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キャデラック XTS Platinum 試乗

高級車の深みに欠ける?

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今回も目指せwebCGよりも先に試乗をと言う事でキャデラックのLクラスのニューカマーXTXに試乗してきました。

他のメディアに先駆けて試乗するのはもちろんニュース性を高める意味もありますが、自分自身なるべく先入観なく評価したいと言う事もあるのですね。

今回はたまたまヤナセのショールームを通りかかるとコレがあったので飛び込んでみました。

ぱっと見CTSかと思ったのですが、どうもサイズが大きく迫力があったので近づいてみると出たばかりのXTSだったと言うわけです。

 

スタイル★★★

サイズは全長×全幅×全高=5131×1851×1501mm、他のLクラス(Sクラスや7シリーズ、A8など)と比べると10センチほど幅が狭いのが特徴です。

まあその分日本では使いやすいですが、プロポーションとしてはどうしても寸胴になってしまいます。

それをどうにかカバーしようと前後のライトは極力両端に配置されています。

フロントグリルも幅を広めにとって横への広がりを強調しています。

その甲斐もあってバランスは悪くありません。

高級車らしい安定感のあるフォルムとなっています。

 

ただテイストは流石にちょっと古くなってきた感じですね。
旧CTSやSTS辺りから始まった直線基調のフォルムは今や新しいATSでも同じですが、ATSにしてもこのXTSにしてもニューモデルというのにどこか代わり映えしないというか新鮮味に欠ける印象です。

そろそろキャデラックもプロポーションに革新が必要な時期ではないでしょうか?

またちょっとスポーティーを意識しすぎてリアフェンダーのボリュームを強調していますが、このあたりもキャデラックにフォーマルな印象を期待している昔のユーザーは馴染めないのではないでしょうか。

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内装★★☆

内装も変わり映えしませんね。

ナビは従来のポップアップ式に変えてキャデラックシリーズの新しいUIであるCUE(キャデラック・ユーザー・エクスペリエンス)と呼ばれる8インチの液晶タッチスクリーンを中心としたスマホのようなインターフェイスを持つシステムに変えられていますが、その他は従来のCTSと代わりません。

 

つまり大きなセンターコンソールで仕切られたデザインとなっていて、ここはちょっと窮屈なデザインです。

つまりはやりの水平基調のダッシュと違って横への広がり感が無く実寸以上に狭く感じます。

ごちゃごちゃとした斜めラインが多いのも気になります。

 

実際、横にパッセンジャーが座るとLクラスというよりもう一つしたのBMWで言えば5シリーズあたりの車内環境と変わらない感じになっています。

流石にCTSのようにシートが小ぶりだったり、リアシートのレッグスペースが不足したりと言う事はありませんが、太いグリップのステアリングやサポートの強いシートにオヤジ世代としてはなんだかなーと思うわけです。

私にはどうしても直線的な横線のダッシュと細いリムのステアリング&ベンチシートというのがキャディのイメージなのです。

 

まあ、そういう需要に応えられるキャデは今は無く少し前に販売を終えたDTS・ドゥビルあたりに求めるしかありませんが。

また質感もLクラスとしてはちょっと物足りないものです。

ダッシュ上部には確かに革が張ってありメーターもパターンを変えられる液晶にするなど頑張っている部分もありますが、シートや木目の部分、また触った感じの剛性感なども物足りません。

CTSでは許されたかもしれませんが、相手がA8や7シリーズとなるこのクラスにあっては1ランク落ちると言わざるを得ないものです。

 

エンジン★★★☆

ここは近代的な部分です。

エンジンはCTSと同じ3.6リッターV6 DOHC(308ps/6800rpm、36.5kgm/5200rpm)ですが、遮音の行き届いたXTSに乗せると実に静かです。

そして回せばまるでアウディのように綺麗に粒の揃った回転フィールを重ね、結構な勢いで加速してくれます。

 

このクラスとしてはアルミボディのA8並に軽い1896kgという重量も効いているのでしょう、3.6リッターで十分と思わせるパフォーマンスではあります。
6速ATの制御も文句無しです。ただアイドルストップはありません。

しかしキャデラックは大きなエンジンを低回転で静々と回すというイメージを持っている人にはちょっと落ち着きのない走りだなという印象です。

最大トルクの発生回転数が5200rpmという高回転型のエンジンはLクラスのキャデには似つかわしくないと思います。

そういう意味ではもっと低速に振ったロープレッシャーターボなどの仕様があってもいい気もします。

 

足回り★★☆

ここも中途半端なんですね。

皆で「ハンドリングがどうの」とかいうもんだからキャデラックも随分無国籍な乗り味になってしまいました。

餅は餅屋に任せておけばって感じになっちゃってます。

 

つまりタイヤの履きこなしが甘く、当たりが少し固いのです。

そのくせステアリングフィールがイマイチでボディコントロールも完璧でないため飛ばすと大きなボディをもてあまします。

こうした走りをするならやはりBMWの方が上です。

 

乗り心地にキャディに期待するまろやかさ・しなやかさ・癒しが感じられません。

ボディ自体はしっかりしているのですが、内装が少しゆるい感じがするのもマイナスです。

こうしたプレミアムブランドでそれは許されない事でしょう。

つまり乗り味に重厚さや落ち着きがなく深みに欠けるのです。

ダンパーの可変機構も持ちませんがそうしたものが、まああっても一緒でしょう。

 

猫足を失った時代のジャガーやフランス車同様、この乗り心地ではキャデラックを選ぶ意味が無いというものです。 

FFの割にステアリングが良く切れて小回りが利くことは評価できます。

 

総評★★☆

やはりキャデラックにはキャデラックにしか出来ないところで勝負して欲しいものです。

ハンドリングでBMWに品質でレクサスに勝とうとしてもそれは無理です。

出来るかもしれませんが意味が無いと思います。

だいたい誰もキャディにそんな事を期待していません。

フカフカのシートに身を任せ、外の世界なんてどこ吹く風、ベンチシートで彼女と肩を組みながらドライブするという楽しみもクルマの楽しみだと思いのですが・・。
今一度、均質化した価値観にバックドロップを!がんばれキャデラックです。

 

【スペック】全長×全幅×全高=5131×1851×1501mm/ホイールベース=2837mm/車重=1896kg/駆動方式=FF/3.6リッターV6 DOHC(308ps/6800rpm、36.5kgm/5200rpm)870万円

 

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