「ジワジワ良くなるタイプ」(523万円)
Fバンパーの形状変更で全長は85mmも長くなりました。
下唇が出てナマズチックになった?
エンジンはV8、5リッター、423psです。
「F」が話題のレスサスISですが、この350もまだまだ第一級のスポーツセダンです。
久々に乗るとやはりこれほど”締まった”感じのある日本車はなかなかないものです。
●概要
2005年の8月デビューでした。
エンジンはV6、2.5リッター、215psと3.5リッター、318psの2種、グレードは足回りの固さの違いでLとSがあり、2.5Lのみに4WDも設定されます。
このクルマがデビューした時は随分がっかりしたものです。
新しく「レクサス」ブランドまで立ちあげて、鳴物入りでデビューした割りに印象が薄かったからです。
ところが、写真ではなく実車を目の当たりにすると、なかなかどうして筋肉質で締まって見えました。
短いオーバーハングや高いウエストラインはスポーティーな安定感を感じさせてくれたし、流石に品質が高く緻密な感じもありました。
ちょっとサメみたいなシャープな感じもあるしね?
いかにも日本車な線の細い感じの、第一印象は無機質ならではの清涼感すら感じられ、これはこれで日本車というかトヨタ(レクサス)の個性かと思えるようになってきました。
時間が経つにつれ、アリストを引きずった古臭いGSよりよっぽどいいかなと思えるまでになりました。
誰だったか(島下泰久さんだったかな?)、この清涼感を「ミネラルウォーター」と称していましたが、見事な表現だと思いますね。
ここはもうちょっとがんばって欲しい!
もちろん普通のクルマとしては★★★ぐらいあげてもいい気はするが何しろこのクルマはプレミアムスポーツの日本代表なのですから。
レクサス得意のキレイなメーターディスプレィや使いやすい大きめのスイッチ類、潔く日本語で書かれたナビのスイッチなどもいい感じですが、色使いは平凡(流石にFはツートンにしているが)、バックスキンのシートも感触はいいけどデザインは印象に残りません。
インパネは触った感じもしっかりしていて、品質感は高いのに平凡なデザインで随分損をしていますね。
ボンネットを開けると、ご覧の通り空気抵抗対策か、見た目はまったく味気ないが、フィールはなかなかのものです。
図太い排気音はやや演出過多で「ミネラルウォーター」なイメージにそぐわないが、パワーはどこからでもかかってこい! クラス。
250も乗りましたが、350と乗り比べるとやはり350が欲しくなりますね。
250ではアクセルを踏んでから車体がついてくる感じですが、350だとアクセルと車体に遊びがない。
棒で地面を漕いでいるかのように直結したフィールは並みのATではなかなか味わえない快感です。
350の楽しさは吸いつくようなブレーキも一役かっています。
ブレーキダストやローターの減りを気にする日本車でこれほどのフィールはなかなか経験できないものです。
走っても止まっても楽しい。
そして、曲がっても楽しい。
乗り心地も爽やかに固く、ここはちゃんとミネラル気持ちいい。
ステアリングはさほどクイックではないですが、しっかりと目の詰まったフィールを伝えます。
当たり前ですが、ここはトヨタとはいえいつもの「雲の上を行くような」曖昧なフィールにはなっていません。
とにかく車体の無駄な動きが少なく、飛ばしても安心感が高いです。
ワィンディングでも限界が掴みやすいですね。
スライドはリアから穏やかに訪れます。VDIMと呼ばれるVSCをさらに進化させた総合制御も350ではスポーティーなセットアップで多少のリアのスライドを許容します。
高速では安定性は十分ですが、乗り心地にもう一段のフラット感が欲しいところです。
街中で気にならなかった固さが、高速巡航ではジワジワとボディブローのように効いてくるのです。
ISはトヨタ(レクサス)の中で唯一自分で買いたいと思うほどのクルマです。
理由はただ単純に乗っていて楽しいから!
試乗オヤジは乗って楽しいかどうかが最大の評価基準です!
オヤジに似合うかどうかは別にして。
デビュー当時は、期待が高かったせいか、薄味のスタイルにがっかりしたものですが、今少し時間が経って完成度の高さが見えてきましたね。
LSにも通ずる、アイデンテティというかブランド・コントロールの巧みさもようやく実ってきた。
そりゃまあ、大トヨタのプロジェクトですから・・・。
当初の素人の不安など力技でねじ伏せちゃうわけですね!
この勢いでF-1もねじ伏せてくれないかな?