僅かにしゃきっと感が足りない
フォレスターいいですね!特に2代目SG系のSTiとか大好きでしたね。
でも先代あたりからレガシィ同様、アメリカ市場を意識したというか、ちょっと一般化しちゃった感じですね。フラット・エンジンのドロドロ感もなくなりましたし・・。
で、この4代目ですがサイズが少し大きくなりました。
先代モデルとの比較では全長が+35mm、全幅が+15mm、全高が+20mmといったところです。
幅はCX-5よりは僅かに控えめですが日本で使うにはほぼ上限のところまできています。
エンジンはレガシィと同じFB+CVTです。さてさて乗り味の方はどうなったでしょうか?
スタイル★★★
まずNAとターボで顔つきが随分変わります。
ターボではフロントバンパーの両サイドに大きな縦型のスリットが入りそこに流行のLEDランプが埋め込まれます。
鷹の目ぽいヘッドランプの形状もあって確かに精悍になり高級感も増しますね。
ただデザイン的に必然性があるかと言われれば無いわけでこれがエグイと感じる人もいるでしょう。
アメ車のテールフィンではありませんが、何十年後かに見たらNAの方がナチュラルに感じられるということはあるかもしれません。
ただ、両車とも全体的なフォルムはボクシーでその意味ではフォレスターらしさは良く保たれていると思います。
確かにサイズ的にも大きくなりSG時代のような明快さはなくなりましたが、少なくとも先代のような曖昧な感じは無くなりました。
ホイールもターボモデルはXVと同じようなデザインの18インチアルミホイールが付きます。
これはなかなかカッコいいです。
ルーフレールはどちらもオプション扱いです。
またターボモデルのボンネット上のエアスクープがなくなったのはちょっと寂しいですね。
冒頭でボディが大きくなったと書きましたが、最小回転半径は5.3mのままで依然として良好です。
内装★★★
一方内装は相変わらずと言うか黒一辺倒でデザイン的にもあまり面白みの無いものです。
ただ品質感はぐっと上がっています。
まあスバルはここ数年酷かったですからようやく国際レベルになったと言うだけですが。
ここはSTiやtsバージョンなどの登場を期待するしかなさそうです。
前席は視界を確保するために三角窓が与えられています。
後席はフロアトンネルが低くなり使い勝手が良くなっています。
荷室もリアシートを倒せばほぼフラットになり使い勝手が良くなっています。
エンジン★★★☆
エンジンはもちろん水平対向4気筒、2リッター自然吸気(148ps、20.0kgm)と、2リッター直噴ターボ(280ps、35.7kgm)の2種で試乗したのは後者のターボモデルです。
トランスミッションはどちらも、インプレッサ同様、トルコン式のATから「リニアトロニック」と称するCVT(NAにはMTもあります)に変更されました。
インプレッサやXV、レガシィで“全然リニアじゃない!”と酷評したアレですね。
しかしエンジン&ミッションの印象は意外にも良かったですね。
随分とパワフルなのはレガシィで体験済みなので想定内ですが、車重のあるSUV用にレガシィよりもディチューンされた事で不自然なトルクの変動が無くなって乗り易くなっているのです。
レガシィの時は大昔のどっかんターボの様に、ある回転域から急激にパワーが立ち上がると言う悪癖がありました。
しかもそれまで滑っていたCVTがちょうど食いつくタイミングなのか、その特性を助長するものですからアクセル開度一定なのに加速してゆくというという自動制御が始まりスポーティーカーの大切な要素である一体感、ドライビングのリニアリティを大いに殺いでいたのです。
プリウスが勝手にあれこれやるのは仕方ないですがレガシィでこれをさせるとまったく面食らってしまいます。
しかもスピード領域が速いのでちょっと怖かったのですね。
それがこのフォレスターのターボではエンジン自体もフラットになり、CVTも低速から随分食いつきが良くなりました。
聞かされなければ普通のトルコンかと間違うぐらいには素直に走ります。
