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フォード フォーカス スポーツ 試乗 

しなやかで有機的な走り
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フォーカスも3代目ですね。

初代はその前衛的なスタイリングとジャッキー・スチュワート監修によるずば抜けてシュアなハンドリングによってCセグに革命を起こしました。

2代目はそのハンドリングの良さは引き継ぎましたが、スタイルが平凡なものになったためか初代ほどのインパクトはありませんでした。

 

この3代目フォーカスは2010年にパリサロンで世界初公開され、翌年から順次発売されました。

日本の発売は昨年ですから一番早かった地域と比較すると、約2年も遅れたことになります。

 

しかしその間フォーカスは世界No.1売り上げも記録するなど、世界的に成功を収めています。

日本でのフォーカスの知名度からするとピンとこないかもしれませんが、フォーカスは世界120カ国以上で市場投入されておりゴルフなどと並んで最もポピュラーなクルマの1台です。

ちなみに日本とアジアパシフィック各国向け3代目のフォーカスは、フォードが昨年タイの首都バンコク北部に建てた最新鋭の工場で製造されています。

それ以外にも、新しいフォーカスは、ロシア、インド、アルゼンチン、中国など、世界7カ国の工場で生産されています。

 

スタイル★★★★

フォーカスは伝統的に6ライトのサイドビューが特徴的なエクステリアデザインです。

日本に輸入されるのは5ドアハッチバックのみで(欧州にはセダンもあります)今回もそのフォルムは引き継がれています。

初代と比べると少々退屈だった2代目よりは遥かに有機的で立体的なデザインとなっています。

これは止まっていても躍動感のある造形を目指すというデザインコンセプト、キネティック・デザインによるものです。

 

フロントは大きく口を開けたグリルが特徴です。

ちなみにこのフロントグリルはシャッターが付き自動的に開閉するようになっています。

空気抵抗を低減し、エンジンの暖機を早める「アクティブ・グリルシャッター」が搭載されています。

Cd値は0.298です。

 

特徴的なのはサイドのキャラクターラインは前後のフェンダー付近とドアの接合部のあたりで上下2本が交錯するという複雑なものとなっていることです。

通常無駄なラインを嫌うデザイナーはここを1本で繋げたくなる(マツダなど)ものですが、フォーカスではあっさりとそれを諦めています。

しかし結果それが大胆で力強い印象を与えているのだと思います。

無理にうねっていない分、明瞭な感じがします。

リアはグループのボルボV40などにも似て大きなコンビネーションランプが与えられていますが、夜間はストレートに走るLEDがモダンで印象的な雰囲気を醸し出しています。

 

内装★★★★☆

内装もスタイルと同様に立体的で複雑な造形となっています。

質感も先代のプラスチッキーな印象はありません。

このクラスとしてはかなり高級感の高いものです。

 

シートもいいですね。本革とファブリックを組み合わせたハーフレザーシートが標準です。

これが肌に触れる部分がファブリックなので滑らないですし、賭け心地もちょっとソフトな感じもあってサイズもたっぷりしています。

形状的にサポートも十分ですし1810mmという車幅もあって開放感もあります。

ここは頭上に圧迫感のあるAクラスとの違いです。

 

ステアリングの形状と感触もいいですね。

また細かなところではウインカーが右側に付くのも親切です。

とにかくフロントの居住環境はこのクラスでNo.1の出来と感じました。

リアシートもサポートや作りはいいです。

ただスペース自体はフィットなどと違って必要最低限です。

カラーがブラックしかないのも圧迫感のある印象を与える要因でしょう。

また後席は6:4の分割可倒式のダブルフォールディングタイプですが、座面の方は分割されず、一体で跳ね上がるのも少し残念です。

 

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エンジン★★★★☆

日本に輸入されるのはタイ工場で生産されるフォーカスで最も高級かつ高性能の「Sport」というモデル1種で、このエンジンはNAの2リッター直4、170psと20.6kgmです。

欧州には2種のダウンサイジングターボもありますが、日本には入っていません。

しかしこのエンジンもいいのです。このNAエンジンはフォード自慢のエコブーストの“ブーストぬき”ですが、圧縮比はハイオク指定もあって12.0:1、直噴ガソリンと吸排気両側の無段階可変バルブタイミングなど技術的には最新のスペックとなっています。

 

