さすがの実力!
これは隠れ名車ですね!ゴルフ オールトラックTSI 4MOTIIONはゴルフヴァリアントの車高を上げた4WDモデルですか、なかなか絶妙な実用車でした。
この手のクロカンモデルは実はVWは古くからのパイオニアなんですね。
1986年、2代目ゴルフ時にビスカスカップリングで前後の回転差を吸収する4WD「ゴルフ シンクロ」を出したのを皮切りに、90年には、さらに
車高を上げ、アンダーガードやプロテクトバーを装着した「ゴルフ カントリー」などもありました。
アウディのオールロードやボルボのクロスカントリーなどの登場はそれよりずっと後の事です。
一見地味なVWですが、何気に新しいもの好きだったりします。
さてさて、それでは早速逝ってみましょう!^^
スタイル★★★☆
クロム装飾された前後の専用バンパーや、ボディーの下端とホイールアーチを囲うブラックの樹脂など、クロカン風のアクセントは、少し退屈なゴルフヴァリアントのスタイルに華と遊び心を添えます。
リアもバンパー下部をシルバーのアンダーガードでカバーするなどノーマルとの違いは明確です。
誰が見ても単なる実用車では無くライフスタイルを楽しむためのスポーツギアに見えるでしょう。
地上高もゴルフヴァリアントに比べ25mm上がっていて車格も一回り大きく見えます。
これで価格もヴァリアントと変わらないとなるとなかなか魅力的だと思います。
内装★★★
一方内装は、さほどスペシャル感はありません。もちろん、もともとクオリティの高い車ですから質感に不満はありません。
変更点はドアトリムに専用のデコパネルが張られるほか、アルミ調のアクセル/ブレーキ・ペダルなどが装着されています。
シートも「ゴルフ オールトラック」の専用品で、背もたれには「ALLTRACK」のロゴが入ります。
サイズも大きくノーマルよりもゆったりとした気分になれるのも流石です。
このちょっとしたゆとりが、クロスカントリー気分を盛り上げる要素かもしれません。
エンジン★★★★☆
ココは素晴らしいですね!
専用の1.8リッター直4ターボTSIエンジンが搭載されています。
最高出力180ps/4500-6200rpm、最大トルク28.6kgm/1350-4500rpmでトランスミッションは湿式の6段DSGです。
ミッションもノーマルの乾式よりもスムーズです。スリッピーな路面でも発進しやすい湿式を選んだのはオールトラックらしい選択です。
車重はノーマルのヴァリアント(ハイライン)の1380kgよりも160kg重い1540kgです。
またドライビングプロファイル機能も「ノーマル」「エコ」「スポーツ」「カスタム」に加え、ノーマルにはない「オフロード」モードが追加され
ています。
これは、ABSの設定やスロットル特性が変更されるほか、ヒルディセントアシスト機能がオンになります。
安定感はどのモードも抜群です。ノーマルとの違いは「スポーツ」がスムーズで使いやすくなっている事です。これはミッションの変更が大きいか
もしれません。
このエンジンは流石に力強いです。パワーはGTiのリ2リッターには及びませんが、車重の増加を感じさせないだけのものはあります。ミッションも
スムーズなのでノーマルよりも車格が上に感じます。回しても静かでスムーズなので高級感があります。
トルク変動が少なく扱いやすいことも高級感を感じさせる要因でしょうか?この自然なフィールは1.8リッターとは思えないほどです。
足回り★★★★
ココもノーマルよりもゆったりとしていて好みです。
乗り心地がいいのが特徴です。懐が深いというか、どんな路面でも決して破たんしない強靱さがあります。
ロードクリアランスの増加に伴いストロークも増えていますが、フラット感は変わりません。なのに、ノーマルよりもあたりは明らかにマイルドで
す。
ソフトと言ってもレガシィのアウトバックやボルボのXC70程ではなく、ドイツ流にピッチングはしっかりと規制されます。これが飛ばしても安心で
ソリッドな一体感を生む源でしょう。
オールトラックの4WDシステムは、最新のハルデックス5カップリングを用いたオンデマンドタイプです。
これはオンデマンドと言っても、前輪のスリップを検知してから後輪にトルクが配分されるのではなく、常に多岐な情報からスリップを予想して、あらかじめ後輪にトルク配分をしています。状況に応じて100:0から0:100まで、前後のトルク配分を可変できるシステムです。
結果、オールトラックはタイムラグが無くレスポンスに優れます。
横滑り防止装置を使ったエレクトロニック・デファレンシャルロック・システムも装備しているので、滑りやすい路面ではアウディのクアトロと同程度の高いトラクション能力を発揮します。
安全装備も充実していますね。衝突軽減ブレーキやACC、リアビューカメラなどが標準となるほか、「アップグレードパッケージ」ではレーン・ア
シストも標準装備です。
サスペンション形式はベースとなるワゴンのヴァリアントが、トレーリングアーム方式のリアサスペンションを採用するのに対して、このオールト
ラックではスタビライザー付きの4リンク方式にアップグレードされています。
リアのドライブシャフトを通すため変更でもありますが、結果、剛性感が高くどっしりとした重厚な乗り味になりました。
総評★★★★
流石はゴルフの仕上がりでした。そして価格が安いのも驚きです。
ベースグレードが347万円です。
ノーマルのヴァリアント1.4リッターのTSIハイラインで348万7000円ですからどうなっているのかよく分かりません。
今回の試乗車は、標準グレードに比べて20万円高の「アップグレードパッケージ」でしたが、その場合、ACC(アダプティブクルーズコント
ロール・全車速追従機能付)を備えるほか、レーンキープアシストシステムも装備されます。
アウディA4オールロードクワトロが617万ですからいかにお買い得か分かります。
車格が違いますが、レガシィアウトバックと同程度です。
コスパと使いやすさはこのオールトラックが一番だと思います。
【スペック】ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4585×1800×1510mm/ホイールベース:2635mm/車重:1540kg/駆動方式:4WD/エンジン:1.8リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ/トランスミッション:6段AT/最高出力:180ps(132kW)/4500-6200rpm/最大トルク:8.6kgm(280Nm)/1350-4500rpm/タイヤ:(前)205/55R17 95V/(後)205/55R17 95V(ミシュラン・プライマシー3)/燃費:14.7km/リッター(JC08モード)/価格:367万円(アップグレードパッケージ)(写真はブログ「試乗オヤジのたわごと」と「フェイスブック」)にアップします。