久々にサーブに乗ったら、恐ろしく良くなっていました!
今年乗ったクルマのベストです!
900の時はベクトラ入っていて、すっきりした乗り味ではありましたが、それほど感銘は受けませんでした。
ところが、この9-3は実にいい感じに完熟していて、しみいる乗り味になっていました!
ドイツ車から乗り換えたら渋滞も天国の癒し系です。
●概要
9-3は2002年パリサロンのデビューです。
ボディは900の5ドアハッチバックから普通のセダンになりました。
後にカブリオレやエステートも追加されています。
60周年を迎えた2007年にはビッグマイナーが施され現在の顔になりました。
エンジンはこのリニアのL4、175ps、ベクターの209ps、エアロのV6、2.8リッターで255psの3種。
全て経験の深いターボで加給されているのは、航空機をルーツとするメーカーらしいところです。
スタイル★★★★
一見、何の変哲もない普通のセダンですが、マイナーでディテールがモダナイズされたこともあり、随分クリーンな印象になりました。
よく見れば個性的、モダン&クリーンなスカンジナビアン・デザインであることが分かります。
まっとうなボルボよりも、どこかヘンで心に引っかかるデザインはサーブならではでしょう。
↑素晴らしくソフトな、とろけるシートです。9-5はさらにサイズが大きく、もう一つ良かったですね。
内装★★★★★
デザインが凄いわけでも、品質感が凄いわけでもありません。
ただこのシートの掛け心地だけで5つ★の価値があります!
ぜひ、ショールームで座って確かめて見て下さい。
子羊のように柔らかい革のシートはマシュマロのようにソフトで、座った瞬間に極楽温泉です。
同じソフトでもフランス車のように纏わり付く感じではなく、サラリとしているのにこの深い感じは何なんでしょう?
形状は割りと平らでサポートはありませんが、もうそんなことはどうでもいいです。
インパネがドライバーオリエンテッドなのは以前のBMWにも似て飛行機メーカーの矜持でしょうか。
キーシリンダーがシフト手前にあるのも使い勝手はともかく伝統ですね。
夜間、目の疲れを軽減するために、スピードメーター以外の全ての照明を落とすことが出来るナイトビューも健在です。
以前、試乗オヤジは900で夜間の高速をクルーズしたことがありますが、このナイトビューがロマンチックだったことを思い出します。
「ピンポーン」というマッキントッシュのような警告音もムードがありました。夜間飛行の疑似体験ですね。
↑こちらはナビとステアリングシフトが付く9-3エアロの内装です。
エンジン★★★★
低速から自然に加給され、2リッターでも力強い印象です。
なにより4気筒とは思えないほどの、スムーズさが印象的です。
クランクシャフトの2倍の回転速度で互いに反対方向に回転するデュアルバランサーシャフトが効いています。
これほど目の詰まった絹ごしタッチの4気筒はなかなかありません。
30年ほど前に発売されたギャランΣのサイレントシャフト付きの4気筒、G53B、1850ccエンジン、はたまた24年前のW124、230Eの4気筒を思い出しました。
足回り★★★★★
この水の上を滑るごとくのスムーズな乗り心地はなんでしょう?
ドイツ車ばかり乗っていて久しく忘れていた感覚です。
これははっきり病み付きになります。
エアサス以外でこれほど浮世離れした乗り心地のクルマは、このクラスでは思い浮かびません。
シトロエンのハイドロも高速でのフラットさや大きなうねりには強いですが、低速はコツコツきます。
あたりのソフトさでは昔のZX並みです。それに加え遮音やボディは現代のクルマですからこの高級な乗り味は他に比べるものがありません。
乗り心地ならBMWの3とは比べモノにならず、Cクラスと比べても味の部分で勝ります。
↑これだけサーブが一堂に集うのはヤナセ大阪支店でもフェアの時だけです。普段はキャデラックに半分以上奪われています。
↑9-5ターボX。V6,2.8リッター280ps、世界限定2000台で日本には30台の割り当て
総合評価★★★★★
このクルマに乗ってからというもの、またまた悪い癖が出てきてしまいました。
そうです、「クルマ欲しい欲しい病」です。
足の固いエアロは除外するとして、ベクターもいいか! ショールームにあった9-5はシートがさらに大きく良かったぞ! と。
とにかく年間に何十台と試乗している試乗オヤジが久しぶりに「ビビッ」っときた(古!)クルマです。
こういう相性のいいクルマはめったに出合えるものではありません。
このちょっと古い感じも気にっています。
朽ちかけて零れ落ちそうな、でも最高に甘そうなりんごの木を前にした子供の象のように、はたまた、きれいに年を重ねた女優を前にしたオヤジのように、
いま、鼻を伸ばしながらカタログを眺めているところです。