ブランニューゆえの完成度不足か?
8年ぶりに7シリーズがフルチェンジされたので乗ってみました。
V8を搭載する上級グレードの750iですね。
さてさて、現時点で最も新しい世界の最高級車の走りとは?
●概要
1987・1994・2001・2009、7のフルチェンのサイクルです。
正に7年ごとだったのが、前モデルは8年とちょっと長生きしました。
クリストファー・エドワード・ハングルの前衛的なデザインのお蔭でしょうか?
スタイル★★★★
チーフはアメリカ人からオランダ人のアドリアン・ファン・ホーイドンクに変わりました。
実に繊細でまとまりが良くなりました。
先代が荒削りで彫刻的で男性的だったとすれば今回は女性的です。
あまりのまとまりの良さからコンパクトにさえ感じられます。
ある種の毒がなくなったのは高級車としての押し出しが弱く寂しいともいえますが・・。
内装★★★★
内装のデザインは先代からのキープコンセプトです。
一方、特徴的だったシフトなどの操作系は普通になりました。
但しセレクターの操作自体は慣れが必要です。
テカテカのウッドはあまり好みではありませんが、ダークな無垢のカラーも選べます。
シートの良さは流石です。
サイズもクッションの厚さも文句なしです。
エンジン★★★☆
エンジンは2種です。
3リッター直6ツインターボエンジン(326ps/5800rpm、45.9kgm/1500-4500rpm)の「740i」と、4.4リッターV8ツインターボエンジン(407ps/5500rpm、61.2kgm/4500rpm)の750i。ミッションは7ATです。
今回はV8ツインターボに試乗しましたが、終始タービンのミーンという安っぽい音がするのが興醒めです。
ピエゾインジェクターを用いた直噴でパワーも402ps&61,2kgmですからパワーにまったく文句は無いのですが、フィールにもいまいちBMWに期待するドラマがありません。
確かにどこからでも圧倒的にスムーズに瞬間移動するのですが、アクセルのオンオフに敏感で、レスポンスがいいという意味ではなく、高級車としては過敏で、アクセルワークに気を使うのです。
X6で経験したV6バーションの方が印象が良かったので740iの方がお勧めです。
パワーが大きいためか、遊びが大きいようなバックラッシュを感じます。初期型ゆえの問題だといいのですが。
足回り★★★★
4段階に硬さを変える事ができます。
同乗者を乗せている時は「ノーマル」、一人で乗る時は「スポーツ」がベストです。
「コンフォート」は発信時のスクオットやうねり通過時のピッチングが大きくドライビングのリズムが崩れますし、同乗者も無駄に揺られます。
ボディのロールを抑える「ダイナミック・ドライブ」&速度や加速度、ボディの動きをリアルタイムで解析し、その情報にあったダンパー設定を実現する「ダイナミック・ドライビング・コントロール」がついている割りには・・?
またインテグレイテッド・アクティブ・ステアリング”は通常のアクティブステアリングとともに60km/h以下だと、後輪は逆位相にきれ、低速では、前輪と逆向きに角度が最大3度ステアするシステム。
非常に小回りが利き7のボディを5のように感じさせます。
高速ではもちろん安定性を確保するために同位相にステアします。
懐かしの928のバイザッハアクスルやスカイラインのハイキャスのようなものですが、さすがに違和感なく効果も感じられます。
とにかくスポーツモードにしている限りは、まるでスポーツカーのようなハンドリングを見せます。
スポーツプラスにするとDSCが解除されるというのもBMWらしいです。
問題点は乗り心地です。専門誌では絶賛されているので期待して試乗したのですが、ランフラットの荒さは取れていないし、フロントだとフロアの剛性も期待値以下です。
同時に試乗したX6の方が遥かにディープ感が高かったです。
またブレーキがスムーズに止まりにくいのも高級車としては?です。
これは伝統的に7の欠点なのですが、止まる寸前にギギッっと音を発したりしますし、同乗者の首を揺らさないようにスッと止まることが非常に難しいのです。
このあたりはクラウンの方が遥かに上です。日本で使うには非常に重要なポイントだと思うのですが?
総合評価★★★☆
まだ、はっきりと洗練不足です。
1年待ちましょう!スムーズに走れない高級車は失格です。
エンジンも同時に試乗した740のV6の方が例のミーンという音も気になりませんでしたし、トルクが少ない分、姿勢変化も穏やかでスムーズに走れました。
扱いやすかったです。
よほど飛ばす人を除いて、スムーズさを身上とする高級車としては現時点では先代の最終モデルの方がお勧めです。