腐ってもベンツ
↓C220
↓C280、妙なエアロでちょっとスタイルぶち壊しちゃってます
2世代前のCクラスがやってきました。確か最初のマイナーの頃に試乗した覚えがありますから、10年ぶりの再会です。懐かしいですね。
12年と9万キロを経て、経年変化がどのぐらいかも興味があります。
以下、試乗時間の長いC220をメインに書きます。
●概要
93年のデビューです。
4気筒の220、5気筒ディーゼルの250、6気筒の240.280などがありました。
94年には2リッターの200を追加、97年にマイナーを受け2,4と2,8はV6に、ATは5ATになっています。
その間、36.43.55といったAMGもラインナップされていました。
この96年の220は新車価格390万円というバーゲンプライスで話題になりました。
スタイル★★★
C220の写真が明るい(とんでいる)のは先週末の春の陽気のせいだけではありません。
前日のディナーがムーディーなイタリアンだったため、料理の撮影になんとか店員に気づかれまいと、ストロボをオフにし、露出補正をプラス2に設定したのですが、そのまま撮ってしまったのですね。
しかもロケーションはスーパーの屋上の駐車場です。
スミマセン。
そうそうスタイルの話! でもこれはもう誰がどう見ても当時のベンツそのもののスタイルです。
いい悪いというよりベンツを好きか嫌いかだけの問題です。
まあデビューから15年を経てさほど醜くならないのは、セダンのプロポーションの基本に忠実だからでしょう。
SとEとはサイズこそ違えど、そのテイストは不変です。
それにしてもW202の4,495×1,720×1,420mmの3サイズは今となっては随分小さいですね。
ちなみに現行W204は4,585×1,770×1,445mmです。
内装★★★★
↓この96年からタッチパネル式に変更されたセンターコンソールのエアコンのコントロールパネルですが、実に使いにくいです。
昔は指の感触で操作できましたが、慣れないと視線を動かして、確認しながらの作業です。
このあたりからです、ベンツも日本車みたいに見てくれを重視してマーケットに媚びだしたのは。
↓99年のC280にはサイドエアバックが付いています。
↓このクルマのリアの居心地の良さは流石です。
写真はフロントシートをめいいっぱい下げていますが、普通にすればレッグスペースも十分ですし、何よりバックレストの立ち加減が適切で疲れません。
シートの材質も「バン」とした張りがありこの時代のベンツ特有のたくましさです。
↓この使いやすいパワーシートのスイッチはまだ健在です。
↓C280、5AT
エンジン★★★★
ミッションはこの年まで4速なので100キロで2700回転と、今の基準からするとローギアードです(C280は5速で2300回転)。
かくっとした硬質感を伴って繋がるのは、この時代のメルセデスの特徴で、新車からのものですが、この個体は明らかに1-2速間にショックが出ていました。
直4DOHCエンジンは2198cc、150psです。見た目は随分とくたびれていますが、フィールは健在です。
4気筒とは思えないほどスムーズで、特に高速では「ツーン」とバランスが合ってきます。
その回転感はまるで宇宙ゴマが高速で回転している時のようで、エンジン自体が永遠に回っていたいのか? と思わせる重量感です?(伝わりますか?)
でも、この感覚はこの時代のメルセデス全てが持っていたものです。
W124の直列6気筒もクランクシャフトの精度の良さを感じるもので、高速で実に気持ち良く回り続けようとします(単にフライホイールが重いだけか?)。
しかし、残念なことに、この感じは確かにここでキレイさっぱり終わります。
後のW203も今のW204にもありませんし、後のEもSも同じです。
この時代明らかにベンツは変換期だったのです。
↓C220
↓C280、V6は流石にスムーズに回りますが、2.8リッター、197ps、新車価格560万円でした。
↓C280
足回り★★★★
この個体は9万キロを経てボディはしっかりしていましたが、ステアリングにガタがありました。
中立付近の遊びが大きく、パーキングスピードでカタカタと音を立てていました。
市街地ではその遊びの範囲で常に修正を強いられました。
10年前に乗った新車は明らかにこんな風ではありませんでした。
またこれは新車からですが、セルフアライニングトルクが弱く、低速では意思を持って戻してやる必要があります。
それでもいざステージを高速に移すと、そこは流石です。
高速にメインを置いたサスペンションもようやくバランスが取れ、100キロのクルーズではこのサイズのクルマとは思えない抜群の安定性を示します。
乗り心地は固めですが、それがまったく嫌でないのはやはりボディがしっかりしているからでしょう。
W203でこの乗り心地の角は見事に丸められますが、同時にこの爽快感は失いました。
市街地でも感じられる抜群のフラット感も見事なものです。
奥底に潜む、過剰なまでの品質を人間は敏感に感じるものです。
↓P6000のトレッドの硬さを見事に履きこなしています。サイズは195/65-15
総合評価★★★★
この★4つは当時のクルマとしてはと判断してください。
ただ現代でもこのテイストのクルマはありません。
高速で調律の合ってくるエンジンの回転感、シャーシも明らかに旧ベンツ流で、直進モードと旋回モードの二段活用です。
直進時の抜群のフラットライド、そして若干の戸惑いを見せ、ぐらりと少々大袈裟なターンインを経て、しかしそこからはまた見事なまでの安定性を持ってインに引き寄せられるがごとくの定常旋回を見せる・・・。
それは確かに当時の2000年以前のベンツだけが持っていた宇宙でした。
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