あまりコレが似合うオヤジにはなりたくないなあ
クラウンの全てがそうなのですが、雑誌の評価では常に「日本で使うには・・」の前置詞(エクスキューズ)がつくクルマです。
つまり日本で使うには乗り心地もいいし静粛性も最高!という訳です。
では日本の制限速度をよしとしないわれわれクルマ好きには?
果たしてどうなのでしょうか??
●概要
2009年3月に登場、これがマジェスタとしては早くも5代目ですね。
国際派だった当時のセルシオを相容れない人のための日本版という事で、1991年に登場したV8を積んだ上級のクラウンです。
は下からA・C・Gとなっており今回は真ん中のCタイプに乗りました。
スタイル★★
目立たないことをよしとする古いタイプの日本人の価値観に沿ったスタイリングです。
全長4995mm×全幅1810mm×全高1475mmというサイズは日本の道路事情に合わせ全幅を抑えています。
遠目にはさほど大きく見えません。
フロントグリルなど普通の人はクラウンと見分けがつかないのではないでしょうか?
特徴的だったリアの縦型のテールランプもどんどん普通になってしまいました。
3代目あたりはシャープでキャデラックのようだったし、先代もボリュームがあってちょっとクラシカルなフォーマルさを演出していた事を思うと今回のテールはなんとも凡庸です。
まあ結果目立たないという目的は達成されているのかもしれませんが、クルマ好きに訴えるものはなにありません。
内装★★
リアルウッドを使った木目パネルは確かに艶も抑えてあり、普通のテカテカの物より遥かに高級感があります。
でもそこだけです。
そこだけ見ていたいです。
あっ、あと同じ感じのステアリングとシフトノブ。
このいつまでも続くオヤジ臭いベージュのカラーは何とかならないのでしょうか?
どうにも田舎の古ぼけた応接セットを思い出していけません。
同じベージュでもランチャやアルファのタンなど見習うべきはあると思うのですが、これも本当に顧客の好みなのでしょうか?
ユーザーは知らないだけでは?メーカーの矜持としていま一度ユーザーに示してみてはどうでしょう?
エンジン★★★
LS460の4.6リッターV8、347psと46.9kgmです。
LSの385ps、51.0kgmに比べると多少デチューンしてあります。
LSより200kgほど軽いので・・、勝ってしまってはまずいわけですね。
文句なく静かでスムーズなエンジンです。
そしてスペックを見る限りシフトビジーが心配される8ATもほとんどいつシフトしたのか分からないスムーズさです。
しかし、それだけなら今やモーターもありますし、CVTだってあるわけです。
確かに耳を澄まし、神経を集中させれば、内燃機関特有の良質な紡ぎはあります。
アクセルにつま先を乗せただけで「ツゥーン」とおごそかに加速します。
そのマナーたるや、皇居の周りを走るに相応しいものです。
しかし高いお金を払ってこのパワーユニットを選ぶ理由をオヤジは見い出せません。
「プシュー」っと音も無くどこまでも加速しますが、エアポンプにしては少々高すぎます。
↑トランクは深さもあり、もちろんゴルフバック4個基準満たします。
足回り★★★
ここもエンジンと同じく評価が難しいところです。
だから「日本では・・」になるのでしょうが・・。
エアサス&トヨタ一流の大量なブッシュは細かな振動を完璧に排除します。
しかしこれまたクルマであってクルマで無いというか、これまたフィールの無いステアリングと相まって、街をホバークラフトで泳いでいるかのような感じです。
もちろんちょっと大袈裟ですが!!
振動が無いのはいいのです。
しかし同時にフラット感やコシが感じられないのが問題です。
最終的にはVGRSが効くまで平静を保ちます。
それはある意味見事ですが・・、
「大丈夫、大丈夫」といっておきながら、原発が爆発してから「やっぱり逃げてください」と言われても困るのと同じように、国民もドライバーも情報を求めているのだと思います。
総合評価★★
もちろん高いクルマだけあって、性能的(スペック)にはいい部分もあります。
でも700万!星はこの価格ならという事です。
確かにトヨタでないと作れないクルマです。
日本でクルマに興味のない人が使うにはいいクルマです。あれ!?
でもこのクルマが似合うとは言われたくない感じです。
つまりこの内装のセンスや保守的なキャラを受け入れたくない、機能だけではなくソフトの問題です。
あまりのぬるま湯(快適性?)ゆえ?
このクルマに乗ってしまうと、
何か新しい事にチャレンジする気になれない気がします。