BMWプロデュースによる、いわゆる「ニューMINI」の3代目です。
3気筒のクーパーはこのメルマガでも5月(Vol.157)で取り上げました。
現時点での新型のバリエーションは「クーパーS」(2.0直4)、「クーパー」(1.5直3)、「ONE」(1.2直3)の3種、本国には「ONE D」「クーパーD」(ともに1.5直3ディーゼル)(すべてターボ)が加わります。
ちなみに、本国のDは最近クロスオーバーで日本にも導入されたBMWと共通の4気筒では無く1.5リッター3気筒ターボディーゼルです。
話がそれましたが、今回は3DハッチボディのクーパーSのATです。
それでは乗ってみましょう!
スタイル★★★★
グリルがシングルフレームになったことが新型を見分けるポイントですね。
これを知らないとほぼ旧型と見分けが付きませんね。
ボディーサイズは全長が81mm、全幅が42mm拡大され、ホイールベースが30mm延長されています。
Cd値は0.28(クーパーSは0.31)と見た目とは裏腹に優秀ですね。
このあたりは流石に技術のBMWです。
個人的にいいと思うのはリアのコンビネーションランプが大型化されたところですね。
これは安全面もありますが、デザイン的にも“コロリ”とした風情で、ちょっとたれパンダ(古!)的な愛嬌があると思います。
内装★★★★☆
内装は2代目で少しコストダウンの影を見ましたが、この3代目は流石に質感が上がりましたね。
趣味クルマの面目躍如です。
色々と楽しく凝った作りになっています。
スターターは新型ではセンターパネル下方の中央にある赤いトグルスイッチで行います。
従来はパワーウィンドウのスイッチもここに配されていましたが、新型ではドアに移されました。
これは、デザイン面はともかく違和感が無くなり操作性は間違いなく向上しています。
アナログ表示の速度計も通常位置(ステアリングコラム上)に移され、センターメーター部にはエアコン、インフォテインメント、ナビゲーションなどの情報が表示されます。
またこのセンターメーターの周囲はLEDを用いた発光システム(本国ではオプションですが日本仕様は標準)が備わり、操作に応じてドライバーが設定した色で発光させられるようになっています。
こういうのも日本のメーカーがやるとおもちゃっぽくなりますが、MINIだとロックに感じられるから不思議です。
ドライビングポジションはいつものようにステアリングホイールが少し高いですが、シートは高さ調整も出来きますので違和感はなくなりました。
リアシートのレッグルームも明らかに2代目より広く、ラゲッジルームの容量も従来型より51リッター大きい211リッターとなりました。
エンジン・ミッション★★★☆
「クーパーS」には192psと28.6kgm(オーバーブースト時:30.6kgm)を発生する2リッター直4ターボエンジンが搭載されます。
ミッションはアイシンAW製6段ATです。
オートスタートストップ機能付きですね。
また6AT車には、巡航時にドライブトレインの接続を切り離し、エンジンをアイドリング状態にする(50~160km/hで作動)コースティング機能も採用されています。
つまり今回のモデルチェンジの目的は燃費など環境問題対策にもあるという事です。
残念なのはATがBMWの1シリーズなどに採用されるZFの8速では無いことです。
ここはやはり差がありますね。
特に加速時のキックダウンなどでは少しシフトショックを伴う場面もあります。
エンジンのフィールは重厚で質感を伴いながら回るタイプです。
ウルトラスムーズなBMWよりも少しクラシックな演出がなされている感じもあります。
パワーは回せばそれなりですが、官能的なフィールは従来型よりも控えめに感じました。
そこまで求める向きには、後に追加される予定の「ジョンクーパーワークス」を、ということなのでしょう。
それにしてもこのパワートレインの洗練性という意味では、熟成度の差もあるのかもしれませんが、記憶にある旧型のクーパーSの方が良かったと感じました。
足回り★★★☆
旧クーパーS(2012年8月Vol.73)は4つ★でした。
サスペンションにオプションのダイナミックダンパーコントロールを装着していました。
これは、ドライビングモードをSPORTにセットすると、エンジンやトランスミッションの反応が素早くなると同時に、電子制御ダンパーが硬くなるものです。
標準状態とSPORTの違いは明確です。しかしどちらにしてもタイヤの硬さを伝えます。
乗り心地に少し粗さを感じます。
旧型は後期だったこともありますが、しっとりとした印象さえありました。
新型もボディや内装がクラスを超えて異常にしっかりとしているので、印象は悪くはありませんが旧型のような一体感というか落ち着きはまだ得られていない感じです。サイズが大きくなったことも微妙に影響しているのかもしれません。
ハンドリングもどんどんマイルド方向ですね。
旧型は“変わらずゴーカートしています”と言えるレベルでしたが、新型はノーマルでは少しスポーティなハッチバックのレベルです。
もちろんスポーツにすればきびきびとした感じにはなります。
まあ、その分というか飛ばしてもなかなか安心感はあります。
特に初代ではスパッっと一気にいってしまいそうな緊張感を伴いましたが、こちらはそうした神経質な挙動はありません。
総評★★★☆
確かに高品質なプロダクトです。
オプションや色のバリエーションも多く大人が楽しめるおもちゃになっているのはMINIの楽しいところですね。
前回乗ったクーパーの3気筒が良かったので、今回も期待したのですが残念ながらその完成度は・・。
まだ待ちの状態かもしれません。
BMWの事ですから改良は怠りませんので、1年もすれば見違えるように良くなっている可能性が高いです。
先代のクーパーSもそうでした。エンジンも後期の方が遥かにパワフルでトルクのツキが良くなっていました。
MINIはボディバリエーションが多いためか、出たては少し詰めが甘いクルマが多いように感じますね。
1年後にもう一度試してみたい1台です。
【スペック】ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3860×1725×1430mm/ホイールベース:2495mm/車重:1240kg/駆動方式:FF/エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ/トランスミッション:6段MT/最高出力:192ps(141kw)/5000rpm/最大トルク:28.6kgm(280Nm)/1250-4600rpm※オーバーブースト時:30.6kgm(300Nm)/2000-4600rpm/タイヤ:(前)205/45R17 88W/(後)205/45R17 88W(ハンコック・ベンタスS1エボ2)/燃費:15.8km/リッター(JC08モード)価格:318万円