日本のダウンサイジングターボの夜明け?
トヨタにとってはレクサスのNXについで2リッターでは(1.2Lはオーリスがあります)2台目のダウンサイジングターボエンジン搭載モデルです。
レクサスのNXが6ATなのに対し、このクラウンでは8ATが組み合わさる事もトピックです。
2.0ターボエンジンが搭載されるのはアスリートのみ。
ちなみにエンジンラインナップとしては他に2.5ガソリン、2.5ハイブリッド、3.5とありますが、2.0ターボが価格的に一番安く抑えられているのも魅力です。
クラウンと新しいエンジンのマッチングはいかがでしょうか?
ではでは、早速逝ってみましょう!^^
スタイル★★★★
慣れとは怖いものですね。
最初はなんともエグイと思ったフロントマスクもアスリートのシャープなスタイルとなら妙にマッチしているようにも思えてきましたし、いまやアスリートの新しいアイコンにすら感じます。
意外と若々しく日本的な部分もあって悪くないと感じます。
そして今回いいなと思ったのはマイナーで新しく用意された12色のボディーカラーです。
試乗した赤は「紅(くれない)」でオレンジは「茜(あかね)」など、それぞれ日本的な名前が与えられているのも面白いです。
高級車にはこのようなカラーを選ぶ楽しみや、余裕というかエピソード、ストーリーが必要だとずっと思っていましたが、ようやく叶いました。
塗装は小さな傷は自己修復する機能も備えています。
青は「天空(そら)」茶は「胡桃(くるみ)」などと付けられるとそれだけで楽しくなるというものです。
内装★★★★
内装もがんばっていますね。
素材やデザインも凝っています。
素材の単調な本皮よりも生地に凝ったファブリックがいいです。
ブラックだけではなくブルーや赤茶系が選べるのもいいです。
ダッシュボードは単調ではなく重厚なのはロイヤルと共有するからでしょう。
それでも「包む・重なり・表と裏」というテーマ通り、幾重にも重なった線はしかし煩くない程度にまとめられ、複雑さが手の込んだと感じられる適度な高級感に繋がっています。
リアシートもサイズの割りに広々感はありませんが、セダン特有の安心感に包まれます。
それは吟味された上質な素材によるものです。
エンジン★★★
2.0ターボは235ps/5200-5800rpm、35.7kgm/1650-4400rpm、燃費は13.4km/リッター(JC08モード)です。
実に1650-4400rpmという広い領域でフラットなトルクを発する事が特徴ですね。
いまやターボのトルク特性はセッティング次第でどうにでもなるようです。
NAの2.5が203ps/6400rpm、24.8kgm/4800rpmで11.4km/リッター(JC08モード)ですから、選ぶ理由はないですよね。
何故か価格も2.0ターボの方が安く設定されています。
つまりこのエンジンが一押しなのですが、ちょっと残念な部分でもあります。
フィール自体はいいのですが、セッティングが決まっていません。
どうにもギクシャクするのです。
NXで感じたスムーズさはありません。
スタートのトルク増幅が極端で少しアクセルワークに気を使うセッティングは子供じみていますし、どうにもリズムがつかめません。
8ATは確かにスムーズですが、マウントなのか何故かスムーズさに欠けます。
以前に試乗したハイブリッドのアスリートのスムーズさに比べると、アクセルワークに気を使います。
初期モデルゆえのセット不足かもしれません。
エンジン自体の質感や回り方、フィールには見るべきものがあるだけになんとも残念です。
足回り★★★
足回りも前回に試乗したアスリートほどの完成度を感じませんでした。
不思議です。
個体差なのか、追試の必要を感じます。
乗り心地が硬いのです。
アスリートですからもちろん締められているのですが、荒さを感じる硬さです。
これはアスリートといえどクラウンに許されるレベルを超えています。
フラットさよりも細かな振動が気になります。
ハンドリングと安定感もどうにもシャキッとしません。
これも以前に乗った記憶の期待値を下回ります。
スポーツにしても揺れが増えるだけで初期のロールスピードにさほど変化がないので有り難味がありません。
総評★★★
マイナーでボディ剛性も高めている筈なのですが、個体差なのか今回はハイブリッドの時のようなすっきり感はありませんでした。
エンジンフィールに見るべきものはあるものの、パワートレインのスムーズさや足回りにクラウンに期待するものは感じられませんでした。
またクルマには関係ないものの、相変わらずというかトヨタのセールスマンの無知ぶりには驚かされます。
スペックを知らないのはまだしも、他車の動向や技術的な無知はあまりにという感じです。
自社製品に対する愛情も感じません。
確かにクラウンを買うユーザーは他社と比較することは少ないのかも知れませんが、一般的なクルマの世間話も出来なくて大丈夫なのかなという感じです。
社員教育の完璧なレクサスとの差を感じる部分です。
トヨタの未来に不安を感じる数少ない部分かもしれませんが。
【スペック】アスリートG-T:全長×全幅×全高=4895×1800×1450mm/ホイールベース=2850mm/車重=1545kg/駆動方式=FR/2.0リッター直4DOHC(235ps/5200-5800rpm、35.7kgm/1650-4400rpm)/燃費=13.4km/リッター(JC08モード)/価格=533万円