音は依然として分かりやすいボクサーサウンドこそありませんが、これも耳を澄まし意識を向けてやれば僅かに他と違う事ぐらいは分かります。
つまり僅かなビート感というかアクセルペダルから伝わる振動や高負荷時に前方でざわめく乾いたサウンドにフラット4の鼓動を感じることは可能です。
アイドルストップは可もなく不可もないといったレベル。初期のFBのような直噴特有のカチカチ音も控えめになっています。
足回り★★★☆
ここも難しいところです。背の高いCX-5よりも低重心感はあります。
もちろんフラットエンジンも貢献しているのでしょう。
全高1695mmというそのスタイルからすると随分と重心が低くコーナーでも上屋が揺られる事もなく安定しています。
乗り心地もあらゆる場面で直接的なショックを伝える事はありません。
ボディもしっかりとしておりこのディメンション&安定性の割にはソフトで快適な乗り心地を実現していると言えるでしょう。
乗り心地と操縦性のレベルはCX-5と比べても確かにスポーティーで非常にレベルの高いバランスポイントを得ていると言えるでしょう。
ただ惜しむらくは後一歩のしっかり感というかフラット感が足りないのです。
スバルに期待するのはやはりただのターボとはいえSTiで感じられるステアリングや足回りのからのどっしり感・剛性感と飛ばした時のスバ抜けたスタビリティでしょうか。
ここもSTi、tsバージョンの登場を待たねばならないと言う事でしょうか?長所としてはアイサイトはやはり相変わらずいいですね。
またシフトレバーの前方に置かれる「X-MODE」のスイッチ。これを押すと、エンジン、CVT、AWD、VDCの制御がすべて“悪路向け”に変化するボタンですが、これも分かりやすくていいと思います。
総評★★★☆
私はどうもスバルというブランドに対する期待値が高いのか、こういうノーマルのグレードにもどこかスバルらしい芯のある走りを求めてしまいます。
STiでは無いのだからといってしまえばそうなのですが、昔のスバルはノーマルでも確かに個性的な乗り味を持っていました。
それが今のレガシィや先代のインプレッサやフォレスターあたりから、どうもトヨタや日産のクルマと変わらぬフィールになってきました。
確かに耳を澄ませば個性的なサウンドだったり低重心のハンドリングだったりするわけですが、昔のようにアイドリングからしてドロドロ言ったり、横っ飛びしそうなハードなコーナリングでもステアリングさえ握っていれば平気なハンドリングだったりと言った分かりやすい特性はもはやありません。
このフォレスターも冷静に考えれば、あの優秀なCX-5と比べても足回りのバランスは優れていると思います。
でも何故こうも響かないのか?
あまりそそられない内外装の下手さもあるでしょう。
でも問題はいまいちソリッド感のないパワートレインだったりステアリングだったりするのではないかと思います。
つまりSUVであってももう少しシャキッとして欲しい。
単に硬くしろと言っているのではありません。
このあたり難しいのですが、例えばエクスプローラーなどはもっとソフトですがなぜか見事なまでに雑味がなくスッキリしています。
現状のフォレスターはどこか物足りなさが残るのです。
上手く言えませんしどこから感じるのかも分かりません。
もしかすると作り手自身の迷いなのかもしれません。
いつか追加されるであろうSTi、tsバージョンでは一点の曇りもない乗り味のフォレスターを期待します。
【スペック】2.0XT EyeSight:全長×全幅×全高=4595×1795×1695mm/ホイールベース=2640mm/車重=1480kg/駆動方式=4WD/2リッター水平対向4DOHC16バルブターボ(280ps/5700rpm、35.7kgm/2000-5600rpm)/燃費=13.2km/リッター(JC08モード)/価格=293万6850円
(※この記事は2012年12月に書いたものです。有料版の記事の一部を加筆訂正し約1年遅れで配信しています。)
こちらはNAの顔です。