真の高級実用車
日本では2015年7月16日に発表された8代目となるパサートです。
さてさて、それでは早速逝ってみましょう!^^
スタイル★★★★☆
相変わらず端正ですね。正に正統派のスーツを着こなしたビジネスマンがクルマになったような印象です。
ボディーサイズはほぼ先代と同等ながら、ホイールベースを79mm延ばし前後のオーバーハングを短縮しています。
ティザーではもっと逆スラントに見えたフロント回りは写真では“意外と普通になっちゃったなー”と思っていたのですが、実物はなかなかの美形です。
小型のヘッドライトはパサートの特徴ですが、グリルからLEDヘッドランプへとつながるクロムバーで、水平方向の広がりが強調されています。
昨今シングルフレームで上下方向のマスが強調される中にあって、実にすっきりとした印象です。
一見、ワルター・デ・シルヴァ顔ですが、デザイナーはフォルクスワーゲン本社のダニエル・シャルフシュヴェアト氏との事。
特に今回試乗したセダンはカッコいいですね。
サイドから見るとボンネットの位置を下げるとともにウインドスクリーンを後方に伸ばすことでクーペ的なフォルムに仕上がっています。
そうした印象は一直線に伸びたキャラクターラインが確かにウェッジしている事にも起因します。
この、いかにも実直そうなルックスの中にエッジの利いたプレスラインが同居することで確かに高品質に見えます。
端正なルックスのサラリーマンに高価なスーツを着せたらそりゃあ大抵の女子は惹かれてしまいます。
内装★★★★☆
内装も質感の高さが半端ないですね。
これを見るとクラウンとか可愛そうになりますね。
特徴はダッシュボードの幅いっぱいに広がる、水平基調のベンチレーションストリップでしょうか。
実は大半がダミーの加飾なのですが、まったくそう感じませんしデザイン的な役割は見事に果たしています。
これは特徴的ですね。
シートのデザインは先代とほぼ同じですが、この細目のリブのシートはいいですね!これは見事に完成されたデザインだと思います。
NY近代美術館に殿堂入りしてもいいぐらいです。
居心地の良い後席は後席も足元スペースが40mm近く拡大しています。
トランクルームの容量は、先代モデルを21リッター上回る586リッター。
後席を倒すことで、最大1152リッターにまで拡大できます。
ちなみにワゴンのヴァリアントは650リッター!「メルセデス・ベンツCクラス」のワゴンが470リッター、「BMW 3シリーズ」のワゴンが495リッターなので、いかに大きいかが分かります。
エンジン・ミッション★★★★
エンジンはゴルフのハイライン用と基本的に同じ、1.4リッター直噴ガソリンターボですが、パサートでは10psアップの150psにチューンされています。
最大トルクは25.5kgmと1.4リッターとしてはかなりのチューンとなっています。
しかもJCモード燃費は20.4km/リッター!これは全車ストップ&スタートシステムを標準装備し、気筒休止システム(ACT)も備わる事によって達成されています。
パワーは特に低速では十分でしかも気持ちいいです。
ゴルフとの違いは静粛性の高さとジェントル且つスムーズなマナーです。
セダンの動力性能は0-100km/h加速が8.4秒で、最高速は220km/hですから本当に十分です。
ミッションはお馴染みの7段のDSGでこのマナーの良さもVW各車の中でも群を抜いています。
星が一つ足りないのは、ハイチューンゆえ加速した時にパワーの山があることです。
アクセル開度を一定にしていてもある回転を超えるとパワーが盛り上がるので、僅かにリニアリティに欠ける部分があります。
昨今のターボはここを上手くコントロールしていますが、この1.5トンのボディに1.4Lで最高速220km/hを狙うと限界かもしれません。
また、パサートでいいのはフォルクスワーゲン初となる歩行者認識機能を備えたプリクラッシュブレーキシステムや、レーンチェンジアシストシス
テム、後退時の事故防止のためのリアトラフィックアラートなどの全方位アドバンストセーフティーを全車に標準装備していることでしょう。
さらに自動ブレーキに加えて停止後再発進の機能まで備えた最新世代のアダプティブクルーズコントロール“ACC”や車線維持支援システムの“LaneAssist”と連携した、世界初となる渋滞時追従支援システム“Traffic Assist”も用意されています。
特に良かったのが、レーダー技術を使った半自動運転機能です。“
渋滞時追従支援システム”と名づけられたアダプティブクルーズコントロール(ACC)の超低速ストップ&ゴー機能は制御が抜群にうまく、完全停止からの再発進までカバーしてくれるので渋滞時の疲労をかなり軽減してくれます。
ブレーキは残念ながら欧州車の常で、停止時にはどんなに丁寧に抜いてやっても最後に“カクッ”となりますが、それすら私がやるよりスムー
ズです。
足回り★★★★
プラットフォームはご存知、統一規格としたモジュラー戦略「MQB」ですね。
乗り心地は非常にいいです。これほどソフトでスムーズなVWはありません。
ゴルフとはクラスの違いをはっきりと感じる事が出来ます。
繊細で滑るようなスムーズさは精緻さと剛性を感じさせる御三家の乗り味とはまた違った味わいですが、これはこれで高級感があります。
ハンドリングも安定しています。
しなやかなフットワークはとても気持ちがいいです。
Rラインになると19インチになりBMWのMスポやアウディのSライン並みのセットになりますが、このノーマルのハイラインは気持ちのいい緩さがあります。ハンドリングがシャープ過ぎずかといって正確さが足りないわけでは無い、いい意味での付き合いやすさがあります。
パサートのキャラクターにはこのノーマルの足が合っていると感じます。
唯一気になったのは大入力の荒れた路面になると急にショックが大きくなる事です。
それまでが素晴らしいだけに少しギャップを感じます。
このあたりはプラットフォームのキャパなのでしょうか?
総評★★★★
パサートは現在4グレードでエンジンは1.4Lガソリン1本ですが、今後TDI(ディーゼル)エンジンやプラグインハイブリッドシステム搭載車のほか、4WDモデルの「オールトラック」の追加も予定されています。
ディーゼルは魅力ですが、現行の1.4も静かでガソリンとしては燃費もいいのでお勧めできます。
ライバルは実はあまりいません。プレムアムとも違った無印的なキャラはあえて言うならプジョー508あたりでしょうか?日本車ならアベンシス
ぐらいですね。
色気の508か道具感のパサート、アベンシスは安いですが燃費で劣ります。
508にも惹かれますが、日本で使うならパサートの渋滞支援と機能的なクルーズコントロールは魅力です。
お盆で帰省して高速の渋滞にはまった直後かもしれませんがパサートに惹かれています。
【スペック】ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4767×1832×1456mm/ホイールベース:2791mm/車重:1387kg/駆動方式:FFエンジン:1.4リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ/ トランスミッション:6段MT/最高出力:150ps(110kW)/5000-6000rpm/最大トルク:25.5kgm(250Nm)/1500-3500rpm/タイヤ:(前)235/45R18/(後)235/45R18(コンチネンタル・コンチスポーツコンタクト5)
燃費:5.0~4.9リッター/100km(約20.0~20.4km/リッター)(欧州複合モード)/ 価格:414円