かなり昔のことで詳しいことは忘れましたが、テレビのトレンディードラマで紺のGクラスのロングが海辺ではしっているシーンを見て「カッコいいなあ!」と思ったものです。
Gクラスはベンツの中でもクラスレスな贅沢感があって、ちょっと浮世離れした雰囲気すらありますね。
最近のマイナーで内装が一新された事もありちょっと乗ってみたくなったんですね“ゲレンデヴァーゲン”に。
ご存知のようにGクラスは、1979年デビューという長寿車です。もう20年ぐらい前から「そろそろフルチェンジか?」はたまた「生産中止?」なんて、ずっと言われ続けていますが、平気な顔して売り続けています。アラブの原油と同じですね^^枯渇商法か?いやいや、それなりの魅力があるから売れ続けるんでしょうね。
スタイル★★★★★
Gクラスがワンアンドオンリーたり得ている所以がこのスタイルでしょう。
平面で構成されたシンプルな面構成はどこも触りようの無い完成度を持っています。
サイドウィンドウはもちろんフロントガラスさえ平面で構成されるスタイルはクルマと言うよりも荘厳な建築物のようにさえ見えます。
どこから見てもすぐにGクラスと分かるその特異性は他に比べようも無く評価のしようもありません。
よって満点!
内装★★★★
内装は今回グッと近代的になりました。
ただその外観と同様、基本的に直線で構成される事に変わりはありません。
ダッシュからドアトリムから全てが明快な直線で構成された空間はとても荘厳でクラシックホテルに居るかのような心落ち着く空間になっています。
近代的な装備としては例えばヘッドライトにはステアリング操作にあわせて進行方向を照らすアクティブライトシステム機構が付いていますし、ドアミラーはウインカー内蔵及び車線変更時に斜め後方からのクルマの有無を表示するブラインドスポットアシストも付いています。
シフトノブも今回からAMG独特の形状のものへ変更されました。
ポジションは高いアイポイントが独特です。
モノコックボディの最近のSUVと違い、ラダーフレームのGクラスは着座位置が高く、楽しいです。
平面で構成されたボディとフェンダー上のウインカーのおかげで見切りが良く取り回しも楽です。
そして楽しいのはリアシートも同じです。
床が高くポジションは全席のそれよりもさらに高くなっています。
乗り込むにはアシストグリップが必須となりますが、いったん乗り込んでしまえばバスの最後部席のような優越感と安心感に包まれます。
エンジン★★★★
エンジンは直噴のM157ユニットです。
スペックは5.5リッターV8 DOHC24バルブ544ps/5500rpm、77.54kgm/2000-5000rpmですね。
それにしても5.5リッターなのに55ではなく63なのはややこしいですね。
最近はBMWもですが、ベンツも排気量ではなくターボによる実力換算なのはちょっと違和感があります。
ちなみにこの上ののG65はV12、5980ccツインターボ(612ps&102kgm3250万!)です。
2.5トンのボディをもろともしないパワー&トルクはこのクルマを小さくさえ感じさせます。
高回転型NAのM156と違ってこのツインターボのM157ユニットはやはりGクラスに相応しいフィールです。
つまり低速からこの巨体を軽々とスタートさせます。
7速の7Gトロニックもスムーズでオフも想定したセットかと思いきや十分に素早いです。
アイドリングストップも振動は少なく非常にスムーズ且つ迅速に機能します。
サウンドもAMGそのものです。
低い回転から凄みのあるサウンドをしかし決して過激にはならない程度の上品さをもって唸ります。
回転を上げると、ちょっとアクセル開度よりも速い感覚でグイグイと加速していきます。
さらにアクセルペダルを深く踏むと、V8特有のドロドロした音はボリュームを増し音階を変えます。
つまりシャーンとシャープに軽々と回る感じはちょっとこのクルマに不釣合いな程のパワーでワープ的な加速レンジに突入します。
足回り★★★★
ココもこのクルマの面白い部分ですね。
リジッド特有のシッカリ感とともに左右が関連するが故のちょっとウニウニとした動きが懐かしくも面白い感じです。
乗り心地は現代的に角はしっかりと丸められています。
いかなる衝撃もダイレクトに伝わることはありません。
その意味では非常に高級で安心感があります。
突然大きなギャップに出くわしてもスピードを緩めることなく強行突破できます。
ただそこは強力なパワーを持つAMGですからバネ自体はかなり固められています。
なので、速度を上げるとどうしても早い周期の揺れが1つずつ伝わります。
ソフトなサスのように2.3個のギャップをいっぺんに一つとして収束するような事はできません。
そこは少し残念な部分ではありますが、この古典的な形式の足で500psを超えるパワーを受け止めなければならないのでそこは致し方ないでしょう。
そう言う意味ではノーマルの550の方が快適です。
一方ハンドリングはこの高さのクルマではまあ安心して走れます。
ただ流石に最新のカイエンやX5のようにはいきません。
バネは固くてもオフも走るクルマゆえ、スタビでストロークを規制するわけにはいかないので、ハードなコーナリングでは最初こそ踏ん張るものの徐々にロールが深くなってゆきます。
まあボディとステアリングがしっかりしているので情報伝達は十分でブレーキも信頼に足るキャパとコントロール性を持ちますから危険な場面に陥ることは少ないでしょう。
ステアリングで思い出しましたがレシオは街乗りではちょっとスローですね。
交差点をハイスピードで回ろうとすると足はついていきますが、思いの外ステアリングを多く回さねばならずちょっと忙しいというか焦ります。
総評★★★★
それにしても久しぶりにのったGクラスは、しっかりと懐かしのベンツの味を思い出させてくれました。
つまり今のベンツに望み得ない過剰なまでのボディ剛性や品質感をステアリングからシートからビシバシ体に伝わってきました。
まあドアを閉める感触からして金属感に溢れています。
これを超えるクルマは930型時代のポルシェ911ぐらいしか思い浮かびません。
硬質な音を立ててドアを閉めると高い視点による優越感と安心感に包まれた空間です。
現代においてこんな乗り味のクルマは他にありません。もはや世界遺産といっていいでしょう。
ライバルはいませんね。クラスレスです。
まあ、しいてあげればランドローバーのディフェンダーが近いですが性能はこちらの方がずっと現代的です。
Gクラスに乗ると、クラシックホテルの内外装に最高のサービスと設備を備えたホテル、例えばリッツカールトンの部屋を思い出します。
なんとも落ち着くんですね。
このクルマなら飽きる事がなさそうなのもいいですね。
うーん、またちょっと欲しくなってきました。
【スペック】全長×全幅×全高=4763×1855×1938mm/ホイールベース=2850mm/車重=2500kg/駆動方式=4WD/5.5リッターV8 DOHC24バルブ(544ps/5500rpm、77.54kgm/2000-5000rpm)/価格=1780.万円
(※この記事は2012年11月に書いたものです。有料版の記事の一部を加筆訂正し約1年遅れで配信しています。)