C4唯一のシトロエンの味?
C3とC5以外ではすっかりドイツ的な乗り味になってしまったシトロンですが、新しいプラットフォームで登場した「C4ピカソ(5人乗り)」、「グランドC4ピカソ(7人乗り)」(今回の試乗車)は結論から言って、久々にシトロエンらしい癒しの乗り心地を持っていました。
スタイル★★★★
7年ぶりにモデルチェンジしたC4ピカソは今回から5人乗りも日本に導入されました。
デザインフロントもリアもCピラーも少しずつ違いますね。
5シーターはC・Dピラーとリアウィンドウを寝かせているのに対し、7シーターではDピラー&リアウィンドウを立ててスペースを稼いでいます。
ボディーサイズは7シーターでは先代比、全長、全幅は同じ、全高だけが50mmほど低なりました。
また全長は同じですがホイールベースは110mmも伸びました。
特徴は顔ですね!まあチェロキーに先を越されましたが、ヘッドランプの上に配置されるデイタイム・ランニングランプをアクセントにした変顔はシトロエンらしいと思います。またルーフからリアピラーを回りC型にグレーのアクセントも与えられています。カクタスのようなサイドのソフトパッドこそありませんが、十分に個性的であることに異論はありません。
内装★★★☆
ダッシュのセンターメーターレイアウトは従来と同じですが、デザインは少し普通になった印象です。
質感も水準にはありますが、デザインが凝っていたせいか従来型の方が楽しい感じです。
モニターは12インチのパノラミックHDスクリーンになり、その下には7インチのタッチパネル液晶が配されます。
メイン画面はスピード、エンジン回転やエアコン、カーナビ、オーディオなどの情報から3つを自由に組み合わせて表示させることができます。
ユニークなのはスピードメーターの表示です。普通のデジタルの他に、昔のシトロエンのように、針を固定してその裏に仕込んだ円柱
の糸巻き=ボビンのようなものに速度数字を書き、円柱が回転することで速度を判読するメーターをデジタルで再現しています。
これはファンには懐かしいですね!
シートレイアウトも従来型と同様、前から2-3-2です。3列目も無理なく座れます。
残念なのは全てのシートが大きくもソフトでもないことです。
ここは古いシトロエンの良き伝統が引き継がれませんでした。
掛け心地がいいのは救いですが、デザインやカラーはもう少し頑張って欲しかったところです。
標準のサンルーフもいいですね。
頭の上まで伸びたウィンドウは明るく開放的です。
お馴染み伸びるサンバイザーも付きます。
ステアリングはDタイプでスポーツカーのようです。
正直ちょっと違和感がありますね。
繊細なステッィクタイプのシフトレバーは従来通りです。
大きなセンターコンソールが外れるのはいいですね。
外せばウォークスルーになりますし、カバンを置くスペースにもなります。
エンジン★★★★
ここはいいですね。
エンジンはお馴染みのガソリン1.6リッター直4ターボ(最高出力156ps、最大トルク24.5kgm)です。
このエンジンはツキがいいですね。
低速トルクも豊かでシフトビジーになりません。
回り方も内燃機関らしさが感じられて楽しいものです。
ミッションは従来のRMT(ロボタイズド・マニュアル・トランスミッション)に代わってアイシンの6速ATです。
癖は無くスムーズです。
重量が140kg減ったので軽快に走ります。
5シーターは一層良く走ります。
足回り★★★☆
前回の308と同じ新しいモジュラープラットフォーム「EMP2」(Efficient Modular Platform)が採用されています。
これはホイールベースや地上高の設定など高い自由度があります。
5シーターと7シーターで55ミリ違います。
また308でも記しましたが、軽量化にも有効でC4ピカソでは約140kgの軽量化が図られています。
乗り心地はギリギリシトロエンの癒しがあります。
C5ほどではありませんが、当たりは柔らかく快適です。
先代のように走行中、常に前後にも左右にもゆらりゆらりと揺れる動きはなくなりましたが、ノーマルのC4と比べると十分にシトロエンしています。
残念なのはボディの剛性感がイマイチな事です。
ハンドリングは従来通りゆっくりとステアしてやる必要があります。
D型のステアリングに違和感があると言ったのはそのためです。
ステアリングを切ると確実にロールします。
それはちょっとした道のアンジュレーションでも同じです。
しかし全高が低くなったこともありますが、ゆっくりとステアしてやる限り問題はありません。
もちろんプジョーの3008や5008ほどのフラット感はありませんが、先代のようにグラリと来ることもありません。
5シーターはホイールベースが短い分だけスポーティーといいます。
総評★★★★
確かに外装のインパクトに比べ、内装やシート、走りに先代ほどの個性はありません。
それだけシトロエンも国際派になったという事でしょう。
ミッションの件もですが、使いやすくなったことは確かでしょう。
個人的にはC3、DS3、C5についで好きなシトロエンです。
【スペック】ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4428×1826×1613mm/ホイールベース:2785mm/車重:1296kg/駆動方式:FF/エンジン:1.6リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ/トランスミッション:6段MT/最高出力:156ps(115kW)/6000rpm/最大トルク:24.5kgm(240Nm)/1400-4000rpm/タイヤ:(前)205/55R17/(後)205/55R17/価格:378万円