ちょっと刺激不足
14年ぶりにモデルチェンジされたトゥインゴです。
ウーパールーパーみたいだった可愛い系の初代からちょっと男の子っぽくなりました。
今回はその中でも元気なGTに乗ってみました。
●概要
初代のデビューは1992年のパリサロンでした。ルノーのボトムレンジを担うモデルとして日本にでも95年から導入されました。
オヤジはその初期のOHVモデルに乗っていたことがあります。
現在のクイックシフトではなく、イージーというクラッチレスのマニュアルです。
1,2リッター60psエンジンは高速の坂道では100キロを保つのがやっとというパワーでしたが、ソフトなシート、サイズの割りに広い室内、スライド式の使いやすいリアシート、サイズを超えた乗り心地と安定性など、当時の日本車にはない楽しさと特徴を持ったクルマでした。
この2代目ヌーベル・トゥインゴは2007年のジュネーブショーでデビューしました。エンジンは先代同様1,2ですがパワーはノーマルで75ps、このGTで100psにアップしています。
スタイル★★★★
初代のトゥインゴは、パトリック・ルケモン初期の作品で非常に勢いがありました。
初代トゥディがモチーフともいわれていますが、十分に個性的で14年間魅力を保ち続けたわけです。
この2代目は初代と比べると、最初はずいぶん普通になってしまったなーと思っていましたが、実物はなかなか良かったです。
スポールスパイダーのようなのっぺりしたフロントやバランスのいいプロポーションなど、まったく悪くないです。
随所に感じルノーのアイデンティティやフレッシュ感もあります。
ちょっと貧弱なリアがマイナスポイントです。
内装★★★
ココは先代と比べると物足りない部分です。
シートも少し硬めでショールームにあったカングーほどの幸福感は感じられませんでした。
トゥインゴらしさを残しているのは220mmものスライド量や、25度から35度の間で5段階にリクライニングできるバックレストを持つ後席の方でしょうか。
カラーも明るくポップだった先代に比べ、暗くて常識的な柄です。黄色のステッチにわずかにお洒落心を少し感じますが・・。
エンジン★★★
ココは期待したのですが刺激不足です。
5速ミッションで操るには低速トルクが不足していてスタートに少し気を使います。
またローのギアリングが低く流れに付いて行くには少し忙しくなります。
もちろん回せばそれなりに速いのですが、スピードやフィールは一昔前の感じで、ちょっと懐かしささえ覚えます。
ターボはスムーズで特にピーキーなものではありませんが、速いシフトアップの時にはしっかりアクセルを戻してやらないとクラッチを切った時になおも吹けあがってしまうことがありました。
回しても刺激的な音や速さがないのが少し残念です。
シフトフィールもタフな感じはありますが、ストロークやタッチなどはこれまた中途半端な感じです。
ちなみにTCE100psエンジンは、CO2排出基準(140g/km)を満たして、欧州で実施される「ユーロ5」の基準をパスしています。
足回り★★★★☆
エンジンよりも楽しめるのはこちらの方です。
このサイズでこの剛性感はフランス車ならではです。
ドイツ車はボディ剛性とバランスしているためそれほど足回りのタフネスさを感じることはないのですが、ルノーの特にこうした小さくボディ剛性もそこそこなクルマがこれほどの足回りを持っているとそのギャップに驚くのです。
スムーズな路面は舐める様に張り付き、荒れたギャップをあっさりと受け止めます。
高速になるほどフラット感が増し、飛ばすほどステアリングもフィールを詳細に伝えます。
街中を流す程度では昔ながらのアンダー感を残しますが、少しペースを上げると信頼に足るものになります。
総合評価★★★
いまや貴重な5MTの小型ホットハッチですが、エンジンが少し物足りません。
パワーは今のままでもサウンドやシフトフィールなども含めもう少し楽しめる演出が欲しいです。
これならノーマルをクイックシフト5で乗るか、年内に出るという「RS」を待つ方がいいと思います。