「3」に続いて「5」です。
クラスの違いを比較するには続けて乗るのが一番です。
同グレードで約100万強の価格差の価値は果たしてあるのか?
結論から言ってまたまた価格は正直です。
その価値はやはりありました。
単にスポーティーというなら「3」で十分です。
ただ「5」はこれに高級というワードが加わります。
うーん、こういうクルマに乗るともっと働いてお金を稼がねばと思ってしまいます。
●概要
E60は2003年のデビューです。
ワゴンボディのツーリングは1年後の2004年に追加されました。
グレードはツーリングには525.530.550があり、530にはxiという4WD モデルもあります。
またセダンには540やM5もあります。
スタイリング★★★★★
好き嫌いはあるでしょうが、やっぱり見事だと思いませんか?
セダンが2003年デビューですから早いもので5年前のデザインですよ!
それでこのフレッシュさは日本車ではなかなか望めないのではないでしょうか?
鷹をイメージしたというライト回りや、エッジの利いたウエストラインなどデビュー当初は保守的なこのクラスのユーザーに指示されるのか心配された向きもあるでしょうが、今となってそれが成功だったことが分かります。
攻め続けることでしか道は開かれないという事をBMWはそしてその顧客であるはずの世界のエグゼクティブは知っていたのでしょう。
内装★★★★★
内装もBMW流の高品質&モダーンなものです。
大きなサンルーフもワゴンボディに贅沢なバカンスの予感を感じさせてくれます。
確かにラテンのクルマのような洒落っ気はありませんが、これはこれで文句の付けようのない内装です。
↓シートのデザインは普通ですが、質感・掛け心地は文句無しです。
表面は意外にソフト(特に膝の裏あたりの部分は触っても楽しめる)で、いまやBMWとはいえ硬派一辺倒ではありません。
↓ステレートを基調にセンターにも山があるデザインは、ドライバーオリエンテッドだった時代と異なり、皆に平等です。
ステアリングの革は硬めで耐久性はありますが吸い付くような感じはありません。
このあたりは高級車ではなく、BMWが実用車としての顔を見せる部分です。
↓日本市場を重視してか、しっかりとしたカップホルダーが標準。
シックなウッドパネルは「3」との最大の違い。
↓ピラーより上の内張りは先代のE39の方が豪華でした。
エンジン★★★★★
530のエンジンってこんなに良かったか?
久しぶりに乗ってその改良ぶり驚きました。
とにかくどこからでも力感みなぎるフィールは感動的です。
目の詰まった硬質な音とフィールを伴って一気呵成にフケ上がります。
キャパもあるので豪快に加速してくれます。
可変吸排気バルブ(ダブルVANOS)の効果か、高回転までとてもシャープです。
新型の272psの必要性を感じないほどです。
ATも文句なくスムーズ&スポーティーです。
Sモードにすると一段とレスポンス良くキックダウンしてくれます。
ここまでスポーティーだと、フロアだけでなくステアリングパドルが欲しくなります。
足回り★★★★
新しい3と比較すると僅かにランフラットのいなしに差がありますが、それでも当りは十分にソフトです。
その重量とサイズでフラットさでは断然こちらが上です。
欲を言えば低速で上下動が少しきつく感じることがあります。
このあたりはマイナー後の最新モデルは改良されている部分です。
ランフラットゆえの固さですが、ここで★-1です。
ハンドリングはフロント周りをアルミ化し軽量化した効果もあって、ノーズはスイスイ向きを変えます。
この軽快なハンドリングは重量バランスオタクのBMWらしいところです。
ステアリングの重さも「3」よりも軽めで街中でもラクです。
当初、批判的な意見も多かったアクティブ・ステアリングもボクは好きです。
交差点を曲がるにも90度もステアしてやれば事足りますし、Uターンもラクです。
このサイズのボディのネガを随分軽減してくれると思います。これに慣れると病み付きになって離れられなくなるのではないでしょうか?
ある種、技術による顧客の囲い込みです。
日本車もその昔、アクティブステアリングとは違いますが、ホンダのプレリュードやマツダのセンティアなどが4WSなどやっていましたが諦めが早いのでは?
S2000では今もVGSという可変ステアやっていますがあまり他に広める気もないようで不思議です。
↓エンジン本体にも立派なエンブレムが付けられています。
この年式は231psですが、2007年にマイナーチェンジされ最新モデルは272psとなっています。
↓サイズは225/50-17
総合評価★★★★
★が一つ少ないのは乗り心地に7ような深みが足りないからです。
それでも見事なバランスと完成度、そしてドライビングプレジャーです。
ドイツ車の嫌いな人でも、一度この機械的完成度を知ると、好み以外の部分では反論の余地がなくなるほどです。
出来のいい機械が与える、有無を言わせぬ喜びに「試乗オヤジ」は久々に打ちひしがれてしまいました。