私の住む大阪にも駅前の玄関グランフロントのオープンを機に、メルセデスベンツのアンテナショップたるメルセデス・ベンツ・コネクションがオープンしました。
六本木に次いで2店目となるコレはカフェコーナーやグッズなどのショールームも併設しメルセデスベンツを気軽に楽しんでもらおうという趣旨のようです。
ちなみにカフェコーナーではビールなどのアルコールも用意されるというのがこれまでの自動車メーカーらしくなくていいですね。
実に大人っぽい感じがします。
そして私にとってはトライアルクルーズという試乗メニューがトピックです。
これは最新モデルをしつこいセールス無しに気軽に試乗できるとあってかなりの人気でした。
本当は新しいGL550に乗りたかったのですが、なんでも昨日お客さんがドアミラーをぶつけたそうで少しの間はスタッフの運転によるタクシークルーズのみの設定なんだとか!残念。ちなみに初日はCLSのホイールも擦られたそうで・・。
でもそんなことで車種を絞るとかはやめて欲しいなあ。
というわけで、今回はメルセデスベンツとしてはなんと21年ぶりとなる正規のMT仕様(ちなみにこの前は「190Eアンファング」)となるメルセデスベンツSKL200ブル
ーエフィシェンシー 6MTに乗ってきました。
スタイル★★★★★
ここは文句なしですね。
だってどう見てもベンツのオープンでSLの弟分という感じが良く出ていますから。
小さいながらも緻密でサイズを越えた品質感もあります。
顔もスッキリしましたね。LEDで高級感もあります。
グリルがもう少し寝ていてもいい感じもありますが、これもクラシックな演出なのでしょう。
SLSもそうですが立っていることでメルセデスらしいフォーマルな印象を与えています。
リアの丸みもSL譲りです。
小ぶりな丸いお尻はセクシーです。
ホイールハウスの綺麗なアーチやボディとのバランスも完璧です。
もう当分あまりいじる必要のない完成されたスタイルだと思います。
内装★★★★☆
内装もこの価格帯にしては高級感がありますね。
ダッシュは低い位置にあり、かつ直線基調で視覚的な安定感を感じさせてくれます。
クロームの使い方やメーターのレタリングなども流石にメルセデスは心得ている。
かなり高級感があります。
オプションのレザーの質感もいいですし、シートのサイズがたっぷりとしているのも小型のクルマに乗っているという感じがしない要素でしょう。
またオープン特有の装備としてはヘッドレスト下にある吹き出し口から温風が吹き出す「エアスカーフ」やオープン走行時に後方からの風の巻き込みを抑える「ドラフトストップ」も有効に作用します。
これらはオプションの「レザーパッケージ(28万円)」に含まれる装備ですが、オープン時の疲れ方がまったく違うのでこれは欲しい装備です。
唯一気になったのはアームレストの位置が高く、MTの操作の邪魔をすることです。
これはAT仕様と変更して欲しかった部分です。
普通に操作するにはいいですが、比較的低い位置にあるMTのレバーを速いテンポでセカンドなど手前に引く時には意識しないと肘がアームレストに当たります。
まあのんびりドライブする時にはありがたい装備なので、せめて高さを調整出来るといいですね。
エンジン★★★★
エンジンは1.8リッター直4直噴ターボで184ps&27.5kgm。このスペックはATモデルと同一です。
低速トルクがあって実に粘り強いエンジンです。MTでのスタートにもまったく気を使わないほどです。
フラットな特性で中速のトルクも分厚いです。
まあ回しても音がそれほど良くならないのが難ですが、トルクとレスポンスは実は4000rpmくらいから少し活気を帯びます。
スピードは気がつけば思いのほか乗っているタイプでパワーは十分です。
注目のシフトはストロークが割りと短めでコクコクと決まるタイプです。
フィールは少し人工的で決して最上とはいいませんが不満もありません。
発進はとにかく楽です。
クラッチのストロークは長めですが、つながりは実にスムーズですし、粘るエンジンによってまずエンストする心配は要りません。
