ミッションと内装が惜しい
2011年4月のニューヨークショーでお披露目され、同年12月に日本国内で発売された4代目インプレッサはこのメルマガでもVol.41で取り上げましたが、今回もこの9月25日にそのクロスオーバーバージョンであるXVが追加されたのでさっそく乗ってみました。
スタイル★★★★
Aピラーを前出しして一般的になってしまったノーマルのスタイルは前回かなり酷評した部分でした。
全体の印象もミニレガシィみたいになってしまい先代が持っていたどこから見てもインプレッサとわかる個性やブサ可愛らしさが無くなってしまっていたからです。
ところが、これがクロスオーバー風味となるとがぜんカッコ良く見えてきました。
セダン&HBでは武骨に思えた角ばったラインもXVでは道具感が出てらしくもあります。
ベースは5ドアハッチバック車の「インプレッサスポーツ」です。
確かに普通になったAピラーのせいでサーブ900風だった先代XVの面影はなくなりましたが、アルミのルーフレールやリアのアンダーカウル、黒のフェンダーアーチなど、たっぷりのクロスオーバー・スパイスのおかげで若々しさを取り戻しました。専用の17インチ・アルミホイールもなかなかカッコイイと思います。
内装★★★
内装も以前に酷評した部分です。
黒一辺倒の色気に欠けるインテリアで、質感も「ダッシュやドアパネルも相変わらずプラスチックそのものです。
タミヤのプラモか京商のミニカーの方がまだ上手くやります」と書きました。
外観に比べると伸びしろは少ないですが、ここも幾分マシになっています。
シートは専用の素材が与えられデザインもステッチもアクセントになっています。
ただ色使いは相変わらず黒一辺倒の暗いインテリアですね。
ステアリングの革も固くて滑るのでプラスチックかと思った程です。
いい所はステアリングに多くのコントロールボタンが付いていて手元で色々な操作ができること。
またダッシュボード上のマルチファンクションディスプレイもグラフィカルで見やすく、表示される情報も充実しています。
特に燃費情報が豊富で自然とエコドライブを心がけたくなる気分になります。
エンジン★★☆
ここは前回と同様に残念な部分です。
XVのエンジンは「FB20」の2リッターのみで1.6リッターは用意されません。
リニアトロニックCVTのコンビですが、もうこのCVTが全てを台無しにします。
わざわざリニアトロニックと謳うほどこだわったにしては??感覚的に何度乗っても並みのCVT以下の出来としか思えません。
常にスリップ感がつきまといエンジンの印象までスポイルします。
エンジンのパワー自体はこのボディに不足ありませんが、CVTのせいでレスポンスもトルク感もありません。
回しても楽しくなる要素もありませんから退屈です。
しかもノーマルでは感じなかったスタート時の飛び出しも気になりました。
個体差かもしれませんが、出だしの一歩のギアが低すぎてアクセルワークに気を使います。
すぐに高いギアに移りますが、その移行もスムーズさに欠けストップ&ゴーの多い街中では疲れてしまいます。
また遮音がイマイチなのも気になりますね。
今やボクサーサウンドは望めませんから「ザザザザー」というちょっとガサツな音が入ってくるだけです。
アイドリングストップもエンジン再始動音がこのクラスのクルマにしては少し大きいです。
ちなみにXV以外ならインプレッサは1.6のMTが一番楽しいですね。
エンジンも1.6の方がトルクの付きも良く綺麗に回ります。
足回り★★★★
ここは良かったです。
特に乗り心地はハーシュネスの遮断が良好で、鋭いショックを一切伝えることはありませんでした。
最低地上高がベースモデル(145mm)より55mmアップの200mmほど確保されていることもあって悪路も安心して突破できます。
ハンドリングも非常にバランスが良くニュートラルな感覚を味わえます。
車高も意外と低く1550mですからロールや揺れ戻しもなくフラットで快適かつ上質なドライビングを楽しめます。
気になったのはステアリングフィールが若干希薄なこととボディの剛性感がイマイチなところですね。これは絶対値ではなくあくまで感覚です。
全体に軽いというか薄いというか、、もっとどっしりとした感覚や、逆に軽快でも中に芯のあるような感じが伝わればもっとスバルらしいというかプレミアムな感じになると思うのです。
例えば前回のup!は車重800kg程のリッターカーですが走りにVWそのものの芯がありました。
スバルでもスポーツモデル以外ではエクシーガなどにはこの芯があります。
XVにも欲しいです。
星が一つ欠けるのはそういうところです。
試乗車には「EyeSight(ver.2)」が付いていました。
これはレガシィでもお馴染みですが、ステレオカメラで前走車や前方の歩行者を検知し、プリクラッシュブレーキ、プリクラッシュブレーキアシスト、全車速追従機能付クルーズコントロール、AT誤発進抑制制御、車線逸脱警報などの機能を持っています。
前回のup!にも付いていましたが、こちらはクルーズコントロールやレーンキープなどより高度なシステムとなっています。
こういう装備は近い将来はABSなどと同様に全てのクルマに付くことになると思います。
総評★★★
この手のクルマ好きなんですよね!
車高の高さによる視界の良さや乗り降りのしやすさ、たっぷりとしたロードクリアランスによる安心感など、手頃なサイズも含めて街乗りではなかなか便利です。なので、かなり期待を持って試乗しました。
内外装はまあいいとしましょう。
足も良かったです。そうです!CVTだけなんです。
でもこれが致命的なんですね。
ここしか印象に残っていないぐらいです。
5速に区切ったパドルも付いていましたが使う気にもなりませんでした。
ここが良く出来たトルコンかツインクラッチだったりしたらかなりオススメの1台だったですが・・。
【スペック】2.0i-L EyeSight全長×全幅×全高=4450×1780×1550mm/ホイールベース=2640mm/車重=1390kg/駆動方式=AWD/水平対向2リッター4気筒DOHC16バルブ(150ps/6200rpm、20.0kgm/4200rpm)/価格=246.75万円
(※この記事は2012年10月に書いたものです。有料版の記事の一部を加筆訂正し約1年遅れで配信しています。)