4月には日本でもⅥとなるゴルフですが、
GTIに30psアップのピレリなる限定車(1000台)が発売されたので乗ってみました。
1,4リッターから3,2リッターまでバリエーションの多いゴルフですが、新しいGTIは果たしてベストゴルフだったのでしょうか?
●概要
大衆車=FF2ボックスのロジックを作った初代ゴルフのデビューは1974年でした。デザインはG・ジウジアーロです。
これまたというかホットハッチの元祖ともいえる初代GTIのデビューは2年後の1976年でした。
5代目ゴルフⅤのデビューは2003年、GTIは遅れること1年の04年です。
ノーマルのGTIは200psで、この限定車のピレリは30psアップの230ps、価格は46万円アップの419万円です。
専用のステアリングとシート、そしてピレリのP-Zero225/40-18&7,5Jホイールなど、装備も充実で価格差以上の価値は十分にあります。
スタイル★★★
デビューから6年を経てまったく色褪せないのはプロポーション・バランスがいいからですが、特に面白みやエモーションはありません。
まあ世界の大衆車にそんなことを求めるのも筋違いかもしれませんが、特に欲しくなるというルックスではありません。
ただ、その面の張りや全体から感じる品質感は大衆車レベルを遥かに超えています。
だからこそサムシングを期待してしまうのですが・・。
↑これはノーマルのGTIです。ダッシュはちょっと寂しいですね。
内装★★★★
このピレリの内装は素晴らしいです。
専用のシートとステアリングは黄色のステッチがとてもお洒落です。
シートはピレリのロゴが入りタイヤのパターンのようなシボが付いていてなんとも洒落ています。
GTIはノーマルのカジュアルな柄のファブリックもいいですが、このピレリのレザーはぐっと高級感が増します。
ただ、こうなるとそこだけプラスチッキーなダッシュの質感が気になってきます。
まあ価格からするとアウディのようにはいかないのは分かるのですが・・。
↑これもノーマルのGTIです。サイズは225/45-17となります。
エンジン★★★★☆
ノーマルのGTIと比べ30psしか変わっていないのが信じられないほどパワフルです。
低速からスムーズかつトルクフルでレスポンスも文句なしです。
6速のDSGは先日試乗したアウディTTのそれよりもさらにスムーズで、良く出来たトルコンと遜色ありません。
そしてダイレクト感はDSGならではのシャープなものでアクセルにリニアに反応します。
試乗時は小雨でしたが、スタートで少しでもアクセルを深く踏み込むとすぐにESPが働き、前輪のスリップを制御するほどです。
そんな時でもステアリングのキックバックは最小で、初代GTIのようなじゃじゃ馬ではもちろんありません。
低回転では迫力ある低音を演じる排気音もトップエンド付近ではキレイに抜け、小型スポーツならではの爽快感も満喫できます。
足回り★★★★☆
これまたチョイ乗りではちょっと非の打ち所の無いほどの洗練を見せます。
高品質なパーツで固められ丁寧にチューニングされた脚のもたらす乗り心地は、爽やかなほどに快適で、どのゴルフよりも乗り心地がいいほどです。
ハンドリングもタイヤとホイールの変更だけでさらにシャープで小気味良いものになっています。とにかくこれほどの洗練を持つと次のⅥか心配になるほどです。
☆半分引いたのはボディの剛性感が感動的なほどでなかったことと、R32のような重量感からくる安定感、低重心感が感じられなかったからですが、これは軽快さとのバランスでもありますから、半分いっちゃもんのようなものです・・。
総合評価★★★★
GTIの目指すものからするとほぼ完璧な仕上がりです。
価格を考えるとちょっと驚異的です。
でもベストゴルフは何かと考えるとオヤジは1位が1,4TSIトレンドライン、2位がR32、そして3位にこのGTIとなります。
このGTIはスポーツハッチとして完璧すぎてゴルフとしてはもったいない感じなのです。
その点1,4は使い倒す実用車としてまさにゴルフの鏡です。
R32はそのアンバランスな癖が病み付きになります。
このGTIは完璧すぎてどうにも踏み込めないのです。
次のⅥがもっと良かったらどうしよう?アウディはもっと高級感もあっていいかもしれない?・・色々不安になったり、諦めがつかなくなって袋小路に入ってしまうのです。
まあ、これまたいっちゃもんなのですが。