初代が発売されたのが74年ですから約40年ですか!日本では2013年5月20日に発表された7代目のゴルフです。
グレード展開は1.2Lがトレンドライン(249万円)とコンフォートライン(269万円)の2種、1.4Lがハイライン(299万円)の1種で計3種類です。
今回試乗したのは1.4Lのハイラインです。
CMはサザンオールスターズですか!ちょっと違和感がありますね??
スタイル★★★★
ここは太いCピラーと直線基調のラインでもうゴルフの出来上がりです。
先代よりもエッジが効いている分、男性的というか端正な印象です。
面白みはありませんが、シンプル&クリーンで飽きのこないものでしょう。
ゴルフはこれでいいのです。
サイズは全長が+56mm、ホイールベースが+59mm伸びており、全長4255×全幅1790×全高1452mm、ホイールベース2637mm。
全幅も13mm広がりましたが、全高は28mm低くなり、前面投影面積は減少しています。
ボディが少し大きくなったにもかかわらず、新型は30~50kgの軽量化を果たしていることも特長です。
また今回は一見して品質感が高くなったことが分かります。
とにかくボディニッシュは研ぎ澄まされています。
もうアウディA3を完全に超えちゃっています。
下克上ですね。
このクラスでこれほどのフィニッシュを見せるのは他にはプレミアムブランドですがレクサスのHSぐらいのものでしょう。
内装★★★★
ここも質感がまたまたあがっています。
もうこのあたり国産車では勝負になりません。
プラモデルと大人の機械ほどの差があります。
乗った感じもゆったりしています。
全幅は旧型プラス10mmで、ついに1800mmになってしまいましたが、その10mm以上に前席はゆったりした感じになりました。
特にこの「ハイライン」ではセンターパネルやステアリングに光沢のあるブラック塗装が施されて高級感もあります。
パーキングブレーキも電動式ですし、あちこちに施されるシルバーのアクセントもアウディと見違わんばかりです。
シートはファブリックとアルカンターラを用いたコンビシートのほか、白っぽいベージュ(写真)や茶色、黒のレザーシートも選べます。
そしてついにあの硬かったサイドサポートは柔らかくなり、乗り降りの際にも太ももに違和感を感じる事はなくなりました。
リアシートは低められた全高のせいで座面が低くなってしまいましたが、ホイールベースが伸びた分、レッグスペースはかなり広くなりました。
座面や背もたれの角度が絶妙で収まりのいい空間になっています。
このあたりは流石に良く煮詰められています。
エンジン・ミッション★★★★☆
1.4リッターは直噴ターボ1基になりました。
140psのパワーは旧ハイライン用ツインチャージャーからは20psダウンですが、トルクは微増です。
アイドルストップ以外の燃費アイテムでは、今回から1.4リッターエンジンにはアクティブシリンダーマネジメントシステム(ACT)という、低負荷時に4気筒の真ん中2本をシャットダウンするシステムが付きました。
作動はほぼ気付きません。
まあ気筒休止といってもピストンは動いているのでショックも少ないのでしょう。
それでも作動中は少ない気筒で同じ出力を発生しなければならないのでスロットルは多めに開くことで、ポンピングロスが減り、ガソリンエンジン効率の悪い領域である低負荷の効率が改善されています。
フィールは4気筒としては非常にスムーズですね。
それにしても昨今の4気筒のスムーズさは何なのでしょう?
