今年最大のがっかり
↑ヘッドランプの先端からドアミラーの辺りまで伸びるクロームのアクセント「サーベルライン」がきてます!
シトロエンは個人的にBXやエグザンティアに乗っていた事もあって、今度のDS5はかなり気になっていました。
なので、今回の試乗はかなり前から予約をしていて、大阪で1番のりで試乗させてもらうことが出来ました。
しかも“ご自由に”ということで下ろしたての新車を一人で楽しむことが出来ました。
向かったのは新御堂筋を抜け箕面のワインディングロードです。
しかしこのチョイスがまずかった?
スタイル★★★★
ココは流石ですね。
何者にも似ていないディメンションです。
全長×全幅×全高=4530×1871×1512mm/ホイールベース=2727mm。
この全長と車高が信じられないぐらいのフォルムです。
ハッチバックやワゴン、ミニバンの要素を融合したスタイリングは独特です。
特徴はヘッドランプの先端からドアミラーの辺りまで伸びるクロムのアクセント「サーベルライン」ですね。
ボンネットをより長く、キャビンをよりコンパクトに見せる効果があるそうです。
確かに厚いボンネットが幾分シャープに見えます。
上手いのはリアの方ですね。
ウィンドウの天地を小さくしたことで1512mmという車高が意識されないぐらいで普通のスポーツワゴン風にまとめてあります。
シトロエンらしいのはこのスタイルが実用性の高いパッケージングと両立していることです。
高い車高による視界の良さや長いホイールベースによる広い後席など、DSというスペシャリテながらシトロエンの美点はまったく損なわれていません。
フロントからのアピアランスがちょっと丸くぼってりとしているのがマイナス★です。
↑シートは腕時計のベルトをモチーフにした「クラブレザーシート」と呼ばれるオプションが付いていました。これはドイツ・バイエルン産の高級牛革を使用しているそうで45万円のオプションです。
内装★★★★
内装もDSのハイライトですね。
特にこのDS5はDS3、DS4と比べても段違いに高級感があります。
それはほとんど専用品が許されたDS5だけの世界です。
コンセプトはグランツーリスモ。
ルーフに配されたオーバーヘッド・コンソールや、操縦かんをイメージさせるフラットボトム型ステアリングなど、運転席は航空機のコックピットのイメージですね。
試乗は昼でしたが夜はLEDライトが数多く配されているので一層ロマンチックなムードになると思います。
シートは腕時計のベルトをモチーフにした「クラブレザーシート」と呼ばれるオプションが付いていました。
これはドイツ・バイエルン産の高級牛革を使用しているそうで45万円のオプションです。
これはデザインやカラーは確かに素晴らしかったのですが、肝心の賭け心地がイマイチらしさに欠けました。
シトロエンに乗るといつも感じる超ソフトな包まれ感に欠けたのです。
まさか革がバイエルン産だからというわけではないでしょうが、そこは残念な部分です。
この完璧に素敵な内装に星が1つ少ないのはその部分です。
エンジン・ミッション★★
エンジンはPSAグループの車ではおなじみの1.6リッター直噴“ツインスクロール”ターボエンジン(156ps、24.5kgm)です。
これまで私はこのパワートレインに文句はありませんでした。
燃費もいいし1.6とは思えぬパワーとドライバビリティーで実用車として文句なしのユニットと思っていました。
ところが今回の印象はこれまでとまったく異なるものでした。ミッションもC5などと同じアイシンの6ATです。
車重も1550kgですからC5よりも軽いはずです。
しかし今回はこのミッションのセットにどうしても納得できない部分がありました。
試乗車は走行61kmのバリバリの新車でしたから、学習機能に変な癖が付いているとも考えにくいです。
しかしミッションは昔のフランス者以上に鈍くSモードにしてもなかなかキックダウンしないかと思うと、急にかなりのショックと失速感と共に2段飛ばしにシフトダウンして加速してみたり・・。
またそこでアクセルを戻してもシフトアップせず延々エンブレを利かしてみたり・・。
アイシンとは思えぬオバかな制御で一体感を殺ぎます。
まあシトロエンでそんな走りを期待する方がと言わればそれもそうなのですが、これまでのC5では気にならなかっただけに不思議です。
また一般道をゆっくりと流すような走りでも、どこかハイギアードでパワー感に欠けます。
前が開いて加速しようにも例のキックダウンが気になって積極的にアクセルを踏み込めません。
ボディが重く感じます。
こんな事はこれまでこのパワートレインのクルマで感じたことはありません。
本国にあるディーゼル・ハイブリッドの「ハイブリッド4」が羨ましいです。
ミッションもシングルクラッチ方式の2ペダルMTでモードもオート、スポーツ、4WD、ZEV(ゼロエミッションビークル)の4つの走行モードを選べるというではありませんか。
自分の手でクルマを操っている実感が得られてこそのDSだと思うのです。
足回り★★★
ここが2つ目のがっかりですね。
DS5は「C4」から派生したミニバン「C4ピカソ」のプラットフォームを使っています。
だからどうという気はありませんし、C3やC4の出来を知る者としてはハイドロでなければという気もありません。
一般のクルマとしては直進性安定性も乗り心地も十分です。
ハンドリングだってロールはまったく気になりませんでしたし、そのロードホールディングレベルは恐ろしく高いものでした。
しかしその乗り味にシトロエンは感じられませんでした。
DS3やDS4にさえ微かに感じた“らしさ”さえ見当たりません。
新車の為かコツコツとした硬ささえ感じました。
期待値が高いかもしれませんが、DSのフラッグシップたる5と考えると実に寂しい出来です。
これならC5の方が遥かにいいです。
サスペンション形式は前:マクファーソンストラット、後ろ:トーションビーム。
ステアリングのアシスト機構には電動油圧式を採用されていますがこの電動パワステにも違和感を感じました。
特殊な形状もありますが、アシストが人工的で路面のフィールを伝えません。
プリウスを重くした感じとさえ感じました。
↑ウィンドウの天地を小さくしたことで1512mmという車高を意識させない!普通のスポーツワゴン風にまとめてあります。
総評★★★
実は写真を見た時からこのクルマはかなり気になっていて、というか欲しくなっていて乗ってみて良かったら本気で買おうかと思っていました。
なので、ことさら残念ですね。
ハイドロではないので覚悟はしていましたが、せめてプジョー508ぐらいの乗り味であればと思います。
スペックからすると508をもう少しソフトにした感じを想像していたのですが、508よりも硬くしなやかさに欠ける足と重々しいパワートレインではいくらデザインが気入っているとしても選ぶ意味はありません。
何故かDSシリーズは大きくなるにつれ魅力が無くなってゆきます。
今のところDS5は、内外装のデザイン最高のプロムナードカーです。
特にミッションは個体差であることを期待しますが、サスやステアリングにそれは考えにくいです。
このエレガントな内装にはシトロエン流のソフトで優雅な乗り味を期待します。
いつかマイナーで見違えるようになったDS5にもう一度乗ってみたいものです。
【スペック】全長×全幅×全高=4535×1870×1510mm/ホイールベース=2725mm/重=1550kg/駆動方式=FF/1.6リッター直4DOHC16バルブターボ(156ps/6000rpm、24.5kgm/1400-3500rpm)/価格=400万円
(※この記事は2012年7月に書いたものです。有料版の記事の一部を加筆訂正し約1年遅れで配信しています。)