それほどでもないと思います
2003年末デビューの12代目、いわゆる「ゼロ・クラウン」以降、特にアスリートは
「もはやクラウンではない!」と言われるほどのハンドリングとスタビリティで自動車専門誌にも絶賛されていますね?
さらに良くなった? 2008年デビューの新型に乗ってみました。
はたして、本当に欧州車と肩を並べるほどの足になったのでしょうか?
●概要
初代はシトロエンDSと同じ、1955年のデビューですね。
余談ですが、コレ先日行われた「CAR検」2級の問題にでていました。
日本で最も古いブランドの一つですね。この伝統ある13代目がこのクルマですが、プラットフォームも電子デバイスの充実以外さほど変わっていないことから、12代目のビッグマイナーなんてことも言われていますね。
スタイル★★★
どこにあっても違和感のないスタイルです。
トヨタの最高級車でありながら、レクサスのようなプレミアム感をあえて抑えた匿名性は日本人を知り尽くしたトヨタならではです。
それでも、従来よりもフェンダーに張り出しを与え、力強さを演出しています。流行にも少しだけ反応していますね。
しかし、何よりの見識は幅を1800mm以下に抑えていることでしょう。
これぞ日本の高級車のディメンションです。
↑ステアリングの立体的な造形とシフトの部も含めた革の質も見事です。操作性のいい大きなスイッチは昨今のメルセデス以上に人間工学的です。
内装★★★
アスリート系の内装はかなりいいと思うのですが、色が黒とグレーしか選べないのが不満です。
木目パネルも黒のみの設定です。
スポーティ=黒と言うのが日本人の思考だとしたら、ちょっと寂しいですね。
そういえば外装のカラーも無難な設定しかありません。
本来、高級車とは自分の趣味の反映です。
高級車こそ色々なカラーのボディやシートを選ぶ楽しみがあっていいと思います。
ソファーなどでもヨーロッパの高級ブランドは選ぶのに困るほどの素材とカラーのチョイスが可能です。まあ、クラウンはこのあたりも日本流ですね。
エンジン★★★
確かにパワーはありますが、2.5の方がフィールがいいです。
回した時の3.5の音質はこのクルマのキャラにはちょっと尖っています。
2.5の方がキャパが小さい分、シリンダーの壁が厚いためか、より静かでスムーズです。高速以外では2.5を回して走った方が楽しいですね。
足回り★★★
期待ほどでもなかったのがこの部分です。
ダンパーをスポーツに設定した時は確かにサスペンション自体締まった物になります。
ただ、その分ハッキリと上下動が大きくなりフラット感は期待値以下です。
ノーマルにすると揺れ戻しなどボディの重さが意識されますし、大きな入力の際には普段がなまじソフトなだけに強い衝撃にギャップを感じます。
ここはフランス車のように普段は多少コツコツきても大きなギャップの時には予想以上に強靭と言うパターンの方が好みです。
そして何より好みに合わないのはやっぱり曖昧なステアリングフィールです。
トヨタ車特有の路面感覚を伝えないステアリングフィールは運転の楽しみをスポイルします。
運転していても「今日は何を食べようか」とかすぐに何か他のことを考えたくなってしまいます。
そういう意味ではまだ先代の方がキャラがたっていたように思います。先代のアスリートは乗り心地は固かったですが、高速になると際立った安定性を持っていました。
新型は乗り心地の角は取れましたが、安定感を失いました。
ティアナの所でも書きましたが、細い2車線の道などでトラックなどを追い越す時などは完全にティアナの方が自信を持てます。安心でラクです。車幅はこちらの方が小さいですからステアリングフィールがいかに重要かが分かると思います。
総合評価★★★
自動車専門誌が褒めちぎっている意味が分かりません。
フラット感の足りない乗り心地と、曖昧なステアリングフィールはオヤジには致命傷です。
★3つは運転を楽しみと捕らえない多くの人にとっては完成度の高い極楽品だと思うからです。
悪く言っているわけではありません。
「試乗オヤジ」のようなクルマ好きの方がむしろ変態ですから・・。
「アスリート」と名乗ってもクラウンはクラウン、決して変態向けのクルマではありません。
↑こちらはロイヤルシリーズの2.5です。色のせいもあるのでしょうが、内装はグッとショボくなります。