コーナーで吸い付く!
天気がいいので琵琶湖畔をドライブです。
久々に旧型のルーテシアに乗る機会がありました。
このクルマに乗るのは10年ぶりですが、今の基準でもそのハンドリングは見事です!
「コーナーを探してしまう!」楽しさ
こんな不恰好な、何の変哲もないファミリーカーが!
信じられないかもしれませんが、奇跡のバランスとしかいいようのないハンドリングを持っているのです。
冒頭で「不恰好」なんて書きましたが、基本的なプロポーションはいいので、なかなか味がありますね。
不細工だけど魅力的なスタイルの女性みたいな?
このクルマは98年のデビューです。
全体に丸みを帯びただけで、94年デビューの初代と基本的に変わらぬ感じですね。
そういえば、初代もジャガイモみたいでした。
こちらは、リアに曲面ガラスを用いたりちょっとしゃれっ気が出ました。
マッシュルームぐらいの感じにはなったでしょうか?
これはマイナー前ですが、マイナー後のデコラティブな顔をして、口の悪い人は「カナブン」なんて言います。
↓初代ルーテシア。バカラという豪華仕様もありました。
↓こちらが2000年のマイナー後、フェイズ2。顔が昆虫類?
内装★★★
プジョーやシトロエンほどのお洒落さがないのが、国営企業のルノーたるところ。
ちょいダサ具合が日本ではトヨタのようなポジション? それでも色使いなどは十分洗練されているのですが・・。
シートは最高です。
サイズたっぷりのフカフカ。
特に表面の数センチが超ソフトでマシュマロみたい。
しかも、コーナーではそのたっぷりとしたサイズで全てを受け入れてくれます。
1.4リッターのエンジンは静かでスムーズで特に不満はありません。
非力なエンジンにポテンシャルの高い足回りの組み合わせがフランス車の特徴です。
調子がいいと乾いたノートを残すのもフランス車特有ですね。
足回り★★★★★
この乗り心地とハンドリングのバランスポイントの高さは、ミニバンでは不可能です。
軽い車重と比較的小さなボディもコーナーでの楽しさを引き立てます。
とにかく最後の最後までニュートラルでコントローラブルです。ロールは自然で気持ちのいいものです。
不安感は一切ありません。
そして驚きのコーナーリングスピードです。
コーナーの途中に突然ギャップが現れても、その先の湖の美しさの方に気を取られていられます。
このスタビリティはロングドライブのアベレージを上げてくれます。
疲れも少ないですね。
足回りの剛性感の高さはフランス車に共通する美点です。
初期はとてもしなやかでスムーズですが、大きなギャップには一転、ヤワラちゃんの如く強靭な押さえ込みを見せてくれます。
サスペンションアームが太く、ボディの取り付け部分の剛性がいかにも高そうな安心感は、飛ばすドライバーにはなにより頼りになるポイントです。
この時代、国産のこのクラスにこんなクルマはありませんでした。
総合評価★★★★
ミニバンからこういうクルマに乗り換えると、「今までの人生損をした」と思うはずです。
返せ! ミニバン
今から10年ほど前、マガジンハウスの雑誌「Hanako」の取材で、ルノージャポンからこのクルマを借りた時のことをオヤジは今もハッキリと思い出せます。
「温泉ドライブ」の取材で、それは夜中の12時に大阪から奈良の山を抜け、三重の山中の温泉宿に向かっている時のことでした。
スケジュールの都合で遅れていたモデルさんをピックアップし、夜中に延々続くワインディングを飛ばしに飛ばしました。
あたりは真っ暗で、行きかうクルマもなく、目印は怪しく光る満月だけでした。
ルーテシアは全ての極率のコーナーを惚れ惚れするフォームでこなしました。
低速ではクルリと身軽に、高速コーナーでは低く沈み込むようなフォームで・・。
無駄な動きは微塵もなく、乗り心地も平静を失う事は決してありません。
あまりの楽しさに隣のモデルちゃんを口説くのも忘れていたほどです。
合流時間にぎりぎり間にあった時のなんとも爽快な気分。
オヤジはフランス車が与えてくれる足回りの感動世界をこの時に初めて知りました。
この時の衝撃体験からオヤジは、その後3台のフランス車を乗り継ぐことになります。
ルーテシアの印象がいいのは、その時に隣で寝ていたモデルさんの甘い香りに惑わされたわけでは決してありません!