やっぱりBMWのFRはプレミアム
前々号で試乗したMINI ONEと同時にテストしたMINIのクーパーと同じエンジンですね。
3気筒の1.5Lです。 それにしても最近の3気筒は素晴らしいです。
このぐらいの排気量(気筒あたり500cc)までなら3気筒の方が効率がいいようです。
パワーもフィールも4気筒を上回ります。
昔の軽自動車や古くはダイハツのシャレードの時代の3気筒を想像してはいけません。
1シリーズはマイナーしたばかりですが、相変わらずこのクラスの中ではずば抜けていますね。
次期1シリーズはFF化されるとも言われていますので、今のうちにこの高級な走りを確かめておこうと出かけてみました。
ではでは、早速逝ってみましょう!^^
スタイル★★★
スタイルはこのマイナーで顔が一般的になったのが個人的には残念ですね。
せっかくの宇宙人顔が、何の愛嬌も無いキリリ男前の一般的なBMWの顔になりました。
でも営業の方曰くこちらの方が一般受けが良くて販売が伸びているとか?
リアのコンビランプもコンパクトにまとまっていたのに、大型の一般的なものになっています。
安全性・視認性は上がるのかもしれませんが、これも特徴を失ってしまいました。
プロポーションはいまだユニークですね。 Cピラーがたっているのでハッチバックと言うよりワゴンぽくもあり、ちょっとZ3由来のキモさを感じます。
いずれにしてもマイナーでBM的男前になっちゃたのが、個人的には残念です。
内装★★★★
一方内装は流石のセンスです。
ここはメルセデスがひっくり返ってもかなわない部分です。
すっきりスポーティー、カジュアルでいい塩梅です。
試乗したのは、ベーシックモデルですが、Mスポーツのバックスキンのシートもいいし、スタイルのファブリックの生地も綺麗です。
唯一、気になったのはステアリングのセンターパットが大きく、視覚的にもマスが気になります。
ここだけちょっとぼてっとした印象を与えてしまっています。
ポジションはかなり低いですね。
X1や2シリーズから乗り換えると、本格的なスポーツカーのようです。
ライバルのAクラスやA3と比べ最も低くタイトなポジションです。
エンジン★★★★★
ここがこの車のハイライトです。
従来の1.6リッター直4ターボエンジン(最高出力:136ps/4400-6450rpm、最大トルク:22.4kgm/1350-4300rpm)に代えて、より排気量の小さな1.5リッター直3直噴ターボ(136ps/4400rpm、22.4kgm/1250-4300rpm)になりました。
スペックはさほど変わりませんが、最大トルクの発生回転数はダウンしています。
実際、ストップ&ゴーの多い市街地などでは低い回転で力強い走りができます。
JC08モードの燃費も、16.6km/リッターから18.1km/リッターへ約10%向上しています。
フィールはMINIクーパーの物よりもしっかりとした高級な回転感を伴うものです。
軽快と言う言葉が相応しかったクーパーに比べると、ボディや足回りの印象もありますが、少し重厚な感じです。
意外に面白いのは、エコモードですね。
従来の4気筒モデルではこのモードは単にパワーが落ちるだけの印象だったのですが、ミッションがハイギアードを保つこともあって、この3気筒ではトコトコと回転の割にスピードののりが良く、まるでシングルエンジンのバイクのよ うな楽しさがあります。
ミッションはMINIの6速と違ってこちらは8速になることも大きいです。
足回り★★★★
1シリーズの足はやはり絶品ですね。
乗り心地のフラット感はクラスを超えています。
MINIと乗り比べるとやはり高級でハイスピードを安心して保てます。
スポーティーで軽快な印象のMINIと比べると、まるで高級ツアラーのような乗り心地と安定性です。
この高級感はFRならではの研ぎ澄まされたステアリングフィールからも感じます。
FFのMINIとの違いでもありますが、BMWの作るFRは流石に気持ちがいいです。
X1や2シリーズを見ると次期1シリーズはFF化が濃厚ですので、このサイズのFRを味わえるのは今のうちかもしれません。
ハンドリングもニュートラルです。
MINIもホイールベースの短い3Dモデルでは、ニュートラルですが、飛ばすと少し神経を使います。
一方この1シリーズはより限界が高く、また限界を超えてもリアのブレークは穏やかで安心感があります。
クーパーのようにタックインで一気にスピンモードに突入(実際にはESPが介入してしませんが)するかのような怖さはありません。
総評★★★★
それにしても、最新の3気筒エンジンはどれも魅力的です。
3気筒に乗ると小排気量の4気筒が回転の割りに走らない印象を持ちます。
できの悪いCVTと組み合わされるとなおさらです。
実際フリクションロスやポンピングロスを考えると3気筒の方が効率がいいです。
これは燃費にも現れています。
そして今の技術では振動も気になりません。
むしろ低速のトコトコ感は楽しいです。
そして回転が上がって調律が取れてきた時のフィールも楽しいです。
多くの場合、無機質な4気筒エンジンよりも、味わい深いのも3気筒の魅力です。
BMWのエンジンはどれも魅力的ですが、この3気筒の118iは300万円を切る魅力的な価格設定もあって、タイトな室内さえ気にならなければかなりお勧めできるモデルです。
ライバルと比べても、未だにスポーティーで高級な走りと言う面では競争力を持ちます。
BMWらしいモデルだと思います。
【スペック】全長×全幅×全高=4324×1765×1421mm/ホイールベース=2690mm/車重=1370kg/駆動方式=FR/1.6リッター直4DOHC16バルブターボ(170ps/4800rpm、25.5kgm/1500-4500rpm