意外に楽しい?
今回は安旨(馬?)、「吉野家」の牛丼のようなクルマに乗ってみました。
この何の変哲もない「商用車」みたい(一応5ナンバーの方でした)なクルマが、今では考えられない割り切りと、シンプル&超軽量を武器にクルマ本来の楽しさを与えてくれたのでした。
●概要
1997年のデビューです。
一世を風靡した「アルト47万円」から数え、はや5代目。
それでも60万円そこそこで買えるのは、コレとダイハツの「ミラ」ぐらいのものです。
これは5ナンバーですが、4ナンバーのそれは、「一番安いやつもってこい?」の法人需要の底辺を支える重要なモデルです。
↓4ナンバーです
2004年にデビューの現行モデルです。全高を1500mmと高くとってスペースを稼いでいます。
スタイル★★
旧型は「えんどうまめ」みたいな顔ですね!
まあ、そつなく、可愛らしく、バランスよくまとまっています。
今となっては途上国のクルマみたいな古さも感じますが、新型のように破綻をきたしているところはありません。
このざっくりとしたファブリックはとてもセンスがいいと思います。
カラーもシックなブルーで、プントや昔のウーノといったフィアットみたいです。
シートは小ぶりですが、リアもそれほど狭くありません。
ATは3速!54馬力ですが、660キロという軽量ボディのおかげで、自転車のように? 軽快に走ります。
もちろん絶対パワーは少なく、加速もはっきりと鈍いのですが、不思議とそれがいやじゃありません。
少しずつですががんばって加速している様がはっきりと感じられて、まあ気長に待ってみようという気にさえさせてくれます。
小排気量の古いフランス車のように一緒に足でこいてやりたくなる感じです。
足回り★★
とても柔らかく「ふにゃふにゃ」ですが、軽くて車高が低いために「とっちらかり」ません。
限界は異様に低いですが、だからとてもコントローラブルで、むしろ安全です。
この乗り心地のソフトさと低重心な安定感は今の「ハイト軽」には望めない特性です。
個々の評価は★★なのに総合で★★★という逆転現象は初めてではないでしょうか?
もちろん個々のレベルは今となってははっきり低いわけですけど、その低さがバランスが取れているのと素直なので、不思議と楽しさにつながっているのです。
「今時こんなスピードでリアが流れるかー?」、でも全然怖くない。
「今時こんなペナペナなボディあるかー?」、でも軽くてキビキビ走る。
みたいな楽しさなのです。
そう、初代のフィアット・パンダのようなプリミティブな楽しさを久々に味わいました。
ただ、ステアリングはノンパワーでは駄目なのでしょうか?
この車重ならノンパワーでも十分に軽くてダイレクトな楽しいステアリングが、現代の自動車技術ならば設計可能だと思います。
ノンパワーなら更に軽くて安くなる。
消費者の安全性や快適性への過大な要求が、今の軽自動車を殺してしまったのだなとつくづく思いました。
軽なのに重くて豪華で、だからパワーがいる。ターボを付けて、結局普通車より高くて燃費も悪いクルマばかりになってしまいました。
消費者ニーズや「試乗オヤジのたわごと?」に耳を貸さない、メーカーのポリシー、プロの矜持が今の日本の軽自動車には必要なのではないでしょうか?