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ミラージュ M 試乗  三菱 

価格は正直?

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↑丸みを帯びた女性的なフォルムはほのかに初代の面影を感じます。工作精度は・・。ボンネットの隙間など大きいですね!

 

私のように40代のオヤジ世代ではミラージュといえば78年の初代を思い浮かべると思います。

当時はまだ珍しかったフラッシュサーフェス化されたクリーンなスタイル(カタログにはイメージにリンゴがいっぱい載っていたような)や、スーパーシフトという副変速機付きのミッションなどが特徴で日本車離れしたフレッシュなスタイルで人気を集めました。

 

まあ、その後のミラージュは初代のような個性は無くなってほとんど思い出せない存在になってしまったのはご存知の通りです。

今回復活したミラージュですが、中身はもちろんコンセプトも従来のミラージュとは何の脈絡も無いです。名前は単にサイズで与えられた感じですね。
コルトでも良かったのではと思います。

 

新型は価格の安さと燃費など経済性に主眼を置かれて開発されたクルマです。

アジアへの販売を考慮し生産拠点をタイにしたのも「日産マーチ」などと同じですね。

タイで生産すればタイ政府の誘致政策によって優遇税制が受けられる他、ASEAN(東南アジア諸国連合)内は関税がかからないなどのメリットがあります。

JC08で27.2km/リッターの低燃費に加え、99万8000円からという低価格がウリのコンパクトカーです。

 

スタイル★★★☆
角を丸めたスタイルは確かに初代の面影を残しています。

明るいボディーカラーが豊富なことも(全8色)フレッシュな印象ですね。ちなみに人気のボディーカラーは試乗したセルリアンブルーマイカだそうです。

フォルムは横から見るとウェッジを意識した直線的なキャラクターラインが走りますが、全体に丸みを帯びているためソフトで女性的な印象になっています。

また新しいカローラもですが昔を思わせる比較的立ち気味のAピラーにも好感が持てますね。

 

しかもその割に燃費に影響する空気抵抗も低くCd値は0.27と優秀な値を得ています。

特筆すべきは、ライバルより100kg近く軽い870kgという車重を実現したことでしょう。

軽量であることは燃費にも走りにも利きます。

ココは評価するポイントだと思います。

 

ただ残念なのは品質ですね。

特にドアの開閉は誰でも分かるほどスムーズさを欠きます。

このあたりはマーチもそうですが、価格を抑えるために割り切っているのでしょう。

またボンネットの隙間などは遠目にもはっきりと大きく、ドアの前後や上下のクリアランスもバラバラです。

低い工作精度はタイ工場の宿命なのでしょうか。

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↑内装も期待してはいけません。デザインにもコストがかかるようです。テレスコも付きませんがシートの高さ調整はあります

 

内装★★
内装も黒だけではなくベージュも用意されるのは、頑張ったと思います。
流石にボディーカラーによって限定され自由に選ぶことは出来ませんが。

後席は狭いです。

177センチの私だとレッグルームもヘッドクリアランスも最小です。

このあたりは間違ってもフィットやノートと比べてはいけません。

後席中央にも3点式シートベルトが備わるのはいいですが、全てのグレードで後席中央のヘッドレストは用意されません。

 

運転席のスペースは十分です。

シートは座面が短いのは気になりますが、クッション自体は薄めながら、表面に僅かながらソフトな部分があって、ホールドもしっかりしています。ステアリングはチルト機構は備わります
がテレスコは付いていません。

ダッシュやドアの内張りはもちろん安手のプラスチックでデザインも見るべきものはありません。

デザインにもお金がかかるということでしょうか?