初代のボクスターの難易度を1とすると10点を付けたくなるほど発信のしやすいMT車です。
万一、エンストしてもクラッチペダルを踏み直せば、アイドリングストップの再始動機能が勝手にエンジンをかけてくれますから、なにも無かったふりをして直ぐにスタートできます。
アイドリングストップも、“ニュートラルでクラッチから足を離す“という条件を満たしたときのみ作動します。
クラッチペダルを踏むかステアリングをきれば即座にエンジンが再始動します。
またパーキングブレーキはスイッチ式のままですが、ヒルスタートアシストもあるので安心です。
これは勾配に関係なく作動していて、常に落ち着いてクラッチミート出来ます。
ギアレシオは全体に高めです。街中では4速以上はあまり使わないほどです。
レシオはトップの7速を除く1~6速までは、7段ATのほうが低いレシオで細かく刻む設定になっています。
とにかく扱いやすいMTです。エンジンもシャープというかスポーティーな感じは薄いですが、メルセデスらしく絶大な安心感のあるMT車です。
足回り★★★★
MTのみスポーツサスペンションが標準になります。
タイヤがランフラットでなくなるのも特徴です。
乗り心地は総じて快適ですが、欲を言えばもう一段のしなやかさを期待します。
確かにベンツらしくボディ剛性も含め不満の無い出来なのですが、最新のAクラスやCLSの出来の良さを知るともう1段上を期待してしまいます。
またスポーツ車としてはソリッド感も不足しています。
確かにボクスターのようなキャラではないのは分かりますが、何か特長が欲しいところです。
不満が無いだけに少し退屈な足回りに感じてしまうのは贅沢というものでしょうか?
あとステアリングはベンツ特有なのですが、キャスターアクションの少ないタイプで低速時に戻してやる必要があります。
例えばパーキングなどでこれはかなりもどかしく感じます。
新車で少しフリクションが残っていたこともありますが、ベンツといえどスポーツタイプのクルマにはもっとシュアで気持ちのいいステアリングが欲しくなります。
総評★★★★
SLKの場合も性能で見ると最高速こそMTのほうが高い(MTが240km/h、ATが237km/h)ものの、今や0-100km/h加速はATが優勢(MTより0.3秒速い)。
燃費もATのほうが良好です。
それでも趣味的な視点で見れば、どんな機械でも人間が介在する余地が大きいほど愛着が増すものです。
カメラや時計もそうですが、クルマも趣味で乗るならMTの方が楽しめると思います。
多くのメディアはこのSLKを称して「大人のMT車」などといいます。
確かにゆったり走るにも向いていますし、飛ばしてもそこそこの手応えがあります。
もちろん86などより所有する喜びやモノとしての価値も高いでしょう。
そういう意味では小型のオープン2シーターであるSLKは最も玩具性の高いモデルでありMTを与えるに最適なモデルです。
グレードも350やAMGではなくこの200というのも見識でしょう。
今回久しぶりにMTのメルセデスに触れ、こんなクルマでのんびりと旅に出てみたいなあ!と感じました。
クルマと自然との対話を満喫できると思います。
大人がのんびりと楽しめるMTモデルとしては、現在アルファロメオ・ジュリエッタやシトロエン・DS3、プジョーRCZ(ボクスターは少しリアルスポーツよりか)などと並んで現在最も魅力的な1台だと思います。
そしてフルオープンで楽しめるのはこのクルマだけです。
ベンツには珍しくなかなかセクシーで魅力的なクルマと感じました。
【スペック】全長×全幅×全高=4150×1845×1295mm/ホイールベース=2430mm/車重=1460kg/駆動方式=FR/1.8リッター直4DOHC16バルブターボ184ps/5250rpm、27.5kgm/1800-4600rpm)/価格=493万円
(※この記事は2013年4月に書いたものです。有料版の記事の一部を加筆訂正し約1年遅れで配信しています。)