お前はクラウンか!
今回はバイク、50ccスクーターです。「試乗オヤジ」はもちろんバイクも大好きです。
乗り物なら何でも大好き、すぐに乗ってしまうたちなのです。
バイクは中学生の頃から山でカブを乗り回して遊んでいました。
もちろん公道ではありませんよ!
山の上にお寺のお坊さんの金持ちの友達がいて、古くなったカブをおもちゃにしていたのです。
毎日のように練習(遊んでいた)成果か、当時「3ナイ運動」で「バイク=悪」だった時代の、厳しい「中型二輪」の飛び込み試験に、見事3回で合格したのが仲間内の自慢でした。
●概要
ホンダの得意とする4ストロークのスクーターです。
同じ4スト50ccのトウディ(軽ではない)よりも高級なグレードです。
2007年10月にモデルチェンジされています。
乗ったのは2003年モデルなので1世代前ですが、後述する理由により僕はこちらの方が好きです。
スタイル★★★★
スタイルは丸みのあるフォルムで優しく女性的な印象です。
ウェッジ・フォルムの子供っぽい「かっとび系」とは一線を画する優しいデザインです。
丸く垂れ下がったテールもセクシー。「とれびあーん!」
またメーターなどポイントにクロームを使い高級感も巧く演出しています。
新型はライトがフロントカウルに埋め込まれ、目玉オヤジみたいになっちゃってます。
ライバルのヤマハ「ビーノ」に自ら擦り寄っちゃって、なんでわざわざ? です。
フロントフェンダーとの一体感も強まって全体的に普通の若者向けになっちゃいましたね。「チーン」です。
ボクは、旧型のいかにもスクーター然としたクラシックな定番スタイルが好きでした。
コストダウンの影響か、新型は全体にプラスチッキーになっているのも好きになれない要因です。
4ストロークの特徴として、音の静かな事と燃費のいい事があげられますが、このクレアは正にその恩恵を十分に受けられるスクーターです。
とにかくアイドリングの時はエンジンが止まっているのではないかと思うほど静かです(実際、上級グレードにはアイドルストップ機構がありました)。
その昔、ボクがまだ学生の頃に出たスクーター初の4ストエンジンは、確かホンダの「スペイシー」だったと記憶していますが、当時のそれは音の割りに全然進まない感じで、4ストの良さがまるで感じられませんでした。
しかし、技術の進歩はすさまじく、今や50ccでも十分な動力性能を発揮します。
そして、このクレアはその加速感というか乗り味も実に高級でいい感じです。
例えば2ストの子供っぽいスポーツ・タイプのスクーターで発進すると、アクセルを開けた瞬間に「グッ」っと急激に立ち上がっていきますが、このクレアは「タッタッタッ・・・」という感じで、実に適度に軽快にスタートしてくれます。
これならストップ&ゴーを繰り返してもヘルメットをかぶった首も痛くならないし、気分的に先を急ぐ気持ちもなくなるので、精神衛生上も快適です。
もちろん決して遅いわけでもなく、十分な力強ささえ感じます。
足回り★★★★
乗り心地も実にソフトで快適です。
アンチダイブジオメトリー(ブレーキをかけた時などにフロント・サスペンションが沈み込むのを防ぐ機構)もアンチスクオット(同じく、加速時などリアに重心が移動した時にリアサスペンションが沈み込むのを防ぐ)も付いていないので、妙に突っ張る感じも無く、実にソフトかつ優雅に走ってくれます。
低く大きな掛け心地のいいシートもその乗り心地に一役かっています。
その重量感と安定性も見事ですから、その走りは本当にこれが50ccのスクーターかと思うほです。
低重心で安定感と高級感があります。
久々にスクーターに乗ってその進歩に驚いたオヤジは、乗ってすぐに「お前はクラウンか!」と思わず叫んでしまったほどです!
新型には乗っていないのでなんともいえませんが、フロントサスが普通のテレスコピックになってしまっているので、この乗り味が踏襲されているか心配です。
まあ、唯一の欠点ともいえるポイントは、路面の外乱に対してハンドルを取られることでしょうか。
しかし、これとて他のスクーターからすれば随分と穏やかです。
まあ、これはスクーターの宿命で、タイヤのサイズが10インチと小さいためなのですが、これさえなくなればもう完璧です!
とにかく、スポーツタイプの足を固めたスクーターばかり、「ピョンピョン」跳ねながら乗ってきた僕としてはこのクレアは、もはや別のとても快適な乗り物です。
その静かで伸びのある4スト独特の穏やかな加速感、雲の上を走るようなソフトな乗り心地・・・。
本当にこのクレアはスクーターとは思えないほどの大人っぽい走りの愉しみを与えてくれます。
風と溶け合ってゆく感じ!天気のいい日はどこまでも一緒に走りたくなるような実に爽やかで素敵な乗り味です。