内外装に新鮮味がないのが残念
9月3日発売の新しいA3ですね。出たばかりでまだレポートも少ないです。
A3は1998年デビューの初代(8L)から数えて今回で3世代目です。
今回のトピックはVWグループのエンジンを横置きに搭載するモデルに順次採用される新開発プラットフォーム、“MQBプラットフォーム”を用いたことでしょう。
このプラットフォームは、トレッドやホイールベースをフレキシブルに設定でき、多彩なボディ・バリエーションを比較的容易に開発できる他、非常に軽量である点も特長です。
実際、新型は先代から最大で80kgもの軽量化を果たしています。
スタイル★★
日本では9年ぶりとなるフルモデルチェンジです。
なのになのにです!まったく印象は変わらないですね。
確かによく見るとキャラクターラインのエッジはかなり立っていますし、リアもコンビネーションランプも昨今のアウディに習って立体的な造形のものになっています。
しかしフォルムがまったく変っていませんし、なによりパッと見の印象に新鮮味がありません。
これではニューモデルを買う喜びが半減するというものです。
A1やA2で見せたあの大胆なデザインをそろそろこのA3にも導入すべきだったのはないでしょうか?
ちなみにスポーツバックのボディ・サイズは先代型より僅かに大きくなっています。
全長4,325mm × 全幅1,785mm × 全高1,435mm、ホイールベースは60mm延長し2601mm、フロントのオーバーハングを切り詰めることで、全長の拡大は35mmにとどめています。
全幅は20mmほど拡がり、全高は5mm上がっています。しかしMQBプラットフォームにより、トータルでは60kgもの軽量化を達成しています。
内装★★
ここでの星2つはもちろんその品質に対してではありません。
アウディの品質は定評のあるところですからね。
つまりここもデザインがもはや古くなっているのではないかと思うのです。
黒かベージュのカラーといい「マラソンクロス」と呼ばれるシートの素材も丈夫ですがあまり高級感はなくちょっと飽きてきた感じです。
ただホイールベースが伸びたことでリアのレッグルームはいっそう広くなりました。
ここはライバルに対するアドバンテージでしょう。
またここでのトピックは車内WiFiを搭載したことです。
これは車自体がモバイル機器に最大8台まで対応したWi-Fiスポットに早変わることでGoogle Earthの画像やストリートビューをナビに表示できるほか、ニュース、天気予報、近隣空港のフライト情報を調べることも出来るというものです。
まあ“やっと”と言う感じですが他車に先駆けたことは評価していいと思います。
エンジン・ミッション★★★☆
本国では新型には1.6TDIと2.0TDIの2種類のディーゼル・エンジンも設定されていますが、今のところ日本に入っているのは1.4と1.8の2種。
それに2Lで280PS /5,100 – 6,500rpmを発するS3ですね。
試乗したのは1.8Lで、直列4気筒直噴ターボ180ps/4,500~6,200rpmと28.6kgm/1,350~4,500rpmを発生するタイプです。
ミッションは6速Sトロ。
このエンジンは低速から扱いやすいですね。
それほどパワーがあるようには感じないのですが、トルクの出方がスムーズで気がつけば結構スピードが出ているというタイプです。
それにもまして素晴らしいのはやはりSトロですね。
湿式クラッチを持つこともあってトルコンと変わらぬスムーズさと神業的スピードシフトを両立します。
このミッションだけでエンジンが随分と効率的に感じます。音は官能的ではないもののアウディらしく雑味の無いものです。
ちなみに1.4Lは7代目VWゴルフと同じ、気筒休止システムのシリンダー・オン・デマンド(COD)を備えます。
すでにA1にも搭載されているこのエンジンは、パーシャルでかつ回転数が1500-4000rpmの時に、4気筒のうち2番と3番を休止させます。ミッションもこちらは7速になります。
足回り★★★★
サスペンションは前がマクファーソンストラット、後ろは4リンク。
つまり、VWゴルフの1.4リッター・モデル「ハイライン」と基本は共通です。
なので悪かろうはずもありません。
特にこの試乗車はアウディドライブセレクトを備えており、ノーマルサスにはない重厚な乗り心地を持っていました。モードはオートがベストですね。
ソフトにすると車体の大きな周期の揺れの収まりが悪くなります。
またハードは飛ばす時にはいいですが、街中では少しせかされるような乗り味になります。
ハンドリングもほぼ文句のつけようがありません。
ホイールベースが伸びたことでシャープな機敏性は失われましたが、その分高速でも安心して攻め込めます。
残念なのはやはりステアリングフィールがイマイチな事です。
もう少しコミュニケーションが取れた方がいいですね。飛ばす時の不安は足ではなくこのステアリングからのものが大半でした。
総評★★☆
以上のように内容はかなりいいと思います。
だからこそ返す返すも残念なのがそのデザインなのです。
せっかくWiFiもつながるのだしもう少し未来を見せてくれないかと。
ライバルはベンツAクラス、BMW1シリーズ、フォード・フォーカス、アルファ・ロメオ・ジュリエッタ、そしてもちろんフォルクスワーゲンTFSIなどです。
アウディの強みはその安定した走りとブランド力でしょうか?どうしても固いお仕事をしているお金持ちの方の奥様の足というイメージです。
このクラスではジュリエッタとならんでどこか女性に似合う感じがします。
まあそれはそれで貴重なキャラですが。
【スペック】全長×全幅×全高= 4237×1777×1421mm/ホイールベース=2601mm/車両重量=1460kg/駆動方式=FF/エンジン= 1.8リッター直列4気筒/DOHC直噴ターボ/最高出力=180ps/4,500~6,200rpm最大トルク= /28.6kgm/1,350~4,500rpmトランスミッション=6速DCT(Sトロニック)/車両本体価格393万円