トヨタの全て
15年と15万キロを走破したマークⅡに乗ってみました。
シートはへたり、外装も艶無しでしたが、エンジン、ミッション、サスペンションはなかなかしっかりしていて改めてトヨタの耐久性・信頼性の高さには驚かされました。
そして、その走りが当時のレベルとしてはなかなかのリファイメントだったという事も。
92年のデビューです。この時代まだ初代オデッセイ(94年)が登場する前ですから、セダンが主役の時代です。
そのセダンの中でもマークⅡ・クレスタ・チェイサーという団子3兄弟の人気は凄まじく、特にこの白のマークⅡは何処に行っても見ない日はないほど、日本の街を席巻していました。
後の96年にはモデルチェンジされ、100系(新幹線ではありません)となりましたが、内外装とも変わり映えしないデザインと古いままのコンセプトにそっぽを向かれ、2000のモデルチェンジではクレスタ・チェイサーは廃止、2004年にはついに名前も変わってマークXとなったのはご存知の通りです。
まあ、いくら名前を変えてもコンセプト自体同じですから売れるはずもないのですが・・。
スタイル&内装★
どちらの項目も語るべきことがないのでまとめてしまいました。
スタイルは今となってはキャビンが小さく時代を感じます。
セダンとしてはAピラーも寝ていて(これは今もですが)スペース的に不利なデザインです。
内装は当時のおっさん趣味そのものです。
デザインそのものも、破綻もない変わりに何の特徴も提案も美しさもないというただの工業製品です。
エンジン★★★
当時のレベルを考えると実に静かでスムーズです。
4ATも普通に走るには何の不満もありません。
運転しながらこれほど他のことを考えていられるクルマも珍しいです。
足回り★★★
これもエンジンと同じく、そこそこスムーズでそこそこ安定性もあります。
高速道路のコーナー以外では特に不満もありません。
総合評価★★★
15年と15万キロを経てこの性能を維持しているのは、見事だと思います。
まあ、内装についてはコストの制約から耐久性に限界を感じますが、機関が現代レベルでスムーズさを保っているのはなかなかのものです。
今も昔も面白くもなんともないクルマですが、それでも当時この洗練はなかなか他では得られない性能だったのです。
当時トヨタ以外のメーカーはその静かさとスムーズさにおいて少しずつですが、確実に遅れを取っていました。
他車が多少ハンドリングが良くとも、当時の日本のマスはこのマークⅡを選んだのです。
今となってはこのぐらいの洗練はどのクルマでも手に入れることが出来るようになってしまっただけなのです。
プラスアルファの魅力のないマークⅡの衰退は、ミニバンの台頭はもちろんですが、ハードの進化が一定レベルに達した時にやってきたものです。
もはや静かでスムーズに走るだけでは誰も喜ばない時代になっているということでしょう。
マークXもついに3列のジオを出しましたが、これもすぐに飽きるクルマでしょう。
ドイツ車のようなブランドや骨太な思想でもない限り、このクラスの無個性なセダンは消え行く運命にあるのでしょう。
かろうじて存在感を放っているのは、三菱のギャラン、ズバルのレガシィ、マツダ・アテンザなどスポーティーを押し出したものですが、日産のティアナはセンスやライフスタイルで勝負していますね。
トヨタはせっかくお得意のハイブリットがあるのですから、スポーツセダンはISに任せて、ここは思いきってエコ&コンフォートを前面に押し出してはどうでしょう?
あらゆるシーンで無音で超快適、ミニバンでは得られない安定性とハンドリングの楽しさも併せ持つとなればセダンの復権もありえるのではないでしょうか?
とにかく意味のないモデルはもうたくさんです、それこそ資源の無駄使いというものです。