ベストマッチ
ミニにクロスオーバーが追加されたのは2011年。
デビューから3年で初のマイナーチェンジ(3D・5Dと違い、フルチェンジではありません)に伴い、4気筒のクリーンディーゼルが追加されたので乗ってみました。
乗ったのは2種あるチューンのうち112psのノーマルのDの方です。
143psのSDはチョイ乗りしかできませんでしたのでまたの機会にじっくりと試します。
スタイル★★★★
クロスオーバーのサイズはベーシックな3ドアにくらべて全長で27cm、ホイールベースで10cmほど長いです。
それでもまぎれも無くMINIに見えるのは丸形のライトや立ったAピラーなどMINIの文法をしっかりと取り入れているからです。
実際人気も上々でその販売は日本市場では4割を超えるといいます。
フロントグリルはバーが1本になってシンプルになりました。
一方バンパーはスリットや開口部が増えてちょっと煩雑になりましたが、下方に安定感を添える意味では成功しているように思えます。
リアもバンパーの形状が変わっています。
こちらも装飾が多くなっていますね。
また大きなハッチゲートは従来の間延び感が気になったのか、下方にCROSSOVERのエンブレムが横1線に入りました。
MINIのエンブレムは相変わらずの特大サイズで笑えます。
またこれはMINIのどのモデルにも言えることですが、カラーリングが豊富なのもいいですね。
グリーンや茶系など魅力的なカラーが揃っています。
内装★★★★
内装もさほど代わり映えしません。
外装と違って黒一辺倒なのが寂しいですが、質感は流石に高いです。
主力のF56型3ドア(5ドアも追加)では、スピードメーターがドライバー正面になりましたが、クロスオーバーでは従来通りセンター配置のままです。
ただ、正面の回転計内に速度もデジタル表示できるので問題はありません。
iPhoneホルダーや等をワンタッチで脱着できるセンターレールなどパーソナルで楽しい装備もMINIの特徴ですね。
リアシートの定員は3人で13cmの前後スライド調整機構も付きます。
エンジン★★★★☆
今回試乗したディーゼルはBMWの320dやX3 20d、523dと同じN47型ユニットを横置きしてデチューンしたものです。
もちろん日本のポスト新長期規制に対応し減税が受けられます。
後処理はDPF(粒子状物質除去フィルター)とNOx吸蔵還元触媒。
グレードは「クーパーD」「クーパーD ALL4」に上級グレードの「クーパーSD」の3種で、前の2モデルが112ps、SDは143psが載ります。
ミッションは6速AT、コモンレール式直噴システムや可変ジオメトリー・ターボを採用しています。
112ps版は143psよりもスムーズな加速と振動を少し抑えたというだけあってなかなか自然な乗り味に仕上がっています。
これまでクロスオーバーは色々なエンジンで試乗したことがありますが、はっきり言ってクーパーSの184ps/5500rpm、4.5kgm/1600-
5000rpmをもっても特に出足や追い越し加速などは僅かなストレスを感じたものです。
ところがこのディーゼルは全くストレスフリーでした。実際トルクで言えばこのDでも27.5kg・m(270N・m)/2500rpm、SDでは31.1kgm(305Nm)/1750-2700rpmを持っているのでガソリンの比では無いわけです。
特に低回転のスムーズさと力強さは印象的でこれに乗るとちょっとガソリンに乗るのが嫌になると思います。
この大きく重い(MINIの中では)クロスオーバーのボディにこのエンジンは圧倒的にマッチしています。
Sよりも確かに静かでスムーズに感じました。
違いは追い越し加速でしょうか。SDの方はパーシャルでもかなり活発に加速します。
Dはその分静かで特性がマイルドすね。
ガソリンの3Dで言えばワンとクーパーの違いに似ています。
足回り★★★★
ここも良かったです。
特にマイナーで乗り心地が良くなっていました。
これまでに乗ったクロスオーバーはその高さを抑えるためかかなり固めのセットになっていてゴツゴツ感が付きまといました。
ところが今回乗ったDはそのゴツゴツ感がキレイに取れていました。
MINIとしては法外というかしなやかさまで感じられたではありませんか?
このゆったりとした乗り味がDのエンジンのキャラにも合っていてMINIというよりは随分と高級なクロスオーバーに載っている感じが
しました。
しかもハンドリングもまとまっています。
MINIの価値?であるゴーカートフィールが無くなったかと言えばそうでもなく、このソフトなセットにしては随分と自然にすっきりとコーナーを回ります。
この自然な前後バランスをもって合格としてあげたい。そんな気にすらなります。
↑こちらはSDですね。
総評★★★★
ヨーロッパでは近年ディーゼル・エンジンが新排ガス規制”EURO6″対応となったことで、ほぼそのままの仕様で日本のポスト新長期
規制をクリアできることになったため、これからもどんどんディーゼルモデルが入ってくると思われます。
しかもこのクリーンディーゼル車は、エコカー減税によって取得税および重量税は免税、自動車税は75%減税などの軽減措置が適
用されます。
このMINIの場合もガソリンとの価格差は約20万円。
しかしこの減税分を相殺すると僅か5万円!その5万円も1万5000kmで元が取れる計算との事。
こうなるとガソリンモデルは売れなくなるのではないかと心配になります。
それほど近年のディーゼルエンジンは良く出来ています。
数あるMINIシリーズですが、実用性を重視するなら間違いなくお勧めのモデルがこのクロスオーバーDです。
【スペック】ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4120×1790×1550mm/ホイールベース:2595mm/車重:1410kg/駆動方式:FF/エ
ンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ディーゼルターボ/トランスミッション:6段AT/最高出力:82 kw(112 ps)/4,000 rpm /
最大トルク/回転: /270 Nm/1,500-2,500 rpm /燃料消費率JC08モード (国土交通省審査値): /16.3 km/リットル /タイヤ:(前)
225/45R18 91V/(後)225/45R18 91V(グッドイヤー・エフィシエントグリップ)/燃費:16.6km/リッター(JC08モード)/価格:
341万円