走りの楽しさは本物か?
4代目のプリウスです。6年半ぶりのフルモデルチェンジですね。
既に多くのメディアでリッター40キロを超える燃費と、走りの良さが評価されているようですが、どうでしょうか?
カタログを見る限り、リッター40キロというモデルはガソリンタンクやウオッシャータンクまで容量を削った燃費スペシャルですから、ノーマルグレードの37.2km/リッターというのが実力でしょう。
それでも先代よりも5キロ近く延びているのですが、やはりこうしたカタログを飾るだけのモデルを出すというやり方はどうかと思いますね。
走りの方はToyota New Global Architecture(TNGA)のプラットフォームがトピックです。
これまでプリウスの最大の弱点とされていた走りの楽しさは改善されたのでしょうか?
さてさて、それでは早速逝ってみましょう!^^
スタイル★★★★☆
ここは大胆に変えてきましたね!
フロントの複雑な線の交錯はなかなかインパクトがあります。
リアの造形も個性的ですね。
空力の実験車のようです。
Cピラーがブラックアウトされているため、ルーフ後端は浮いているように見える処理も含めてMIRAIに似ていると言われればそうとも思いますが、トライアングルシルエット”を描くサイドビューのフォルムは明らかにプリウスのそれです。
全高は、先代モデルよりも20mm低く、全長は60mm長く、全幅は15mm拡大されています。
結果、空気抵抗係数は0.24と立派な値ですが、ボディが大きくなったことも初代を知るものには残念ポイントかもしれません。
内装★★★
外観に比べると内装は保守的になりました。
先代は大きなセンターコンソールが盛り上がり、ボリュームがありましたが、新型は低く分割されたことでドライバーの囲まれ感は薄くなりました。
かなり開放的な印象になっています。
また全高が20mm下げられたことに伴い、ドライバーのヒップポイントは59mmも下げられています。
これは低重心化を図ることが目的だそうですが、先代から乗り換えるユーザーには好みが分かれるかもしれません。
トランク容量は先代よりも12%ほど増えています。
しかし、残念なのはバンパーレベルからフラットだった先代に比べ、段差ができていて使いかっては少し劣るかと感じました。
また左側にあった小物入れのスペースがなくなり、床下のスペースも小さくなっていると感じました。
また残念なのは今時足踏み式のパーキングブレーキという事ですね。
せっかく未来的な外観なのにがっかりです。
またシートヒーターの位置も小さく分かりにくいですね。このあたりの操作性は改悪と感じました。
エンジン★★★★
エンジンはパワフルになりました。
特にパワーモードのスムーズさとパワフルさは印象的です。洗練性は文句なしです。静粛性も高くなりました。
エンジン=1.8リッター直4 DOHC 16バルブ(98ps/5200rpm、14.5kgm/3600rpm)/モーター=交流同期電動機(72ps、16.6kgm)新たに設定された待望の4WDモデルは更に後ろに7.2ps、5.6kgmのモーターが加わります。
エンジンの熱効率はなんと40%に達したといいいます。
バッテリーは上級グレードではリチウムイオンになっています。
ニッケルとのパワーの差はありませんが、重量が15キロほど軽いのがメリットです。
逆にデメリットは供給不足でリチウムイオンバッテリー搭載モデル納期は今でゴールデンウィーク明けだそうです。
残念なのは先代モデルでは、ワンタッチですぐにモードを切り替えることが出来たのですが、新型では、スイッチを何度か押さないとモードを切り替えることが出来なくなりました。
走行中の切り替えは少し危険かと感じました。
足回り★★★
ここが前評判からして最も期待した部分です。
Toyota New Global Architecture(TNGA)のボディーのねじり剛性は先代より約60%向上し、リアサスペンションはダブルウィッシュボーンに換えられています。
乗り心地は大幅によくなりました。コツコツとした振動が取れなかった先代からすると非常にあたりはまろやかです。
大きな衝撃にもボディがしっかりとしているので顎を出さなくなりました。
ハンドリングも確かに素晴らしく進化しています。
低重心化の恩恵もあってロールスピードは予想よりも穏やかで、途中でコーナーが深くなってもロールが深くなることもありません。
ただ残念なのはステアリングフィールがまったくもって希薄なことです。
はっきり言ってこれがすべてを台無しにします。トヨタでも最近はシエンタなどしっかりとしたフィールを持つステアリングもあるだけにまったく持って不思議で残念です。
せっかく底上げてきたサスペンションやボディの資質が、このステアリングで台無しです。
素材のいい料理も味付けで台無しになるように、このステアリングは致命的です。
あまりに軽すぎるのと本皮でないグレードだったこともありますが、なんとも心もとないフィールでした。先代のような極端な楕円でなくなったのは救いですが、そのフィールは相対的な感覚かもしれませんが、先代よりも劣っていると感じました。
総 評★★★☆
走りの前評判がよかっただけにステアリングはがっかりでした。
しかしボディやサスペンションの素性は非常によくなっていることもわかりました。
4WDの追加も雪国の人には朗報でしょう。
PHEVモデルの期待も高まります。アクアを抜いて今年は売り上げNo.1になるのもほぼ間違いないと思います。
正常進化といえば間違いなく正常進化です。
街の景色を変える思い切ったスタイリングもいいと思います。
しかしその乗り味はやっぱり好みではありません。クルマ好きに刺さる充実感に欠けるのです。
快適ではありますが、またもやトヨタは日本のマジョリティに運転の楽しみを与えてクルマ好きにさせるチャンスを失いました。乗って楽しいクルマを作ることがクルマ離れを防ぐもっとも近道だと思うのですが・・。
【スペック】ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4540×1760×1470mm/ホイールベース:2700mm/車重:1360kg/駆動方式:FF/エンジン:1.8リッター直4 DOHC 16バルブ/モーター:交流同期電動機/トランスミッション:CVT/エンジン最高出力:98ps(72kW)/5200rpm/エンジン最大トルク:14.5kgm(142Nm)/3600rpm/モーター最高出力:72ps(53kW)/モーター最大トルク:16.6kgm(163Nm)/タイヤ:(前)195/65R15/(後)195/65R15/燃費:37.2km/リッター/価格:247.9円