2002年、私は先代のMINIが出た時すぐにクーパーS(163ps・6MT)を購入しました。
今のモデルに比べると足はガチガチに硬くどんな道でもビシバシとショックがきましたが、ボディは剛性も十分に高かったので体調のいい日はなかなか楽しめました。
ただクライスラー製のエンジンは威勢こそいいもののトルク特性自体はフラットでちょっと物足りなかったので、プラグやエアクリーナー、アーシングなどのライトチューンをして乗っていました。
ゲトラグの6MTも最初は渋かったものの1万キロも走れば当たりが付いてきたのかコクコクと気持ち良く決まるようになってきましたし、チューニングの成果もあってエンジンも豪快な音を立てて綺麗に吹け上がるようになりました。
とまあかなり気に入って乗っていたわけですが、知り合いがBMW525iと換えてくれというのでつい変えちゃったんですね。
今でも置いておけばよかったと後悔している1台です。
現行モデルも色々試乗しました。
クロスオーバーはこのメルマガでも取り上げましたし、175ps時代のクーパーSもブログで取り上げています。現行モデルは先代と比べとにかく乗り心地が良くなりました。
それでいて走りの楽しさも失っていない(クロスオーバーは除く)いいクルマであることは確認済みです。
というわけで今回は184psになったエンジンがどんな楽しみを与えてくれるのか?
その辺りに焦点を絞って試乗してみました。
スタイル★★★★★
ここはもう文句なしにMINIですから、つまり文句なしです。
2 006年にこの2代目が出た時、ほとんど変わっていないことに驚きましたが、初代から変える必要が無いほど完成度が高かったということですね。
60mmほど全長が伸びていますが、ほとんどがフロントに当てられ、その目的は歩行者保護の為だといいます。
とにかく現行のMINIはこのハッチバックの他にもクラブマン、クロスオーバー、コンバーチブル、クーペ、ロードスターとバリエーションが豊富ですが、その全てが見事にクルマ好き、MINI好きの心を上手く捉えています。こうした絶妙なセンスは日本人にはなかなか出来ないものです。
しかも品質感が高く大人が乗ってもまったく恥ずかしくない。こうしたファンカーにはこれも杞憂な特質です。
MINIの好きな人には文句なしのスタイルではないでしょうか。
内装★★★★☆
内装も品質感が高くどんなに荒れた路面を強行突破してもミシリとも言いません。
この品質がBMWクオリティーというか、MINIをこの価格で売れる根源です。
大型のタコメーターなどのオリジナリティーの高いデザインもさることながらこのサイズを超えた品質感がMINIにクラスレスの魅力を与えています。
普段ロールスやフェラーリに乗る人が、街乗りに便利だからとかスタイルが好みだからという理由でセカンドカーに乗っても不満は無いでしょう。
またMINIが小さな高級車しているのは、オプションが豊富なことにもあります。
革の色や内装のオプションなど選べる要素が豊富でオーナーのセンスを反映できる要素が数多くあります。
ここは趣味的な商品の重要なポイントですね。MINIのカタログを見ていると、この外装色にはこのルーフを組み合わせて、内装はこの革にこのパネルを・・。
なんて妄想が膨らみます。
贅を知る人がその英知を注ぐポイントがちゃんと用意されている。これも高級車の条件です。
エンジン・ミッション★★★★
エンジンは1.6リッター直4、DOHC16バルブターボ(184ps/5500rpm、24.5kgm/5000rpm)です。デビュー時よりも9psアップされていますが、フィールはなぜかおとなしくなった感じです。
もともと気持ちよく回転を上げていくタイプではなかったのですが、あまりにフラットトルクというか、山が無く盛り上がりにかけます。
レスポンスもちょっともやっとしています。もっとツキが良かった記憶があるのですが。
もちろん絶対的に不足というわけでは無いですが、これならクーパーでいいかなという気になります。
もっと刺激を求めるならJCW(211ps)を買って下さいということでしょう。
6ATのフィーリングもイマイチ、というかこれに大きな責任がありそうです。
とにかくアクセルを踏み込んでから加速するまでに、ワンテンポの間があるのです。なので、速いステアリングや足のリズムと合わない。
ココだけ妙にルーズなのが気になります。
ツインクラッチや1シリーズの8ATがあればぐっとドライブが楽しくなるはずです。
それまではMTを選んだ方が良さそうです。
足回り★★★★
この2代目になって最大の特徴は乗り心地が良くなったことですね。
まあソフトとまではいきませんが、しっかり角は取れています。
とにかくボディや内装がクラスを超えて異常にしっかりとしているので、硬めではありますが無駄な動きが全く無く非常に快適です。
どんなに荒れた路面をハイスピードで突破してもスタッと一発で収束して見せる様は高級スポーツカーのようでさえあります。
ハンドリングも変わらずゴーカートしています。
初代は荒れた道ではポンポン跳ねる感じになり断続的に接地感を失いましたが、新型はズリズリと接地しながら流れる感じとなっていて、なかなか安心感があります。
特にハイスピードでは先代はスパッっと一気にいってしまいそうな緊張感を伴いましたが、こちらはそうした神経質な挙動はありません。
↑リアから見ると安定感抜群ですね。
総評★★★★
悪いところを重点的に指摘するのがこのメルマガの趣旨であり存在意義ですから、色々と書きましたが、このクラスでこれほど品質感の高いクルマもありませんし、これほどしっかりとした走りを持つクルマもありません。
乗れば、このクルマなら10年はビシっと新車のように走れるだろうなあと感じさせてくれるものがあります。
色々あるボディタイプから私ならターボのSならロードスターのJCW(ジョン・クーパー・ワークス)を6MTで、もしくはNAのクーパーからハッチバックをATで気軽な足として乗るのがいいかなあと思います。
好みの内外装をオーダーしてセカンドカーとして長く付き合いたい。そんな愛着の持てるクルマだと思います。
こんな趣味性の高い小型車はやはり日本にはありません。
MINIならベントレーやアストンマーチンとのペアなんてのも全然アリです。
小さな高級車というのはこのようなクルマをいうのだと思います。
【スペック】クーパーSハッチバック:全長×全幅×全高=3745×1685×1430mm/ホイールベース=2465mm/車重=1270kg/駆動方式=FF/1.6リッター直4DOHC16バルブターボ(184ps/5500rpm、24.5kgm/5000rpm)/価格=330万円