これフィーリングが非常にいいですね。アイドリングはほとんど無音で静粛性の高いエンジンですが、踏めば“ブーン”と自動車らしい音を伴ってなかなかの勢いで加速します。

その加速が実にリニアで気持ちがいいです。

これはトランスミッションが先代の4ATから最新鋭の6段DCT(ツインクラッチ自動MT)になったことも大きいです。

トルコンと見紛うほどのスムーズさと完全なダイレクト感が融合します。

右足の動きやドライバーの意識と、変速タイミングが見事に合致します。

これはダウンサイジングターボ&DCTよりも遥かに自然で一体感のあるパワートレインと感じました。

この乾式ゲドラグ・フォード製のDCTは親指で操作する「サムスイッチ」によりマニュアルでのシフト操作も可能です。

欲を言えばパドルが欲しいですがこのスイッチでもダイレクトでショックの無い変速が可能です。

 

アイドリングストップは付きませんが代わりにというか低速走行時などの燃料供給量を抑える「ADFSO(減速時燃料遮断機構)」が装備されています。

これは10-20km/hでクラッチを切ってコースティングする機能です。

 

安全装置では「アクティブ・シティ・ストップ」なる赤外線センサーを使った低速限定自動ブレーキも標準装備されます。

これはボルボの「シティ・セーフティ」やマツダの「SCBS」など、旧フォードグループ勢が使っているものと基本的に同じですね。

 

足回り★★★★☆

このクルマのハイライトはここです。

とにかく乗り心地とロードフォールディングが素晴らしい。

サスのしなやかさときたら昨今硬くなってしまったシトロエンのC4より上です。

 

日本に入る「スポーツ」というグレードはノーマルよりも15%硬いですが、ストロークが豊かで荒れた路面ほどその真価を発揮します。

実に滑らかで、路面に吸いつくように走ります。

少しざらついた印象のあった先代の乗り心地とは比べ物にならないほどソフィティスケートされています。

これはちょっとドイツ車とはまったく違う感覚ですね。

フランス車とアメ車のいいとこ取りをしたような感じで有機的で詩的ですらあります。

 

コーナリングも素晴らしく、非常に高いレベルまでニュートラルです。

これはVSC(車両安定装置)と併せて、コーナリング時に内側前輪のブレーキを制御してアンダーステアを軽減するが標準で備わることにもよります。

このハンドリングはライバルに対する大きなアドバンテージです。

 

限界付近でフロントが逃げてアンダーになるかと思いきや、すかさずトルクベクタリング機構が働き限界がもう一段高まります。

そしてそんな領域ですらコントロールベレードマルチリンクリアサスの方も路面を離しませんから限界は非常に高いです。

 

フォーカスといえば、WRCをはじめとする世界のラリーやレースを席巻してきたヨーロッパ・フォードのエースですが、まさにそのイメージを彷彿とさせる走りです。

わずかに気になるのはタイヤのトレッドの硬さです。

ストロークがこれほどしなやかな割に細かなアタリがコツコツとくる時があります。

これはエコ優先度が高い(試乗車はミシュラン・プライマシーLC)タイヤのサイズは215/50R17のためかと思われます。

 

またフォーカスとしては今回初の電動パワーステアリングのフィールも僅かに気になります。

そのシュアなハンドリングに対し少し軽すぎるのです。特に中立付近が軽く、市街地でスムーズに走らせるには、少し気づかいを要します。

路面のフィールももう少し伝えて欲しい。ここだけは経験不足という感じですね。

 

総評★★★★

うーん今回はその新鮮な乗り味にやられました。

 

NAの自然なトルク特性にスムーズ且つダイレクトな6速DCTと、しなやかなストロークと繊細なハンドリングを両立するサスペンションが見事に融合したその走りはちょっと他に思いつきません。

このクラスにはゴルフはもちろんボルボV40、ベンツAクラス、BMW1シリーズといった競合がひしめきますがその中にあっても負けていません。

というかその乗り味は個性的ですらあります。

 

もともとソフトな乗り味のアメ車やフランス車は好みですが、欧州フォードの乗り味はそのどちらとも違う独特のものです。

クルマ好きの人はぜひ試乗をお勧めします。

 

輸入車嫌いゴルフ嫌いの人にも受け入れられる可能性があります。

特に退屈な日本車から乗り換えれば運転好きなる事請け合いです。

 

【スペック】全長×全幅×全高=4370×1810×1480mm/ホイールベース=2650mm/車重=1380kg/駆動方式=FF/2リッター直4DOHC16バルブ(170ps/6600rpm、0.6kgm/4450rpm)/燃費=12.0km/リッター(JC08モード)/価格=293万円

 

(※この記事は2013年5月に書いたものです。有料版の記事の一部を加筆訂正し約1年遅れで配信しています。)

 

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