洗練の乗り心地
本当はRC Fに乗りたかったのですが、まだ近くに試乗車がありません。
まずは300hからです。
基本同じ構成のIS300hと比べてどのぐらい進化したのかが見所です。
スタイル★★★★☆
スタイルは日本車離れしているというか、なかなか大胆ですね。
ISベースですから全長は4695mmしかないのにずっとのびやかで優雅に見えます。
見所は基本、直線基調でエッジの立ったレクサス流の処理となだらかな曲線を描くクーペフォルムの融合です。
このコンビネーションはなかなか新しく魅力的です。
カタログで見た時はちょっとラインが煩雑で煩い印象かと思いましたが、実物はずっとエレガントです。
特に肉感的なオーバーフェンダーは力強いパワーユニットの内包を誇示するかのように痛快です。
このクーペならではのルックスはRCの魅力です。
L字型の立体的デザインが特徴的なリアコンビランプ。
サイドには空力性能を向上させるフィンも設けられています。
内装★★★★
内装もいいですね。
全幅の拡大分の多くはオーバーフェンダーなどの外装部分ですから、室内幅はさほど広くありませんが、横一基調のダッシュデザインは左右の広がりを演出します。
2+2のクーペとして十分な居住性と適度なスポーツ性を感じさせます。
スポーツ性の源はタイトなバケットシートと低いポジションです。
そして太いセンターコンソールにストレートに伸びたステアリング、このポジションも古典的なスポーツクーペのそれで僕らの年代のクルマ好きはこのポジションだけで心高ぶります。
最新のレクサスだなあと感じるのは、シフトノブの手前に設けられた、NXなどと同様のタッチパッド式の機器操作デバイス「リモートタッチ」の装備でしょう。
エンジン★★★★☆
ここは確かにIS300hのそれですが、なぜかより高級でスムーズに感じます。
モーターだけでスルスルと滑り出しますが、その時の高級感はボディがしっかりしていて揺れが無いこともあってか、なかなか味わ
ったことのない感覚に包まれます。
エンジンもアトキンソンですが、音もフィールもつつましやかな中にも微かな喜びもあってなかなか趣深いと感じました。
決して遅くは無いです。
むしろストレスなくかなりの加速でRCのボディを高速へ誘います。
このハイブリッドのパワートレインはこんなに高級な走りだったのか!と改めて感じました。
RC Fはもちろんいいですが、この300hも魅力的なパワートレインだと感じました。
裕福な奥様の足としてはかなりフィットするキャラではないでしょうか?
足回り★★★★★
ここが今回の最大の驚きです。
乗り心地が素晴らしく良かったのです!
設計年度もありますがLSよりも遥かに好みです。
特に自分でステアリングを握るならこちらの方が遥かに楽しく快適です。
基本固めで無駄な動きをシャットアウトしています。
細かな振動も見事に取れています。
この足まわりの硬さにボディが負けていないからなせる業です。
低速から一切荒さはありませんが、飛ばせばその圧倒的なフラットライドに驚きます。
しかもクーペなので重心が低くコーナーを多少速めのペースで突っ込んでも何事もなかったかのように駆け抜けてゆきます。
並みのセダンなら上半身がぐらぐらに揺さぶられるスピードでさえRCならばロールが最小な上にサポートもいいですから非常に楽です。
このRCのシャーシはISですが、足回りはGS由来です。
ボディも大幅に強化され、とにかく剛性感にあふれています。
そして日本車でいいなあと思うのはブレーキの微小領域のコントロール性です。
特に停止寸前のスムーズさ、綺麗に止まるラクさは随一ですね。
エンジンよりもトルクコントロールがしやすいのでしょう。
総評★★★★☆
webCGで「なぜか“ガイシャ”と思わせる」という見出しでRCの記事がありましたが、実は私も、このライターの今尾さんと同じ失敗をしました。
ディーラーを出る時に左のレバーを操作してワイパーを動かしてしまったのです。
私も日本車でこんな間違えをしたのは初めてです。
車内の雰囲気やほんの数メートルの圧倒的に高級な走りの感触がまさしくそうさせたのでしょう!
久々にRCは日本車で欲しくなったクルマです。
ISやNXもですが、このところのレクサスはかなり走りがいいです。
LSやRXの時代から比べると走りの質は確かに新たなステージに突入しています。
RC Fの試乗が楽しみです。
【スペック】ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4695×1840×1395mm/ホイールベース:2730mm/車重:1740kg/駆動方式:FR/エンジン:直4、2.5リッター+モーター/ トランスミッション:CVT/最高出力:178ps/6000rpm/最大トルク:22.5kgm/4200-4800rpm/燃費:23.2km/リッター(JC08モード)価格:629万円 (RC300h “version L”)