最近はパナメーラの話題でもちきりですが、4ドア(5ドア)ポルシェのお初はこのカイエンですね。
トゥアレグ同様そろそろモデルチェンジの時期ですが、果たしてカイエン・ペッパーのように香辛料の利いた乗り味は保っているのでしょうか?
●概要
02年のデビュー、当初はSとターボの2種でしたが、03年9月に3.2の素を追加、06年末にマイナーで今の顔になりました。
マイナーに伴い、この素のエンジンは3.2から3.6リッターに拡大、パワーで40ps、トルクは7.7kgmアップ、290ps&39.3kgmとなりました。
結果0-100km/h加速は9.1秒から8.1秒に、最高速も214km/hから227km/hにアップしています。
スタイル★★★★
初期のパンダのように可愛い顔は、ちょっとサメの入ったシャープなものへと変化しています。
リアとのバランスや個性と言う意味では先代の方が上でしたが、この薄いライトもそれなりに現代的ではあります。
またトゥアレグをベースとしつつ、どこから見てもポルシェであるのは流石にうまいと感じさせます。
内装★★★★
内装もマイナー前はトゥアレグに劣ると言われ続けた質感ですが、マイナー後はポルシェらしいスポーティーさとテンションを保っています。
確かにトゥアレグのようにたっぷりとしたしたストロークで、包みこむような安心感はありませんが、そこはドライバーにある程度の緊張感を求めるスポーツカーメーカーであるポルシェ流の演出でしょう。
エンジン★★★★
非常にシャープで良く回るエンジンですが、流石にこのボディとの組み合わせでは少しアクセルを踏むとキックダウンを要します。
確かに回転さえ上がれば望んだ加速が手に入りますが、この大きくゆったりとしたボディを走らせるにはもう少しキャパがあればとも思います。
ターボまで行かなくともV8、4.8リッターのSあたりが街乗りでも楽に走れそうです。
それでもトゥアレグのV6よりも確かにシャープにフケ上がり、音もフィールも小型車のようにスポーティーです。パワーで10ps、トルクで2.6kgmのアドバンスは伊達ではありません。
さらにスポーツモードにすると、エンジンは一気に活気を帯びます。電子制御スロットルでアグレッシブな制御マップとなり、スロットルレスポンスが急に鋭くなりますティプトロニックSもローギアをキープします。
このモードでは車高も下がり、ポルシェらしい一体感とスポーティーな走りを味わえます。
足回り★★★★☆
足回りも、ゆったり・どっしりのトゥアレグと比べると飛ばせます。
エアサスをスポーツモードにするとグッと引き締まります。
そうしてもガツンと来るハーシュネスはありませんからさほど不快ではありません。
普段はノーマルで十分です。
それでもSUV特有の揺れ戻しなども一切ありませんから気持ち良く走れます。
ソフトモードでは少しピッチングを許しますがハーシュネスは確かに少なくなるので同乗者のいる時やゆったりと走りたいときにはいいでしょう。
マイナーですっかり乗り心地も良くなり、クルマに興味のないパッセンジャーからも不満の出ない乗用車として使えます。
そしてブレーキが圧巻です。
トゥアレグとの違いはエンジンよりもこの部分でしょう。
とにかくブレーキのコントロール性とフィールは抜群です。
SUVといえどもこの部分は正にポルシェそのもののダイナミクスです。
エンジン同様スポーツモードにすると、大きさの割りに高い剛性を誇るボディとともにソリッドなフィールを味わえます。
総合評価★★★☆
550psを発揮するターボSまで考慮されたシャーシのキャパは伊達ではありません。
この290psぐらいなら、オプションで用意される電子制御アクティブスタビライザーPDCC(ポルシェ・ダイナミックシャシー・コントロールシステム)や、電子制御ダンパーPASM(ポルシェ・アクティブサスペンション・マネージメントシステム)などなくとも、余裕を持って受け流します。
ここまでシャーシとブレーキに余裕があると、逆にモアパワーを欲してしまうのが、このクルマの欠点と言えば欠点です。
トゥアレグなら素で満足できるものが、カイエンならターボやGTSが欲しくなってしまうのです。
まあそれだけカイエンでもスポーツカーしていると言うことでしょう。
パワーとお金はいくらあっても邪魔にならないということでしょうか?