買う気にならない
ジョージ・クルーニーのカッコイイCMが印象的なオデッセイです。
インサイトを見に行ったついでに乗ってみました。
●概要
初代(1994年)は乗用車レベルのはしりで、現在のミニバンのブームを牽引した名車でした。
2代目(1999年)はホンダにありがちなキープコンセプトの駄作。
3代目(2003年)は大胆な低床・低重心化でドライバーズ・ミニバンというちょっと矛盾するコンセプトながら大胆な変身& キャラ立ちでまあまあのセールスを記録。
そして(2008年10月)この4代目です。ご覧の通り2代目同様のキープコンセプトで、テレビではマイナーチェンジかと思いました。
スタイル★★
まったく新鮮味がないのは、単にキープコンセプトだからというだけではありません。
やはりそのコンセプト自体に矛盾があるというか、必然性が感じられないのではないでしょうか?
大人数を快適に運ぶためのミニバンなのに屋根を低くしたい(見せたい)?
それでもよく見ると先代とはかなり変わっています。
Aピラーは明確に後ろ寄りにされ、先代の弱点であった視界を確保しました。
Dピラーもテールランプ部までフラットにされ、グリーンハウスで区切られた先代と比べると遥かに自動車らしくなりました。
薄すぎて気持ち悪かったフロントもアウディというかFCXクラリティなどと同じようにクロームのマスクが付けられ少し口を開きました。
このようにディテールの処理のレベルは高いのに、ぱっと見た印象は2003年の古いオデッセイそのものなのです。
これがベンツやBMWのようなブランドがあるなら許されるのかもしれませんが、オデッセイでは・・。
世界不況と重なったとはいえ、発売後1ヶ月の受注台数が、先代の約2万5000台に対して、今回は7500台というのもうなずけます。
まったく新鮮さがなく、購買意欲をかき立てられません。
内装★
内装はもっとひどいことになっています。
無駄な線が多すぎてごっちゃがえしています。
奥行きのあるインパネにホンダの好きな子供っぽいブルーの照明。
そこに複雑な曲線のオンパレードです。妙な深海魚みたいです。
立体的なステアリングもはじめに英国シビックで見た時は「オオ」と思いましたが、質感がイマイチなこともあってこのクラスでは子供っぽさを助長しています。
FCXやインサイトでは見事に未来的になっているのに、このオデッセイではなんとも・・・。
オトーサンが息子に金属がジャラジャラ付いた皮ジャンを借りてきちゃったみたいなことになっています。
ご勘弁を。
シートのデザインやマテリアルもまったく平凡そのものでどこにデザイナーの手が入ったのか分かりません。FCXやインサイトの素晴らしさを見ると、同じメーカーのクルマとは思えないほどです。
↑それにしてもこのプラスチック丸出しのウッドパネルはいつまで続くのでしょう?
エンジン★★★☆
エンジンは低速トルクがあって使いやすかったです。
2.4リッター直4、DOHCの(K24A)型です。
通常モデルは173ps/6000rpm、22.6kgm/4300rpm&CVT。アブソルートはハイオク仕様で206ps/7000rpm、23.7kgm/4300rpm&5ATです。
173psに試乗しましたが、CVTのセッティングが上手く非常にスムーズで、街中で何の不満もありません。4気筒としては質感もまあまあだと思います。
足回り★★★★
試乗車は何故かスノータイヤを履いていてロードノイズが気になりましたが、乗り心地は上々です。旧型のような突き上げはなく、フラット感さえ出てきました。
ボディはしっかりとしていて一体感があります。
ステアリングフィールやハンドリングも街中を走る限り不満はありません。
ただ街中では交差点でどうしても長いホイールベースによる内輪差が気になります。
常に無駄な3列目を気にしながら走ると言うのは、重いロングコートの裾を気にしながら狭い家の中をうろついているような気分です。
これが背の高いミニバンなら視界の良さでカバーされるのですが、オデッセイの場合なまじハンドリングも良くて、普通のセダンのようなペースで交差点に突っ込んでしまうから「オットット」となるわけです。
総合評価★★
エンジンや足回りはいいのですが、まったく欲しくならないのは何故でしょう?
自分のライフスタイルにミニバンは必要ないから?
いやいやC4ピカソなどは今も真剣に欲しいです。
内外装はもちろんオデッセイの持つ重い空気感なのでしょうか? 走りを煮詰めてなんだかとても真面目なのに、ちょっとチャラけた服を着て「けっこう遊んでますよ」的なイメージを無理やり出していると言うか・・。
きっとまた次期オデッセイはガラリと大変身してくれることでしょう。