珍しくスタイリッシュな実用車
今はなき名車?ファンカーゴです。これは知り合いのクルマで何度も乗っています。
今回は9万キロを経てノーマルサスから、TRDのサスキットを入れたとのことなので、その辺りの違いも試して見たいと思います。
●概要
99年のデビュー、初代ヴィッツをベースに背の高い実用的なボディを与えたクルマでした。
エンジンは1,3と1,5の2種、4WDも用意されていました。
現在はラクティスがその後継とされますが、妙に若者にこびたデザインで、ファンカーゴが持っていた新鮮で実用的な小型車というキャラクターを受け継いでいるとは思えません。
スタイル★★★★★
このクルマのハイライトがここです!
早いものでファンカーゴがデビューして8年が経ちました。
99年にこのクルマがデビューした時、ボクはうかつにもこのクルマの見事なスタイリングに気付かないでいました。
この複雑なラインの融合、ふくよかな曲線で構成され、かつこのサイズにして完全なる実用性をも備える見事なデザインに。
それは今見ると小型車の可愛らしさだけではなく、素晴らしい芸術性をも併せ持った素晴らしいスタイリングだと思います。
とにかくこのスタイリングは8年を経た今もって色褪せることなく、その輝きはますます増しているのです。
もちろん後継車のラクティスなどは足元にも及びません。
スタイリングは新しいから良いというものではないと思います。
こうしたエモーショナルなスタイリングを持つ日本車は本当に少ないと思います。
内装も今もって洒落ています。
立体的な造形とセンターメーターなどは初代ヴィッツと同じ新しさですし、シフトをコラムとして前後左右をウォークスルーとしているのも使いやすいです。
ディンプルのあしらわれたシートは素材もカラーもトヨタ車としては異例のセンスの良さといえるでしょう。
機能的にも優れ、コシがありしっかりとした賭け心地になっています。
そしてその名のとおり、カーゴスペースの広大さがこのクルマの特徴です。
このサイズにしてこれほどのスペースを持つクルマは当時、皆無でしたから。
エンジン★★★
エンジンは1,3で必要にして十分です。
トヨタならではの静粛性とATも含めたメカニカルなスムーズさは、このクルマに十分な快適性を与えています。
もちろん、特別静かでも官能的でもないですが、別に何の不足もないというトヨタ車のアレです。
ただ、コラムシフトは節度がなく、NからDに入れようとするとDを飛び越え2レンジまで行ってしまうことが多いので注意が必要です。
足回り★★
このクルマの最大の弱点がココでしょう。
ハンドリング・バランスは素直でいいと思います。
しかし、このクルマの安定性の無さはトヨタ車に共通する明らかな欠点です。
とにかくステアリングは素直ですが、雲の上を走るような曖昧さを伴うのです。
雨の日などはまるでスキーでもしているかのような感じです。
まあこのステアフィールとのトレードオフというべきか、ハーシュの少ない実用域での快適性はトヨタ車ならではなのですが・・・。
特に背が高いのでふらつきやすいのです。
高速での横風のふらつきや正確なライントレースは望むべくもありません。
逆にステアリングの軽さが際立ち、ドライビングのリズムが掴みにくいともいえます。
ステアリングフィールだけはチューニング出来ないですからね。
このあたりがアフターパーツによるチューニングのジレンマです。
一つを良くすると一つが能力不足を露呈します。
高速でもフラット感が得られるわけではなく、路面の凹凸をはっきり伝えるので、お腹が上下に揺すぶられます。
1000キロぐらい走行して少しアタリがつくと幾分ソフトになりましたが、それでも荒れた高速では体調の悪い時は遠慮したい乗り味です。
曖昧なステアリングに起因する、充実感の無いドライビングフィールという分かりやすい欠点はあるものの、このスタイルと実用性の高さは多くの人にとって充分に使いでのいい道具だと思います。
結論:トヨタ車の平均的なハードに、しかしトヨタ車の平均を超える内外装のセンスを与えたクルマとして★を1つ加えました。