジションなどで市街地は非常に楽です。

また小型車なのに異例に高いボディ剛性によって常に安心感に包まれているのもいい感じです。

 

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総評★★★★

新しい208は写真で見るよりずっといい車でした。

デザインや質感乗り味も含めてやはり国産に敵はいません。

 

価格的には前々回ご紹介したVW・up!やシトロエンC3辺がライバルです。

up!は1000ccであることを考えると1.6Lの208の216万円というのは何ともバーゲンプライスに感じます。

 

C3に対してはソフトなシトロエンライドが好きな人はC3、スポーティーな走りも楽しみたいなら208でしょう。

新しい分、内外装の質感も少し208が上です。

 

それにしてもこう言う小型車に触れると、国産車が不振な訳もわかります。

208の様な小型車が家にあると生活が豊かに感じます。

毎日208やC3で買い物に行くのと、ヴィッツやフィットで行くのでは選ぶ食材も変わってしまいそうです。

 

今回は208の良さと共に日本車の問題を再認識させられた感じです。

日本の小型実用車だってもっと遊んでいいと思います。

昔のホンダ・CITYやマツダのファミリアの様な突き抜けたコンセプトで閉塞感を打破するようなパワーを持った国産の小型車の登場を期待せずにはいられません。

 

【スペック】】208プレミアム:全長×全幅×全高=3960×1740×1470mm/ホイールベース=2540mm/車重=1160kg/駆動方式=FF/1.6リッター直4DOHC16バルブ(120ps/6000rpm、16.3kgm/4250rpm)/価格=216万円

 

(※この記事は2012年11月に書いたものです。有料版の記事の一部を加筆訂正し約1年遅れで配信しています。)

 

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