まだまだこんなものではないと願う!
今年のイヤーカーです。国産Bセグメント初の1.5リッタークリーンディーゼルを搭載したこととクラスを超えた上質な走りが評価されたのだと思います。
今回はそんな気合の入ったモデルだけに近所のワインディングに連れ出しハンドリングを含めじっくりと味わってみました。
スタイル★★★★
ボディーサイズは全長×全幅×全高=4060×1695×1500mm、新しい専用プラットフォームの採用で、ホイールベースは8cm、全長も16cmも大きく
なりました。
「魂動(こどう)」デザインののびやかなフォルムが無理なく成立するのもこの全長のお蔭ですね。
品質感はかなり上がっています。
まあ伸びた全長は小型車としてはネックでもあるのですが幅はギリ5ナンバーを維持しています。そ
れでも全体を眺めたとき、力強い塊感は見事だと思います。こういう国産車はなかなかお目に掛かれません。
フロントからのスタイルはマツダのアイコンのグリルやヘッドライトを採用したこともあってスタイル上はアクセラに近いイメージを得ることに成功しています。
一方リアから眺めると“キュッ”と切れ上がったヒップラインに従来の
デミオのイメージを良く引き継いでいることが分かります。
これは若々しくなかなかのグットルッキングだと思います。
内装★★★★
内装の品質感はクラスNo.1ですね。試乗したのはハーフレザー(クロス/レザー)となるLパッケージだったこともあり欧州プレミアムにも引けを取りません。
この明るいかカラーもいいし、凄いのはインパネやセンターコンソール側面、ドアの内張りなどもオフホワイト(合皮)となることです。
この演出はかなりプレミアム感を高めますね。
ヘッドアップディスプレイなどの装備もクラスを超えたものです。
また、ステアリングにはチルトだけでなくテレスコピック調整機能も備わっているあたりも走りに拘るマツダらしいですね。
ステアリングホイールの革の触感もクラスを超えています。
しかもアクセルペダルはオルガン式です。
ドライビングポジションの良さもクラスを超えています。
一方そのしわ寄せは後席に来ます。
8センチ伸びたホイールベースもあってどうにかノートなどのライバルにも引けをとらない程度にはなりましたが当然フィットなどには及びません。
まあ、そうしたタイプのクルマではないですが・・。
残念なのはセンターコンソールのパネル下端にはアクセサリー端子(USB×2、SDカードスロット、AUX入力、DC電源)がムキ出しで、そこだけプラスチッキーなところです。カバーを付けると確かにワンアクション余分になりますから操作性はスポイルしますが、それでも欲しいと感じました。
エンジン・ミッション★★★
待望の1.5リッターディーゼルエンジン(シングルターボ)は試乗時には未発売の為、今回はガソリンのATに乗りました。
ガソリンはマツダお得意のミラーサイクル(吸気バルブを閉じるタイミングを遅くして膨張比を大きくする)ですね。
まあ、簡単に言えば省エネエンジン、トヨタで言うアトキンソンです。
圧縮比は12.0に設定されている。92psと12.3kgm。
変速機の主力がいよいよCVTから6段ATに代わったり、6MTも用意されたりするあたりが昨今のマツダの勢いを感じますね。
さすが“Be adriver.”昔はホンダがこうしたことを率先してやったものですが・・。
ですが、正直ここだけはパワーも音もプレミアムはありません。
ただしトルコンの加速感はやはり自然でいいですね。
また遮音材がディーゼルに比べ少ないこともあって回すとそれなりに煩いですが、回転自体はスムーズなのは救いです。
モードを「Sport」にすると、トランスミッションが低いギアを維持するようになると同時に、スロットル特性が変わりますが絶対値としてパワーが無いので大した加速は期待してはいけません。
今回のステージは山道だったので特に登りの区間は厳しい評価になってしまいます。このあたりはディーゼルに期待ですね。
足回り★★★☆
まず乗り心地はなかなか豊かで確かにクラスを超えたものがあります。
欲を言えばもう少しピッチングは押さえたいです。
高速で大きなうねりを超えると少しおつりが残ります。
そして今回少し残念だったのがハンドリングです。
アンダーが強めで少しノーズが重く感じます。
先代のキビキビ感やシュアな感覚がありません。ディーゼルより100~120kg軽いにもかかわらず。
またディーゼルはリジットマウントとなるステアリングもガソリンにはブッシュが入っている為か少しフィールがぬるいです。
フロントサスペンションのキャスター角は従来型の3.3度から5.0度に拡大したことも要因かもしれませんが、サイズの割に軽快感は希薄です。
まあその分重厚な感じはありますが、いい小型車は重厚な安定性を確保しつつ、コーナーとなれば見事な前後バランスで優れた回頭性を見せます。
私はアクセラの素晴らしい出来からするとデミオはまだまだこんなものではないと思っています。
アクセラを100点とするとデミオは正直、足に関しては70点ぐらいの出来です。
流石と感じたのはブレーキのフィールですね。コントロールしやすくタフな感じもあります。ここはマツダのレベルにあります。
総評★★★★
「クラス概念を打ち破る」というのが新型「デミオ」の開発テーマと聞きます。
確かにその目標は達成されたといえる出来です。
おそらく手を抜いていた?国産の他メーカーがこのクルマを見て自社のクルマを恥じる事でしょう。
それほどの違いはあります。
だからこそというか、足のセットをもう少しに詰めて欲しい。
エンジンは街乗りでは少なくとも不満はありません。
回さなければトルコンによる自然で豊かな加速感の方が際立ちます。
マツダの事ですからマイナーでどんどん良くなってゆくと思います。
キャラ的にかなり好きなクルマですので今後の熟成を期待しています。
【スペック】ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4060×1695×1500mm/ホイールベース:2570mm/車重:1010kg/駆動方式:FF/エンジン:1.3リッター直4 DOHC 16バルブ/トランスミッション:6速AT/最高出力:92ps(68kW)/6000rpm/最大トルク:12.3kgm(121Nm)/4000rpm/タイヤ:(前)185/65R15 88S/(後)185/65R15 88S(ヨコハマ・ブルーアースA)/燃費:21.8km/リッター(JC08モード)/価格:179万2800円