カイエンよりスポーティー!
インドネシア語で「トラ」を意味するマカンですが、ターボの試乗車があるというので乗ってみました。
マカン ターボの本体価格は997万円 で、「マカンS」より278万円、素マカン比では381万円高価ですが、果たしてその価値はあるのでしょうか?
さてさて、それでは早速逝ってみましょう!^^
スタイル★★★★
ポルシェは相変わらず上手いですね。
フロントフェンダーからドアにかけてまっすぐに伸びるライン(911と同様に車両感覚が掴み易く、コーナーでCPを狙いやすい)やクーペ的になだらかなCピラーなど、どこから見てもポルシェであるだけではなくカイエンよりも引き締まって見えます。
特にこのターボは専用デザインのフロントまわりやテールパイプ、標準で装備されるサイドスカートなどで精悍な印象となっており、まさにマカンの名に相応しいデザインとなっています。
フロントの大きなグリルは大きく口を開けて今にも襲い掛かるトラの躍動感を感じさせます。
サイズの割にタイヤが大きいのもカイエンよりもスポーティーな印象です。
内装 ★★★★
内装もサイズ的にカイエンよりもテンション高めです。
パナメーラ以降に共通する、シフトレバー両脇にスイッチを並べたコンソールや、カイエンと共通するポルシェSUVのアイコンであるアシストグリップや縦長センター・エアベントなどで見慣れた風景ではあるものの精緻でスポーティーです。
ドライビングポジションもアップライトに座るカイエンなどのSUV系と違って高い位置にあるのに911的です。
完全にオンロード重視です。
試乗車はオプションのナチュラルレザーインテリアや、カーボン製のステアリングホイールなどが付けられていました。
リアシートも広いですね。また広いだけでなくポジションもいいです。
4:2:4の3分割可倒式です。ラゲッジは床が高くテールゲートの傾斜がきついためか、少し狭い感じです。
エンジン・ミッション★★★★
マカンターボ のエンジンはマカンSと同じくV6ツインターボですが、Sの排気 量が3リッターなのに対して、ターボは3.6リッター。
400ps/56.1kgm、3.6リッターV6ツインターボエンジンには、排気側のバルブタイミングと吸気側のバルブリフト量を制御する可変バルブ機構や、筒内直接燃料噴射システム、ドライサンプ式のオイル潤滑機構なども備わります。
今回は「スポーツクロノ・パッケージ」(19万5000円)も付いてました。
このオプションの「スポーツクロノ・パッケージ」を選択すると、可変ダンパーやトランスミッション、エンジンなどの制御をよりスポーティーなもの に切り替える「スポーツ・プラス」モードや、デジタル/アナログ両方の表示機能を備えたストップウオッチが装備されます。
「マカンターボ」は最高速が266km/h、0-100km/hが4.6秒(「スポーツクロノ・パッケージ」装着車)という動力性能を実現しています。
動力性能的にはSで十分ですが、約300万円のエクストラを払ってこのターボ(Sもターボですが)を選ぶのは、高速道路上の加速でしょうか?
トランスミッションは7速PDKです。いまやBMWの8速やローバーの9速などもありますので驚きませんが、いまだにこのミッションのレスポンスとスムーズさはポルシェの名に相応しいと思います。
足回り ★★★★
サスペンションはフロントが ダブルウィッシュボーンです。
リアサスペンション変形ダブルウィッシュボーンというか、リンクが短いマルチリンクです。
いずれも複雑なアーム形状ですが、よく動くことが驚きです。
つまり乗り心地がいいのです。
ボディ剛性というか剛性感はカイエン以上です。アウディQ5と同じMLBプラットフォームですが、剛性は911並に高く感じます。
これが決定的に乗り心地の印象を良くしています。
とにかくスポーツ・プラスにしても上下動の絶対値やスピードはともかく、無粋なハーシュネスが皆無で印象を良くしています。
プレミアムSUVに相応しい乗り心地です。
ハンドリングも恐ろしい水準にあります。SUVの物理的な限界を感じさせません。
カイエンでさえ感じた大きさや重心の高さによるハンディはこのマカンにはありません。
確かに車高はカイエンターボSの1700mmに対してマカンが1625mmですから、少し低いですがそれ以上にポジションや足回りの引き締まり具合なども影響してか、マ
カンはほぼスポーツカーの動きをします。視界が良くコーナーの見切りもいいので、ワインディングでも並みのスポーツカーを引き離すペースで走れます。
もちろんカイエンが悪いというわけではありません。
カイエンにはカイエンでゆったりしたリズムや広い室内、高いポジションによる視界など本来のSUV的な楽しみがあります。
そう思うとマカンはSUVとスポーツカーの間ぐらいの感覚ですね。
タイヤサイズは、前:235/55R19、後ろ:255/50R19が標準で試乗車にはオプションで前:265/40R21、後ろ:295/35R21というサイズのタイヤと21インチアルミホイール(51万9000円)が装着されていました。
星が一つ欠けるのは電動パワステのフィールがタイヤとボディ形状の違いもありますが、ポルシェの第一級レベルには及ばないからです。
総評 ★★★★
辛口が売りの試乗オヤジとしてはこの車に乗る前には「マカン、アカン」というゲスいタイトルが頭に浮かんでいました。
しかし、あまりに完璧なマカンに触れ、このタイトルは早々に候補落ちしました。
そのあまりの素晴らしさに「イヤン、アハン・・」みたいなさらに下衆い言葉がよぎったほどです。
しかしターボはオーバークオリティというか日本で楽しむなら私ならSにします。
ベストバランスはSだと思いますね。実際Sが一番売れているといいます。
Sなら日本の道でも楽しめます。
サイズも適度なので、実用性も文句なしです。
マカンSかGTSがお勧めです。
【ス ペック】ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4700×1925×1625mm/ホイールベース:2805mm/車重:1980kg/駆動方式:4WD/エンジン:3.6リッ ターV6 DOHC 24バルブ ツインターボ/ トラン スミッション:7段AT/最高出力:400ps(294kW)/6000rpm/最大トルク:56.1kgm(550Nm)/1350-4500rpm/タイヤ:(前)265/40R21 101Y/(後)295/35R21 103Y(ミシュラン・ラティチュード スポーツ3)/
燃費:8.9-9.2リッター/100km(約10.9-11.2km/リッター、欧州複合モード)/ 価格:997万円