“足が固すぎ”
予定ではムーヴでしたがまたまた予定変更ですみません。
ボルボV40に2日間じっくり乗って思ったことがあるので書いてみます。
ボルボのV40は1年前に、V40クロスカントリーは10月にも乗ってレポートしていますが、
今回は以前と少し変わった印象を感じました。
年次改良の部分かもしれませんが、今回は高速道路もじっくりとすっとばしてみて見えてきた部分もあります。
それでは逝ってみましょう^^
スタイル★★★★
V40はこれまでのC30・S40・V50シリーズを統合して1つにまとめた形でデビューしました。
V40はCセグメントのプレミアム・ハッチバックですから、ライバルはアウディA3、BMW1シリーズ、メルセデスAクラスとった競合ひしめくクラスですね。
この1年、セールスもそこそこ検討しているのはこの完成度の高いスタイリングにもよると思います。
ボンネットがライトを区切りに盛り上がっていることや、大胆に強調されたフェンダーのボリュームは筋肉質で男性的な体格をイメージさせます。
フォルムは一見ハッチバックですが、横から見ると長いルーフで随分とスポーティーです。
ワゴンとハッチのちょうど間の新種のような感じです。アウディではA3スポーツバックのようなポジションですね。
V40のスポーティーな印象のポイントは、後方に向けてなだらかに上昇していくショルダーラインと、それに反するようになだらかに下降してくるルーフラインです。このラインはリアエンドできれいに交わり、バランスします。
リアは黒い縁取りされた曲面のガラスが、未来的ですね。
この処理はi3やVW・up!などもやっていますが、古くはC30をはじめP1800などボルボが起源と言ってもいい処理だと思います。
内装★★★★
内装も流石です。
凝っているのにどこか肩の力の抜けた気安さがあります。
この感覚が絶妙で心地よく付き合えます。
シートがいいですね。サイズがたっぷりとしていてソフトに包み込まれるような形状でサポートもしっかりあります。
試乗車はファブリックですが、オプションで「レザーパッケージ」(20万円)も選べます。
メーターパネルは「Elegance」「Eco」「Performance」の3つのテーマが用意され、それぞれ色調と表示内容が変わります。
エレガンスはブラウン、エコはブルーグリーン、パフォーマンスはレッドと色が変わり、表示もパフォーマンスではタコメーターに切り替わります。
室内灯も7色のカラーが選べます。
このあたりは小さいながらもプレミアムを目指す姿勢の伺える部分です。
またメーターで面白いのは「RSI(ロード・サイン・インフォメーション)」という、道路標識を読み取ってメーター内に表示するシステムが付いていることです。速度制限などをメーター上にカラーで確認する事が出来ます。
不満としてはナビが小さく使いにくいですね。
スペースはあるのに画面が小さく特に付随するリモコンの操作性は最悪です。
例えば一段下を選択する場面などでリモコンをスクロールするとどうしても2段下に行ってしまうなど微妙なコントロールが出来ません。
センターコンソール上のボタンで操作すれば済みますが、それも直観的とは言い難いので慣れるのに時間を要します。
リアシートはスタイルが絞り込まれているだけあって狭いですね。
サイドガラスの干渉を避けるために少し中央寄りにセットされていることもあって3人掛けは厳しいです。
エンジン★★★☆
エンジンはお馴染みの1.6リッター直噴ターボエンジンに6段DCT、180psと24.5kgmのスペックですが、ココの印象が前回の記憶にあるV40や同系のエンジンと異なりました。
前回よりもターボの特性がピーキーに感じました。
パワフルなことに異論はないのですが、少し飛ばすペースでアクセルをコントロールすると、思わぬトルク変動が気になることがありました。ゆっくり走ったり、逆に全開では気にならないのですが、パーシャル領域のオーバーシュート感というか、イメージとリンクせず、スピード管理に気を遣う場面が何度かありました。
またアイドリングストップも以前はもっとスムーズに感じましたが、今回は少しショックが気になりました。
これは他が相対的に良くなったせいかもしれません。
足回り★★
足は前回も硬いと書きましたが、しっかり感が上回り印象は悪くありませんでした。
今回も基本的な性格は変わりません。
直接的なショックを伝えずボディも内装もしっかりとしていて剛性感が高いのは見事ですが、残念ながら終始上下動がきつくフラット感に欠けます。
今回はかなり高速も走りましたが、いくら速度を上げてもこの性格は変わりません。
上下動の周期が早く、長く乗っていると少し疲れてしまいます。
ボルボでこうした経験はあまりありません。
ノーマルの16インチを試していないのでなんともいえませんが、17インチを履いた試乗車のSEは終始路面に忠実に反応します。
またステアリング・フィールもイマイチと感じました。
人工的なフリクションがあり、制御過多な国産のESPのようなフィールでした。
一方、「LKA(レーン・キーピング・エイド)」警告音だけでなく、ステアリングホイールに直接力を加えてドライバーに車線からの逸脱を伝える機能は自然で良く出来ていると感じました。
V40には、すべての車速で先行車両に追従して停止まで自動コントロールする「ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)」も付きます。しかし今回、市街地の渋滞でこの機能を使って少し怖い思いをしました。
左からの合流で譲ったつもりだったのですが、少しだけ動き出したところだったので前のクルマを追尾すべく自動でアクセルが踏み込まれました。譲ってもらったと思った合流車を認識していなかったのですね。
こういうイレギュラーにまだ対応していないので、高速や流れのいい幹線道路以外ではクルーズコントロールはまだ使わない方がいいですね。
総評★★★
4気筒となったT5の評判がいいだけに、このT4のエンジンのトルク変動と乗り心地の件は意外でした。
クロスカントリーでも感じましたがボルボにはもう少しソフトな乗り味を期待してしまいます。
V60の高級な走りやV70の癒しを知るとこのV40が少し物足りなく感じます。
まあ、同クラスと比べても価格が安いのは魅力ですが、乗り心地は改善の余地ありです。
熟成を期待します。
【スペック】全長×全幅×全高=4370×1785×1440mm/ホイールベース=2645mm/車重=1440kg/駆動方式=FF/1.6リッター直4DOHC16バルブターボ(180ps/5700rpm、24.5kgm/1600-5000rpm)/燃費=16.2km/リッター(JC08モード)/価格=309万円