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300C ラグジュアリー クライスラー 試乗 意外にスポーティーな性格

クライスラー300C ラグジュアリー 試乗
意外にスポーティーな性格

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クライスラー300Cは廉価版のリミテッドを1年半前のVol.99で取り上げました。

しかし、その時は出たばかりで初期ロッドだった為か、細かな部分の詰めがイマイチでした。

例えば、内装の建付けがイマイチで、悪路では音を出していましたし、ミッションもアクセルのオンオフでショックを感じました。

今回は4日間借りてじっくりとその辺りが改善されているかチェックしてみました。

まあ、先に結論から言えばその部分は確かに改善されていたのですが、また新たな不満もいくつか出てきました。

ではでは、乗ってみましょう!

スタイル★★★☆

フィアット傘下のためイタリアではランチア・テーマとして売られるモデルでもありますが、そのスタイルは先代と同じアメリカ風の“チョイ悪”というかいわゆるヒップホップ・テイストですね。

大きさも相変わらずで(全長×全幅×全高=5070×1905×1495mm)というボディは旧型と比較してやや長く(+60mm)、幅広く(+15mm)、そして低く(-5mm)なっています。

トランクリッドのエッジのハイマウントはスポイラーとしても機能します。

空力もあって先代よりAピラーが寝かされたとはいえ、そのセダン然とした印象は変わりません。

3mを超えるロングホイールベースに、分厚いロワーボディと天地の狭いアッパーのコンビです。

クライスラー・デザインのヘッドであるブランドン・L・フェウロテは彫刻美を求めつつも過度な抑揚は避けたといいます。彼は「強く・真摯で、自然、そしてアメリカンであること」をデザインのキーと語っ
ています。そして、その目標は達成されているといえるでしょう。

内装★★★☆

内装はいいですね。

特にいいのはウッドの質感です。

天然木の質感を上手く引き出した艶消しの色調もいいですね。

ダッシュボードはスポーティーな丸型2連の大型メーターが特徴です。
凝ったレタリングとサファイアブルーのイルミネーション(ちょっと派手すぎて恥ずかしいですが)で楽しませてくれます。

アナログ時計のデザインも素敵ですね。

シートデザインも外環同様に直線基調で車内空間も角ばっています。
このあたりのバランスはいいですね。

シートポジションは高めで視界もいいのも300Cの美点です。

リアシートも不評だった先代に比べればまあ普通に座れるレベルにはなりました。

今回は上のグレードの“ラグジュアリー”で、シートはもちろん、ダッシュやドアの内張りにも本皮(伊ポルトローナ・フラウ社製のフォリーニョ・レザー)が採用されていました。

またヒーテッドステアリングホイールやヒーター・クーラー付きフロントカップホルダーなども標準で備わります。ただラグジュアリーとなると価格は一気に140万も値が上がるのが難です。

また新型はウインドシールドとサイドウィンドウに二層構造のアコースティックガラスが採用され、静粛性も向上しています。

シフトのセレクターはアウディのA8にそっくりなデザインです。

新たなZFの8ATがアウディで使われているものと同じだからかもしれません。

まあデザインはいいのですが、バイ・ワイアで操作には慣れが必要ですね。試乗中何度もRに入れたいのにPに入りました。またDに入れたつもりがNだったり・・。

とにかくクリック感がありませんし、ポジションも曖昧なのでパーキング時には非常に戸惑います。重いステアリングと大きなボディに格闘しつつシフトにまで気を取られるの慣れている筈の試乗オヤジとて
大変です。

 

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エンジン・ミッション★★★★

エンジンは3.6リッター“ペンタスター”V6エンジンとZFの8段オートマチックトランスミッションのみの組み合わせです。スペックはDOHC24バルブ(286ps/6350rpm、34.7kgm/4650rpm)です。

注目はZFの8速のATですが、これは非常にスムーズで変速ショックはほぼ気にならないのでかなりシームレスな加速を楽しめます。

エンジンも3.6Lで不満はありません。

静かでスムーズで低速からトルクのある使いやすいエンジンです。

気のせいか音もフィールも良くなっています。

高回転まで「ツーン」と綺麗な音でスムーズに回ります。

このパワートレーンの洗練は見事なものです。

また前回に指摘したショックも改善されていました。以前は例えば止まる寸前にやっぱり加速という時に明確に音とショックが出ていましたが今回は終始スムーズでした。

 

足回り★★★☆

前作はメルセデスとの提携期とあってW124との共通性をメディアでも随分と書かれましたが、実は共通部品はドライブシャフトとリアサスぐらいだったようです。

もちろん今回はクライスラーオリジナルですね。

乗り心地はリミテッドよりもはっきりと硬いです。
ただ、前回指摘した荒れた路面を通過する際のダッシュボード中からの低級音は出ていませんでした。

リミテッドのタイヤは235/55R18でこのラグジュアリーは245/45ZR20です。この差は想像以上です。

しかし、その分というか飛ばしてもこのサイズからすると法外にコントロール性も良く安心できます。

ハンドリングはこのクルマの持ち味ですね。見かけによらずというか、ほぼ50:50の理想的な重量配分を持ち素直なハンドリングを実現しています。多少ハイスピードでコーナーに入っても前後どちらかに負担がかかっているような感じはありません。

やはり車高の高さは少し感じますがステアリングのレシオが適切なので不安な挙動はありません。

 

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総評★★★

ボイジャーやチェロキーを知る者としてはクライスラーの足回りのコンフォート性能はこんなものではないと思っています。もっとしなやかで深い感動を味わえるはずです。

クライスラーの乗り心地にはGMともフォードとも違ったバランスがあると思っています。

それはある程度の緩さがあるのですが、状況が悪くなれば抑えもしっかり効いているというものでなかなか侮れないものです。

先代の300Cにはそれがありました。

新型は確かにレベルも高くなっていますし、スポーティーな性格です。

しかし新型のチェロキーもそうですがクライスラーの乗り味にはもっと深くしなやかな味があります。300Cラグジュアリーには残念ながら今のところそれはありません。

前回も言いましたが、このクルマは未だ“待ち”かもしれません。

【スペック】全長×全幅×全高=5070×1905×1495mm/ホイールベース=3050mm/車重=1900kg/駆動方式=FR/3.6リッターV6DOHC24バルブ(286ps/6350rpm、34.7kgm/4650rpm)/燃費=9.2km/リッター(JC08モード)/価格=538万円

 

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