2リッタークラスのディーゼルエンジンNo.1
7月23日にボルボの主力5車種「V40」「V40クロスカントリー」「S60」「V60」「XC60」にクリーンディーゼルエンジン搭載モデルが販売を開始しました。
V40クロスカントリーかXC60に乗ってみたかったのですが、試乗車の都合で今回はV60に乗りました。
V60もデビューの2011年以来乗っていなかったのでどのぐらい進化したのか確かめるのもいいなと思いました。
さてさて、それでは早速逝ってみましょう!^^
スタイル★★★☆
ワゴンとクーペの間のようなフォルムは今では珍しくありませんが、当時としてはなかなか新鮮でした。
しかもあのV70を要するボルボがやってくるとは!と当時は驚いたものです。
その後ボルボはV40などでもこのスポーティー路線を推し進め、角ばった印象は過去のものとなりました。
サイドを絞り込み特に斜めから見るとフロントのオーバーハングは最小に見えます。
垂れ下がったルーフはラゲッジの容量を犠牲にする覚悟です。
ボディサイドを流れる「ダブルウエーブ」と呼ばれるキャラクターラインも自然で丸いボディを見事なストレートラインで引き締めています。
ウエストラインが高く、ルーフも低いため、相対的にガラス面積の小さいところもスポーティーな演出です。
セダンのS60よりもまとまったスタイルだと思います。
内装★★★☆
Rデザインに与えられるシートはサイドの深いバケットタイプのものですがコレがなかなかフィットしていい塩梅です。
革の質もいいですね。クッションは適度に固く、革なのに滑りも少なくて、座り心地もいいですね。
後席はご想像の通りのヘッドクリアランスですが、177センチの私が座ってももちろんすることが無い程度のクリアランスは確保されています。
後席を立てた状態での容量は430リッター。
これはほとんどのライバルを下回る数値です。
しかしそこはスタイルとのトレードですから承知の上です。ボルボらしいのは後席が4:2:4の3分割で畳め、助手席も同じ高さでフラットにできる構造になっている事です。
ラゲッジネットも6:4分割で、後席を立てていても畳んでいるときにも使えるのは細かな配慮です。
荷室のフロア上には買い物袋を固定しておけるホルダーもあり、下には広い収納スペースもあります。
また全ての操作フィールとタッチがいいこともワゴンメーカーらしいところです。
このあたりの操作が固かったり渋かったりすると操作する気になりませんが、その点ボルボはプレミアムなワゴンメーカーの期待を裏切りません。
エンジン・ミッション★★★★★
ココが今回のハイライトです。
D4は、排気量2リッターの直列4気筒ディーゼルターボエンジンで、最高出力190ps(140kW)/4250rpm、最大トルク40.8kgm(400Nm)/1750-2500rpm。
この数値はライバルのBMWなど多く2リッター級のディーゼルを上回ります。
ボルボはガソリンでも他のライバルを上回る数値を確保していますが、ディーゼルモデルでもその姿勢は守られているようです。
肝は日本のデンソー製インジェクターを用いて、最高2500バールという高い噴射圧力を達成している事ですね。
多くのボッシュのコモンレールよりも500バールほど高い数値です。
またインジェクターはシリンダーごとに燃料噴射を調整する「i-ART」システムで、1回の燃焼あたり9回もの噴射をコントロールしています。
これも世界最高の制御です。
結果その乗り味は良く出来たガソリンエンジンを上回ります。
4気筒のディーゼルとしては間違いなく過去ベストです。
低速トルクは圧倒的で、その力強さは3リッタークラスのガソリンを上回ります。
そして驚きは回した時で、「シャーン」とシャープでスポーティーなフィールを伴って高回転まで軽々と吹け上がります。
この伸びの良さと軽快感はこれまでのどのディーゼルよりもスポーティーです。
これより上のフィールを望むなら、ディーゼルではアルピナのD5などの6気筒を持ってこなくてはなりません。
少し残念なのは組み合わされるトランスミッションがデュアルクラッチではなく、これまた日本のアイシン製のトルコン8ATとなっている事でしょうか?
マッチングがこの方がいいといいますが、キックダウンを伴う加速時には僅かにショックととまどい感があります。
ここはBMWのZF8速に適わない部分です。
それでも、全体的に見るとこのパワートレインは素晴らしくスポーティーなディーゼルです。
軽いV40で試したくなります。おそらくこのエンジンはV40をスポーツカーに変えます。
そして、V60の燃費は20.2km/リッター(JC08モード)です。
最高ですね!
足回り★★★
ココは少し期待外れな部分です。
2011年の印象が良かったでRデザインの硬さが気になったのかもしれません。
それでも年次改良を考慮すると期待値に届きません。
もともと、乗り心地はいいのですが、2011年当時も僅かに重厚感に欠けると感じました。
そこが完璧なV70との差ですと書いた記憶があります。
もちろんアベレージよりは上ですが、V70の熟成を知ると少し期待値が高くなってしまいます。
直進性やロールの制御なども僅かずつではありますが、気になる動きがあります。ステアリングの座りが物足りなかったり、コーナーでのスタビリティだったり・・。
もしかすると試乗車ゆえの問題かもしれませんが、エンジンと比べそのシャーシは今や最新でないと感じました。
総評★★★★
それにしても、素晴らしいディーゼルユニットでした。
これに乗るとスカイアクティブDは少しトルクが物足りなく感じます。
パワーやフィールの面でもこちらが上回ります。
つまり現時点では最良のディーゼルです。
これに組み合わされるボディは冒頭に述べましたように5車種「V40」「V40クロスカントリー」「S60」「V60」「XC60」です。私ならXC60に惹かれつつもモデル末期でもあるので、V40にすると思います。
近々してみたいと思っています。