レクサスNX200t Fスポーツ 試乗
ベストは300hのFスポか!
RXより一回り小さな、つまり日本で使いやすいサイズの高級SUVです。
実用的なクルマも好物のオヤジとしてはズバリ気になるジャンルです。
試乗したのはレクサス初となる2リッターターボエンジンを搭載したFスポ のFFモデルです。
スタイル★★★★
外寸はRX比で全長が140mm短く、幅が40mm狭く、高さが45mm低く、ホイール ベースは80mm短くなっています。
ちょっと間延びした感のあるRXに比べると流石に引き締まっていますね。
エッジの立った彫刻的で塊感のあるデザインもあって細マッチョな感じで 若々しくもあります。
くっきりとしたフェンダーアーチを見せるデザインはマツダのCX-7にも似 てSUVでありながらスポーティーな方向性を目指す証です。
ウエストラインが高く、相対的にグリーンハウスの小さなフォルムもスポ ーツカー的モチーフですね。
ウェッジを意識させるドア下方のキックアップ・ラインも同様です。
つま りNXのデザインは「Premium Urban Sports Gear」というコンセプトに忠実 でSUVでありながら完全にスポーティーな方向を目指しています。
ちなみにFスポーツはフロントフリルが焼肉屋の網のような?メッシュにな る事が特徴です。
内装★★★★☆
定評のあるレクサスの内装の質感はこのNXでも健在です。
サイズや設計年度の違いもあってその凝縮された高級感は上級のRXを凌ぎ ます。
デザインは金属製フレームのようなセンタークラスターを中心に据えるも ので、確かに外装のスピンドルとも呼応します。
センターコンソール上に用意されたマルチメディアの操作部「リモートタ ッチ」も、このモデルでは平面を指でなぞるタッチパッド式となっていま す。
個人的には既存のレクサスで使われているジョイスティック式の方が、 操作性に優れると思いますが、慣れの問題かとも思います。
パソコンでもマウスを使うウィンドウズ派の私はこのMAC的タッチパット に弱いだけなのですが・・。
シートもいいですね。
新しい分だけRXに無い、冷気の吹き出すベンチレー ション機能なども付いています。
リアシートも見晴らしがいいですね。
これはシート下にモーター&バッテ リースペースがあるため高めのシート高が設定されているからでしょう。
フロントよりも高いおかげで見晴らしが良くそのサイズやウィンドウ面積 以上の解放感があります。
エンジン・ミッション★★★★
「ターボチャージャーまでを内製」と伝えられる、トヨタ久々の新エンジ ンですね。
ようやく日本車もダウンサイジングターボ時代に突入の予感で す。というか、グローバル展開を図るレクサスでは必然ということなので しょう。
印象はいいですね!素晴らしくパワフルでトルクリッチです。
4気筒の振 動も流石に良く抑えられています。
トップエンドまできっちり綺麗に吹け上がることも印象を良くしています。
しっかり使い切れるエンジンです。
一方残念なのはミッションです。
この時代に6ATというのはやはり寂しい です。
やはりメルセデスではないですが、最低7速、BMWと戦うには8速、 いやローバーの9速!とにかく高度な制御が可能になり多段化の波も必然 です。
実際この6速はエンジンの能力を引き出せていません。
パーシャルから踏 み込むと少し古いATのようにワンクッションあってから加速します。
その 僅かなタイムラグとショックは今やプレミアムブランドには許されません。
なんならBMWは116iでも素晴らしい8ATを備えているのですから。
なので、現状ではエンジンは素晴らしいもののお勧めは300hです。
試乗は していませんが、以前に乗ったIS300hの出来からすると文句無しなので。
足回り★★★★★
ここは素晴らしい!5つ星です。
試乗したスポーティーグレードの“Fスポーツ”は、30段階の減衰力調整 を行うNAVI・AI-AVSと車体前後のパフォーマンスダンパーを搭載してい ます。
SUVでこれほどしっかりした走りとすっきりした乗り心地を持つモデルは なかなかありません。
確かオートカーが初期のNXの乗り心地の硬さを酷評 していた記憶があったので少し心配していたのですが、改良されたのでし ょう。
これなら納得です。
ボディがしっかりとしていることもあって、しっかりとした芯を持ちつつ しなやかでストローク感に富んだ乗り味になっています。
これはセダン系 でもBMWだったら最近のMスポなどでしか得られないほどに高級な乗り味で す。
ハンドリングもすっきりしていますね。
ステアリングがしっかりとしてい てフィールを自然に伝えるのが印象を良くしています。
試乗時は雨だったので高速のレーンチェンジなどでは心理的にもリアに落 ち着きのある4WDモデルがいいと感じましたが、街中ではこのFFモデルの すっきり軽快な味を好む人がいても不思議ではありません。
総評★★★★
Q5、X3、GLKといったモデルが少し古く感じるほどの出来です。
価格的に 大きなアドバンテージはありませんが、装備を考えるとやはりお買い得 でもあります。
とにかくこういうオールマイティーに最高レベルの性能を持つクルマが 1台あるとクルマ好きとしては安心です。
後はケータハムの160とか何でもいいわけです。
クラシックカーでもいい。
安心してクルマ道楽に走れます。
そういう意味で私はこのクルマかなり気になります。
逆説的ですがクル マ好きの良き伴侶というか長く付き合えるクルマだと思います。
こうしたクルマは日本車にはなかなかありそうでないのが実情です。
ち ょっとアクの強いスタイルがNGでなければ、試乗をお勧めします。
【スペック】ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4630×1845×1645mm/ ホイールベース:2660mm/車重:1770kg/駆動方式:FF/エンジン:2リッ ター直4 DOHC 16バルブ ターボ/トランスミッション:6段AT/エンジン最 高出力:238ps(175kW)/4800-5600rpm/エンジン最大トルク:35.7kgm (350Nm)/1650-4000rpm/タイヤ:(前)235/55R18 100V/(後)235/55 R18 100V(ブリヂストン・デューラーH/L)/燃費:12.6km/リッター(JC 08モード)/価格:492万円