 

エンジン★★☆
エンジンは3気筒1リッター、DOHC12バルブ(69ps/6000rpm、8.8kgm/5000rpm)です。

「コルト」に搭載されていた4気筒から1気筒を切って3気筒にしたものですね。

3気筒にしては振動は良く抑えられている方だと思います。

もちろん気にして乗れば分かりますが。

 

一方音は少し気になりますね。

軽量にこだわった為に吸音材は最小です。
2500回転以上ではガサガサとしたかなり安っぽい音質の排気音が響き渡ります。

 

トランスミッションは「日産マーチ」などと同じジヤトコ製の副変速機付きCVTですが、これも並でダイレクト感などは期待してはいけません。
ただマーチでもそうですが、車重が軽いことでそこそこ軽快に走るのが救いです。

少し前までは安全性とボディ剛性に対するヒステリックなまでの要求から車重は重くなる一方でしたが、ココに来てエコと経済性を重視する風潮の副産物ですが、各社とも軽量化に対する取り組みが見られるのはいいで
すね。

 

マーチやミラ・イース、アルト・エコなどいずれもボディ剛性はそこそこで乗り味は安っぽいですが、軽量ボディで軽快感のある走りはちょっと懐かしくもあります。

特徴はクラストップのJC08モード27.2km/リッターという低燃費ですね。
アイドルストップのAS&G(オートストップ&ゴー)は少しクランキングが長く他社に比べ僅かに見劣りします。

 

足回り★★☆
乗り心地は意外にいいです。

燃費重視で硬く高圧設定のタイヤを履きますが、角はしっかりと取れています。

165/65R14という細めのタイヤサイズも正解で非常にすっきりとした軽快な乗り心地です。

横滑り防止装置が全車に標準装備となっているのもいいですね。

 

ただ、ステアリング・フィールはかなり酷いです。

フリクションの塊です。

路面状況をまったく伝えません。

シャフトに厚紙でも挟まっているかのようなフィールで、せっかくの軽量ボディによる軽快感も台無しです。

ドアの感触もそうですがココまではっきりとしたコストダウンの痕跡はアリなのでしょうか?かなりクルマに疎い人でもこれは気になると思います。
というか運転するのが嫌になるのではないでしょうか?

実はたまたまこの後に新型ノート(価格はミラージュの約1.5倍)に乗ったのですが、やはり価格以上の差を感じましたね。

まあ詳しくはまたレポートしますが、「ノートってこんなに良かったか?」と思ったものです。

 

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↑前後でドアのちりが違うのもご愛嬌。ドアを開け閉めすればマーチと似た感触ですね。つまりスムーズさを欠きます。でもこのクルマにそこを求めてはいけない?

 

総評★★
ベース車両で100万円を切る価格は確かに価値です。

しかしこういうものは本当に今日本が作るべきものなのか?ということをそろそろ考えなくてはいけないのではないでしょうか。

この品質と性能なら韓国車や中国車でいいじゃないのかと?

確かに信頼性の部分では日本メーカーの強みはあると思います。

しかしタイ工場で作り、実際品質もそれなりのものしか出来ないなら安く作ることに長けた韓国車の方がイイのでは無いのか?例えばヒュンダイのi20とミラージュを比べるとどっちが楽しいかと問われればi20と答えてしまいます。

このミラージュやマーチを見ると日本車は今や本当に難しい位置にいるのだなと感じます。

世界に高く売れるブランドを持たないことで高級車や個性ではヨーロッパ車に適わない。

かといってアジアに売ろうとすると価格では韓国車に適わない。

このままではテレビやガラパゴ携帯ではありませんが、世界市場からシェアを失ってゆくかもしれません。

かつて日本車は安くて高品質だったから世界を席巻したのです。

そこそこ安くてそこそこの品質では今や誰も相手にしてくれません。

市場の二極化はどんどん進んみ、日本車の居場所がなくなっているように感じるのです。

だからミラージュにはちょっとたセンスや乗り味の違いなど、「流石に安くても日本車はいいな!」と思わせてくれる何かを期待していたのですが・・。

 

【スペック】全長×全幅×全高=3710×1665×1490mm/ホイールベース=2450mm/車重=870kg/駆動方式=FF/1リッター直3DOHC12バルブ(69ps/6000rpm、8.8kgm/5000rpm)/価格=118万8000円

 

(※この記事は2012年9月に書いたものです。有料版の記事の一部を加筆訂正し約1年遅れで配信しています。)

 

 

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