スタイル★★★★
サイズは全長が先代より50mm延長されホイールベースも100mm長い2810mmになりましたが、全幅や全高はそのままです。
ストレート調だった先代に比べ全体に丸みを帯びたのは5シリーズと同様、最近のBMWのトレンドです。
それでもヘッドライトの位置は低くサイドのキャラクターラインもハッキリしているのでウェッジシェイプが強調されなかなか精悍な印象です。アウディがちょっと女性的に上品なのに比べると、や
っぱりBMWは元気な少年のイメージです。
残念なのはサイドから見ると古典的なロングノーズの域を出ておらず、フォルムがちょっと古臭い事です。
またリアセクションが特にバンパー下部の処理が極端で寸詰まりと言うか無理がきていると感じるところです。
まあ真後ろから見ると7シリーズのようなL字のテールで随分立派になったなと感じますが。
内装★★★★
内装も流石ですね。
今回から同じ値段でスポーツ、エレガンス、モダンと3つの異なるテイストが選べるようになりましたが、これがどれもなかなか魅力的なカラーが揃っていて迷います。
どれも絶妙と言うか選び抜かれた高級な色調ですね。このあたりは流石にベンツよりも都会的です。
シュツットガルトに対するミュンヘンの矜持でしょうか。
特に今回試乗したモダンは、質感も豊かな明るいベージュでメーター内部まで統一されています。
好みで選べるウッドも白く明るいものも選べるなど、確かにモダンです。このあたりはまだまだ国産車が及ぶ所ではありません。
真面目なレクサスにはない遊び心や余裕が贅沢さに繋がっています。
エンジン・ミッション★★★★☆
あれだけの名声を誇ったストレート6をあっさりと方向転換してしまうダイナミズムこそがBMWの真骨頂ですね。
4気筒ターボ&8ATの組み合わせは1シリーズでも報告済みですが、文句の付けようのない出来です。
ちなみに328iのスペックは2リッター直4DOHC16バルブターボ(245ps/5000rpm、35.7kgm/1250-4800rpm)です。
確かにストレート6のように回しても美しい咆哮を奏でるでもないですが、現実はデッドスムーズなままに確実にスピードにのせます。
音も回転も安っぽさは微塵もなく、きわめてリニアに加減速しますから、完全なる機械の思いを肌身に感じられます。
ターボラグを嫌い、排気を2系統に分けひとつのタービンに送るというツインスクロールターボのおかげで、まるでツキのイイNAエンジンのように自然にそして地から強く加速します。
とにかく音質以外の全てで旧型を上回っています。
足回り★★★★★
タイヤはもちろんランフラットの225/50R17、ちなみにスポーツは225/45R18です。
どちらも先代のランフラットを履いた3や5を知る人には夢のような乗り心地です。
駆け抜ける喜びの代償として差し出していたコツコツとした乗り味は今やすっかり消え失せました。
それは基本どのモードでも同じです。
驚く事に今やCクラスよりもあたりは優しく、しなやかですらあります。
完全に形勢逆転です。
かといってそのハンドリングが鈍ったわけでもありません。
今まで以上に前後バランスの良さが感じられます。
とにかく気持ちいいです。
しかもソフトなのにロールしない、ブレーキング時もノーズダイブしないという魔法のようなサスペンションです。
ほぼ完璧なボディコントロールと高い剛性によって充実したドライビングを楽しめます。
とにかくこれほどの完成度の高い足回りは久しぶりに味わいました。
リアが少しピッチングを許しますが、それさえジャガーやシトロエンではないですが優雅な演出に感じられるほどです。
ゆっくり交差点を回っている時でさえ、4つのタイヤの動きが手に取るように感じられ、全てのタイヤが均等に且つその能力を最大限に発揮しているサマが感じられます。
これほど生き生きとしたサスペンションはそう巡り合えるものではありません。
皆さんもぜひ試乗される事をオススメします。新たな世界基準が分かると思います。