フォードのエコブーストもそうですが、もはや低中回転ではV6との差を見出す事は難しいほどですね。
ターボは少しオーバーシュート気味な領域がありそこが唯一気になりました。
つまり低速から踏んでいくと途中まではリニアなのですが3500回転あたりから僅かにアクセル開度よりも加速が先にいってしまう感じです。
まあその分パワーは十分でスピードはかなりのものを持っているのですが・・。
このあたりは1.2Lの方が回転感も含めて自然で楽しいですね。
1.2はより軽快で回す楽しさもあります。
全開でこういう素性のいいエンジンを楽しむのは小型車の醍醐味ですね。
足回り★★★★
ココは先代は5つ星でした。
新型は乗り心地はいっそうソフトになり、ほとんど高級車の世界です。
設計の古いA3をゆうに凌ぎます。
価格の高いAクラスやボルボV40とも勝負できる高級な乗り味です。
ゴルフは2世代ごとにプラットフォームを変えてきますが、今回は「ポロ」から「パサート」までを共通のモジュール(部品)でつくる“MQB”戦略の第1弾ですね。
サイズは大きくなりましたが、軽くなっていますし剛性感も文句無しです。
では何ゆえ星が欠けるのか?そうです、ステアリングの据わりが何故か先代ほどではないのです。
先代は直線で“バシッ”とセンターの出たもので、もうそれだけで圧倒的な差別化を感じたものでした。
もっと言えば足もまだ硬かった事もあってがっちりとした手応えがありました。
ところがこの新型は確かにスムーズで正確でインフォメーションも十分に伝えるのですが、何故か先代の安心感が無い。
ゴルフに期待するのはステアリングから伝わる高速での絶大な安心感。
新型は中立付近が僅かに曖昧でコレに僅かに欠けるのです。
もしかするとキープレーンアシストなどの安全装置が邪魔をしているのかもしれません。
余分な制御が介入している感じなのです。
先代のメカニカルな無骨さがありません。
まあ、逆に言えば欠点はこの1点のみです。
タイヤはこの「ハイライン」が17インチで「トレンドライン」(15インチ)や「コンフォートライン」(16インチ)よりも大きく、純正オプションとして、さらに大きな18インチも用意されています。VWのエンジニア曰く16インチがベストとの事です。
総評★★★★
他のグレードはチョイ乗りですがベストは1.2Lコンフォートラインだと思います。
エンジンはパワーがない分トルク変動が少なくフィールも軽快で回す楽しみ1.2が上です。
足も軽快で良く出来た小型車の全てがあります。
高速主体でなければ1.2Lがお勧めです。
ミリ波レーダーを使った衝突回避システムなどの安全装備も、全グレードに与えられています。
up!もですがこうした姿勢は流石にドイツ車ですね。
また快適装備も充実しておりコンフォートライン以上には「アダプティブクルーズコントロール(ACC)」も標準装備されます。
全車速追従機能付きのフルスペックで、信号待ちなどで自動停止したあと、アクセルを軽く踏めば自動発進して、ロックオンした前走車を再び追いかけます。
自動で掛かるサイドブレーキとともにこれは非常に楽ですね。
新型ゴルフのスローガンはドイツ語で「Der Golf. Das Auto」で、「ゴルフは自動車です」という意味だそうです。
当たり前のように聞こえますが示唆的でもあります。
またプレゼンでVW技術開発部門トップ、ドクター・ハッケンベルク氏が言った「ゴルフ7がもたらすものは、プレミアムの民主化です」、「我々は、心地よいものに囲まれて生活することの素晴らしさをより多くの方にお届けしたいのです」という言葉は重いですね。
振り返って今の日本は安ければいいという風潮です。
売れるのは軽とミニバンとハイブリッドばかり。
安さと効率が正義で、そこに上質や豊かな暮らしと言う価値はありません。
ガラパゴ市場ですね。
せっかく日本という豊かな国に暮らしているのに!日本人、いや日本のメーカーは小型車を諦めています。
一方、ゴルフは上級車の快適性や安全性を民主化しようとしています。
日本の小型車が勝負にならないのも当然です。
【スペック】ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4265×1800×1460mm/ホイールベース:2635mm/車重:1240kg駆動方式:FF/エンジン:1.2リッター直4 DOHC16バルブ
トランスミッション:7段AT/最高出力:105ps(77kW)/4500-5500rpm/最大トルク:17.8kgm(175Nm)/1400-4000rpm/タイヤ:(前)205/55R16(後)205/55R16(ミシュラン・エナジーセーバー)/燃費:21.0km/リッター(JC08モード)/価格:269万円/テスト車=292万5200円