「皆さん、今日も乗ってますか?」
実は先日、このブログを見たという自動車情報サイトを運営している方からメールをいただきまして、「とても気にいったのでサイトで紹介したい」ということでした。
もちろん喜んでお受けしました。
すると、すぐにアップしていただいてなんとアクセスが大幅アップです!
ちなみにそこではこんな具合にご紹介いただいています↓
クルマを味わい尽くした豪腕ライター「試乗オヤジ」が送る
ブログでしか絶対に書けない超辛口インプレ。
全ての制約から開放された、謎の自動車ライター「試乗オヤジ」が
本音モード全開でヤワなクルマを斬りまくります!
◆「試乗オヤジ」の掟
一般客としてディーラーを訪れ、新車を試乗。
一般ユーザーの皆さんと同じクルマ、同じ条件で試乗して
「いい事も悪い事も・感じたことを感じたままに」
本音の情報だけを提供します。
正にその通りなのですが、人からあらためて言われるとちょっと恥ずかしいですね。
で、今回のトゥアレグなのですが、これがせっかく超辛口なんてご紹介いただいた直後に書くにはなんとも相応しくない内容です。
そう、マイナー後のトゥアレグはますます素晴らしかったのです!!
悪いモノは悪いと書きますが、いいモノには素直に感激してしまうのも試乗オヤジとご理解下さい。
どうにか斬ってやろうと意気込んで試乗したのですが、今回はこちらがバッサリやられてしまいました。
本国デビューは2002年、同時期にデビューしたVW初の高級車フェートンがまったく振るわず、VWの屋台骨を動かすほどの打撃を与えたのはご承知の通りですが、それを救ったのがこのトゥアレグの大ヒットでした。
エンジンはV6、3.2とV8、4.2、限定でフェートンのW12を積んだモデルもありました。
2007年にマイナーを受け、V6は3.6リッター直噴で39psアップの280psに、V8も直噴化され同じく39psアップの349psになりました。
スタイル★★★★
マイナーでフロントに「ワッペングリル」と呼ばれるメッキグリルが与えられ、ライトも変形のものへと変更されました。
これはプジョーや、グループのアウディのシングルフレームもそうですが、フロントグリルを強調することで、ダイナミックで力強い印象を与えることが目的です。
まあ、シルバーのクリーンな印象も手伝って若返りには成功していると思います。
ボディの後半はほとんど変わっていません。ここは共同開発のカイエンとまったく同じですね。
そつなく飽きのこないスタイルであることは間違いありません。
内装★★★★★
ここはトゥアレグのハイライトの一つでしょう。
100万円以上高いカイエンより遥かにいいです。
これは当時、高級車を持たなかったVWが、フェートン同様はじめて高級車市場にうって出るために与えられた明らかな過剰品質です。
コスト度外視! 気合はいりまくりです。
高級車を作り慣れているベンツやポルシェなどでは、この値段ではここまでやってきません。
彼らは小手先で高級に見せる技術を持っています。
でも、人間の感覚ってたいしたものでカタログでは騙せても実際に見て触れば分かるんですね。
その張り詰めた空気感、シートの張りと革の厚さ、木目の深い輝き・・。
VW技術者の気合は細部に宿ります。
ただ次のフルチェンジでトゥアレグがここまでやってくるとは思えません。そう考えるとマイナーで熟成されきった今が買い時かもしれません。
エンジン★★★★
以前のV6はR32用の狭角(15度)3.2でしたが、今回からパサートのV6、3.6になりました。こちらはさらに狭角で10.5度。
フィールは「ツーン」と目の詰まったもので、直噴の効果もありシャープな中にも濃密なトルク感が味わえます。
カイエン用ほど「ファンファン」と軽く拭け上がるわけではないですが、こちらはこちらでV6として十分に軽快な味を出しています。
2トンを超える巨体を不足なく走らせるようになりました。
ちなみに新しいV8と本国にあるV10ターボディーゼル、限定車のW12ならば文句なく5つ★です。
足回り★★★★★
この項目もトゥアレグのポイントです。
なんといっても乗り心地が素晴らしいのです!!
もちろん試乗オヤジの言う乗り心地とは単にソフトなものがいいというわけではありません。
上質です!! フラットです!! 走り出しが滑るように滑らかです!!
ボディや内装の全てがかっちりとしていてがたつく気配もありません!!
交差点でも揺れ戻しなくすっと回ってくれます!!
つまりそういうことです。トゥアレグにはSUVのネガがほとんどありません。
この分野ではBMWのX5やカイエンより優れています。特にマイナー以前のカイエンや、初代のX5の乗り心地は固すぎました。
昔、X5のリアシートに乗せられたことがありましたが、フロントに比べ明らかに突き上げがひどく、「こりゃあかんわ!」と思ったほどです。
今回はエアサス無しでしたが、エアサスならさらに乗り心地が良くなります。メカサスは僅かに路面の不整を伝えますが、エアサスならどんな場面でも全ての角が丸くなります。ハイドロシトロエンではありませんがオイルの海を泳ぐようです。
メカでも落差が少ないですから、ソリッドで素直なハンドリングを取ってメカサスを推す評論家も多いですが、オヤジは断然エアサス派です。
だってハンドリングを求めるなら他に選ぶクルマはいくらでもあります。トゥアレグ・エアサスのディープな乗り心地を知るとこれはちょっと他ではなかなか味わえないなとなります。
総合評価★★★★★
ディスカバリー3でも5つ★を付けちゃいました(SUV好きか!)が、こちらの方がやっぱりボディもしっかりしているし、乗り味がさらにいいですね。
2002年デビューですからもう6年経っているわけですが、いまだこれほどのSUVは出ていないですね。
この時期VWがこのトゥアレグにいかに過剰な品質を与えたかが分かります。W12やカイエンターボで270キロを想定したシャーシです。金がかかっているわけです。カイエンやX5よりも安く乗り心地も良く使いかってもいいとなれば、辛口を期待されてもけなすところがありません。
ブランドにしてもポルシェやBMWと比べかえってアンダーステイトメントでいいとすら感じます。長く乗って飽きないのではないかとも。
とにかくこのクルマ、マイナー前も良かったですが、今回も乗ってますます気に入りました。
福野礼一郎さんではありませんが、このトゥアレグ「ほめずにいられない!」です。