走りも楽しい
大不況の波にのって一人、好調なセールスを記録しているインサイトに乗ってみました。
先代はMT&2シーターというストイックさゆえ、プリウスの陰に隠れていましたが、今回のフルチェンジで一気にハイブリットの主役に躍り出ました。
それにしても189万円のインパクトは凄いです!
昭和の1960年代が「巨人、大鵬、卵焼き」なら平成21年は「ユニクロ・マクド・インサイト」でしょうか?
初代は99年に10・15モード燃費35km/lという当時の世界一の低燃費を引っさげてデビューしましたが、その実験車のようなスタイリングと2シーター&MTというレイアウトのためまったく売れませんでした。
この2代目は実用的な5ドアハッチボディが与えられCVTと組み合わされます。
初代同様軽いことが特徴で、Gで1190kg!という車重はライバルのプリウスよりも100kgほど軽く仕上がっています。ちなみに初代インサイトは820kgでした!
スタイル★★★★
Cピラーとリアセクション、サイドのグリーンハウスの造形などからプリウスに似ていると批判する人も多いですが、コンパクト(全幅1695mm)な中にもエッジの利いたフロントや、スペースユーティリティなど見るべき所も多いと思います。
件のリアセクションにしてもコンビネーションランプなど初代インサイトの面影もあり、単にプリウスに似ているといわれるのも可愛そうな気がします。
リアハッチ下部をガラスにして視界を確保する処理もインサイトだって初代からやっていますし、古くはCR-Xでやっていました。
それに実物の方が締まってカッコよく見えます。
だらだらと大きくなってしまったクルマが多い中、インサイトは十分に新鮮で個性的な造形だと思います。
内装★★★★★
外観以上にイイのが内装です。
廉価グレードのGでも色使いとシートのデザインがいいので、フリードなどと違ってまったく安っぽさがありません。
シートの掛け心地も表面は非常にソフトでフランス車の様に優しいタッチですが、サポート形状が良く意外に疲れません。
ダッシュも造形的には懲りすぎの感もありますが、まあクルマのキャラには合っています。
斬新さもありホンダのいい面が全て出た内装だと思います。
エンジン★★★★☆
非常に楽しいパワートレインです。
アイドルストップからのエンジンのスタートも非常にスムーズです。
加速は十分でエコモードでもハイギアードで走る感じが楽しいです。
とにかくボディが非常に軽いので全てがいい方向に働いています。
先代も軽さがこんなに楽しさにつながるのかと驚いたものですが、今回もその驚きは見事に引き継がれています。
フィールも楽しさも期待以上の仕上がりです。小さいパワーで効率よく引っ張っている感じが伝わってきます。
☆ひとつ引いたのはエンジンスタートのタイミングが不規則で不意をつかれるからです。
ブレーキを離した時にスタートするかと思えば、ブレーキを踏んだままでも充電状態によっては「ブルン」とスタートすることもあります。
足回り★★★★
乗り心地も法外に快適です。
音もなくパタパタと軽快に走る感じは、プリウスでも感じられたハイブリット車独特の楽しいものです。
フラット感に欠け細かな微振動が絶えないのが欠点ですが、とにかくボディの軽さが全ての動きを軽快で楽しいものにしています。交差点をミズスマシのようにスイスイ泳ぎ回る楽しさは小型軽量車ならではです。
ボディは軽量の割りにしっかりとしています。
インパネの立付けも良く低級なキシミ音などももちろんありませんから実際の揺れよりも乗り心地も良く感じます。
トレッドが硬く転がり抵抗の少ない低燃費タイヤが付いていますが、LSなど少しグレードの高いタイヤならばもっと印象はよくなると思います。
これは売れて当然のクルマですね。
これで189万円というのはいかにも安いです。
スタイルも新鮮で乗っても普通のクルマよりも遥かに楽しいのですからホント言うこと無しです。
非力な、しかしフィールの楽しい1,3エンジンをモーターでアシストする。
そのアシストを感じるのも新しくて楽しい。
足も快適で全体的に「ウニウニ」と有機的に走ります。
その感じが楽しく新しく、クルマが全体で頑張っている感が伝わってきます。
省燃費が単なる節約や我慢になっているのではなく、楽しさを伴っているのが素敵です。
新しいインサイトには「ライゼンタール」のお洒落なエコバックのような楽しさと新しさがあります。